ライブ参戦レポ/GN'R日本最終公演でBABYMETALを目撃!人生初のアウェイで大奮闘! | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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趣味的なことを中心に,いろいろと思ったことを徒然なるままに語ります。映画/本/スポーツ/世の中/旅行/音楽(ヘヴィ・メタル)/BABYMETALなど。

2017年2月3日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL

2014年3月に行われた伝説の「日本武道館2デイズ」を皮切りに,私が参戦したBABYMETALのライブは15本《限定ライブを含む)。その全てが単独公演だ。国内外を問わずフェスに出場するBABYMETALは観たことがないし,他のアーティストの前座を務めるBABYMETALも観たことはない。

アウェイでこそ真価を発揮すると言われるBABYMETAL。その意味で私にとっては「まだ観ぬBABYMETAL」というものが存在していたのである。そう,2017年1月29日までは。

初めて観た「ワンマンではないBABYMETAL」はとても新鮮だった。何より強烈に感じたのは,観客は大勢いるのにほとんど盛り上がらないという会場内の違和感。この空気の中でステージに立って歌い踊る時,3人は何を感じているのだろう。

最初は拍手も歓声もまばら。しかし曲が進むにつれてBABYMETALのパフォーマンスに次第に引き込まれていくオーディエンス。いつの間にか拍手も歓声も大きくなり,立ち上がって体を揺らす観客の数が増えていく。2014年に世界に打って出て以来,何度となく耳にした彼女たちの「アウェイ上等!」な心意気。可憐に,健気に,そして一心不乱に美しく――メタルレジスタンスに身を投じて戦う彼女たちの姿を,今日この日,私は初めて目撃した。

今日のライブではGN'Rファンを完全にノック・アウトとまではいかなかったものの,最後はそれなりに拍手と歓声を浴びていたのでオープニング・アクトとしての務めは十二分に果たしたと言えるだろう。「アウェイをひっくり返す」という醍醐味の一端は味わえたと思う。

だが,この逆転劇を何度も観たいかと問われれば,答えは「ノー」だ。確かに痛快なライブだったが,初見の地蔵軍団を活性化させるという逆転劇は1度体験すれば十分。フェスやサポート・アクトの時は他のバンドに興味があれば観に行くが,そうではない場合はもう行かないだろう。やはり単独公演じゃないと物足りない。

その意味では,フェスだろうが前座だろうがいつでもどこでも駆けつけるコアなファンは本当にすごいと思う。私はBABYMETALが死ぬほど好きだが,わずが30分程度の前座をわざわざ全て観たいとは思わない。観れないよりは観れた方がマシという考え方は理解できるけども。

さて,ここからは時系列で当日の様子を振り返ろう。



【会場到着〜物販】
さいたまスーパーアリーナには10時頃に到着。今回の物販待機列はGN'RとBABYMETALの2つに分かれていた。すでに両方ともかなりの人が並んでおり,今回のTシャツ争奪戦が厳しい戦いになることは火を見るより明らか。誘導係も「お並びいただいても買えない場合がございます」と不吉なアナウンスをする始末。今回は実質的に「FOX CITY TEE」と「SILK HAT TEE」の2種類しかアイテムがないうえ,大阪,神戸と日程が進む過程で「5時間並んでも買えなかった」という声を多数聞いていたので,当初から撃沈覚悟。無の境地で列に並び,寒風吹きすさぶ中,文庫本を片手にひたすら待った。



2時間待って12時となり,ようやく一般販売開始。だが列は牛歩の歩み。BABYMETALグッズの販売スタッフは2名しかいないようなので,なかなか人をさばけないことが原因だと思われる。一方GN'R列は順調に進んでおり,13時半頃には列が解消された模様。ほぼ時を同じくして「FOX CITY Tシャツはすべてのサイズが売り切れとなりました」という聞きたくなかったお告げが。近くにいたオーストラリアからやって来たとおぼしき外国人が「All size?」と周囲の人に質問していたのを小耳に挟み,大いに同情。はるばる来たのにね……。この時点で列を離れる人がチラホラと。

私はと言えば「まだSILK HAT TEEがある!」と自分を鼓舞して並び続けたのだが,先ほどのスタッフが「もう一方の商品についてもサイズによっては売り切れの場合がございます」とか何とか言い出した! あと少し前進できれば販売テント前までたどり着けたのだが,どうやらきまぐれなキツネ様は微笑んではくれなかったようだ。「FOX CITY Tシャツ,SILK HAT Tシャツは全サイズ売り切れとなりました」という死刑宣告が無情にも告げられた。時刻は13時半を少しまわった頃。気持ちを瞬時に切り替えて列を離脱し,ガラガラのGN'R物販入口へと向かう。

GN'Rの物販はまさにParadise Citty。一部のTシャツはサイズによっては在庫切れになっていたが,当初から狙っていたものは問題なく購入完了(バックプリントに日本刀をあしらったロゴがプリントされたもの)。3.5時間並んだ努力はちょっとだけ報われたのだった。

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それにしてもだ。今回のBABYMETALのTシャツはアスマートでも販売されるそうだが,これは非常に納得できない。チケットを持って当日何時間も並んだ末に買えなかった人が,あくまでも優先されるべきではないか? 例によってオンライン販売は瞬殺されることがほぼ確実なので,今回並んでも買えなかった人がアスマートでリベンジを果たせる可能性は限りなく低い。ライブのチケットを購入し,当日会場で並んだにもかかわらず買えなかった人がアスマートでの争奪戦にも惨敗し,その一方でライブに参戦すらしなかった人がオンラインで購入できたとしたら……。この不条理を何とかして解消してもらいたいものである。

【ひと休み】
GN'RのTシャツ購入後,コンビニで買ったおにぎりとサンドウィッチ,温かい紅茶で遅めの昼食。本当はファミレスにでも入ってのんびりしたかったのだが,サイゼリアもデニーズもマクドナルドもロッテリアも超満員(ここでも待機列)。他のお店も軒並み人であふれかえっていたので断念せざるを得なかった。

正面ゲート前の広場にはGN'Rファンが続々と集結しつつある。アクセルやスラッュのコスプレをした人がとにかく目立つ。コスプレとまではいかなくとも,バンダナやネルシャツをアクセルっぽく身につけたファンや,いかにも「悪童」っぽいロックなスタイルのファッションに身を包んだファンが大勢いる。そしてもちろんBABYMETALのTシャツを着用した人も。さすがにBABYMETALのコスプレをした人は普段の単独公演時に比べれば少なかったが……。そうした1人ひとりの「好きなアーティストへの思い」が会場周辺の空気を少しずつ盛り上げているようだ。

【いざ入場】
15時40分頃,満を持して入場口へ。今回はS席とは言え400レベル。事前のリサーチではステージの真向かい(一番ステージが遠い側)だが,はたして実際はどうなのか? ドキドキしながらNゲートへと向かう。

はたして,座席はほぼ予想どおりのポジションだった。ステージはほぼ真正面。ある意味ドセンだが,いかんせんステージまでの距離が遠い。遠すぎる。物理的にステージが一番遠いのが,今回私の席がある側のスタンドだ。かなり高い所に位置しており,天井がけっこう近く感じる。ステージ全体と会場の様子を俯瞰できる位置なので,これはこれでいいかもしれない。音響も良さそうだ。

席は通路から4列目。あまり奥まっておらずなかなかのポジションだ。すでに右隣にはGN'RのTシャツを着用した若い男性が座っていた。前も後ろもGN'Rファン。残念ながらGN'Rファンに包囲されてしまったので,BABYMETALで一緒に盛り上がることは期待できそうにない。


 
16時を過ぎても場内は空席が目立つ。おそらく半分くらいしか埋まっていないだろう。JAPAN TOUR最終日なので,「GN'Rの日本最終公演」を見に来る熱心なファンが多いのかもしれない。もしかしたらBABYMETALにとってはかなりアウェイな状態になるかも……などと思っていたら,私の右隣にいる例のGN'Rファンのさらに右隣に「新春キツネ祭」の手摺りTシャツを着た若い女性が! 周辺に目を凝らすと,BABYMETALのTシャツを着た人がチラホラといる。どちらかと言えば女性が多いようだ。

【開演】
17時を少し過ぎた頃に場内が暗転し,大歓声に包まれる。ほぼ定刻通りのスタートだ。メタルレジスタンスの始まりを告げるいつものアナウンサが場内の雰囲気を盛り上げる。そして……

01.BABYMETAL DEATH
聴けば胸踊るあの6連打が鳴り響く。"BABYMETAL DEATH"はオープニングに相応しい名曲だと改めて実感。初見のオーディエンスに「これは只者じゃないぞ」と思わせるに十分な迫力と説得力を持った,まさに挨拶がわりの1曲だ。

しかし場内の空気がいつもと違う。フード付きマント・タオルを頭からかぶった3人がステージ上手からうつむき気味に歩いて登場するシーンは見慣れたいつもの光景だ。だが,通常の単独公演ならばリズムに合わせて「ヘイ! ヘイ!」と発生する大合唱がほとんど聞こえない。キツネサインを掲げるファンの姿もまばら。多くの観客は様子見を決め込んでいるようで,いわゆる地蔵状態だ。

そう,これがアウェイなのだ。ステージ上の3人にとっては「いつものアウェイ」なのだろうが,私にとって会場内のこの雰囲気は初めて味わう類のもの。こんなに違和感を感じる"BABYMETAL DEATH"は初めてだ。もちろん「DEATH! DEATH!」という合いの手もほぼ皆無。それでも,ステージ上の3人に はいつもどおりにある意味淡々とパフォーマンスに徹している。これぞまさしくプロフェッショナル。彼女たちは今日のこの環境よりもはるかに厳しくて過酷な修羅場をくぐり抜けてきたのだ。そう思うと感慨深い。



02.あわだまフィーバー
ある意味個人的に衝撃的だった"BABYMETAL DEATH"が終わると,神バンドのソロ・タイムに突入。ステージが遠すぎてこの時はわからなかったのだが,この日の神々はギターが藤岡神とLeda神,ベースが韓国公演で初降臨した瀧田神,ドラムは青山神だった模様。

神々のプレイはこれまたいつものように安定感抜群のバカテクぶり。1曲目の直後に神々のソロを持ってくるのは時期尚早な気もするが,実は効果的な演出だとも言える。"BABYMETAL DEATH"で「おっ!」と思わせ,その流れでこれだけのプレイを見せつけられたら大抵の初見者は降伏せざるを得ないだろう。実際,大阪,神戸,横浜とまわるたびに「バンドの演奏が凄かった」という称賛の声がネット上を賑わせていた。埼玉の地でもその流れは健在。今日も1人ひとりがプレイし終わるたびに歓声が沸き起こる。その圧巻のプレイは「ロックな音」に耳の肥えたGN'Rファンにも十分アピールしたようだ。

そのまま曲は"あわだまフィーバー"へ。METALLICAの韓国公演の時と同様の新しい流れだ。会場の空気は依然として様子見か。ステージ上から発せられる熱量とオーディエンスのそれが一致しない状態が続いている。

この時点で気になったのはサウンドだ。音圧が不足してる上にSU-METALのヴォーカルが抑え気味なため,キャッチーなメロディの背後でゴリゴリとうねりを上げるヘヴィなギターの音が目立たない。曲がポップすぎた可能性もあるが,会場が今ひとつ盛り上がらなかった要因の1つには音の迫力不足もあったかもしれない。

03.メギツネ
このあたりから会場のポルテージが明らかに上昇。お祭りムード全開の"メギツネ"がGN'Rファンの心に少しずつ火をつけ始めたようだ。「Crap your hands!」「Jump!x4」の煽りによって,それまでの「様子見」感が薄れていく。スタンド席の観客にとってはさすがにジャンプするのはハードルが高かったが,曲に合わせて声を上げ,拳を突き上げる人の数は少しずつ増加。会場の空気は間違いなく良い方向へと変わりつつある。

400レベルにいた私の周辺も最初はそれなりの盛り上がり。メイトと思しき人たちがポツポツと立ち上がって声援を送っていたが,大半は着席のまま。私の右隣のGN'Rお兄さんもしばらくは微動だにせずステージを凝視していた。しかしこの曲の途中から明らかにパフォーマンスに引き込まれていき,若干控えめながらも手拍子をするように。周辺の客席からも自然と歓声が上がるようになった。GN’Rお兄さんの右隣にいたお姉さんが最初から立ち上がって孤軍奮闘していた影響もあったに違いない。気づけばかなりの人数が立ち上がっており,着席している人のアクションと声援も大きくなっていた。これがアウェイの逆転劇か。感激だ。

04.ギミチョコ!!
この曲はやはり有名だ。演奏が始まるやいなや周辺の空気が「この曲は!」というような感じになった。キャッチーなメロディとは裏腹にリズムが激しい曲なので,着席組もグイグイと引き込まれていく様が手に取るように感じられる。リズムに合わせて身体を揺らす人の数が明らかに増えた。

この曲の途中で気づいたのだが,ドラムの音がいつもと違う感じがする。いつにも増してソリッドな音作りで,プレイにしても足数が多いようだ。ドラムの神は安定の青山神だったようだから,PAの音作りの賜物か,はたまた神のプレイが進化したのか,あるいはまたドラム・セットを新調したからなのか(そんな話を聞いた)。いずれにしても,ちょっとだけいつもとは違うかっこいいプレイである。

ちなみにこの曲でMOAMETALがSU-METALの右頬をどのくらい「ズッキュン」したのかは不明。繰り返しになるがステージが遠すぎるのだ。

05.KARATE
この曲から音のコンディションが劇的に改善。音圧が上昇して迫力が段違いに増した。ヘヴィで壮大なスケール感が観る者・聴く者に強烈なインパクトを与える"KARATE"が会場の空気をほぼ完全に支配した。楽器隊の爆音に埋もれ気味だったSU-METALのヴォーカルも全面に出てきて存在感を主張し始め,その圧倒的なパフォーマンスがいよいよ真価を発揮してきた印象だ。

改善された音環境に触発されたかのようにオーディエンスの反応も急上昇。依然として着席したまま楽しむ人もいたが,中盤のコール&レスポンスの反応は良好。曲が終わるとこれまでで一番の大歓声が沸き起こった。

06.イジメ、ダメ、ゼッタイ
IDZは盤石の出来。この曲に関してはやはり積み上げてきた歴史が違う。GN'Rの曲とは似ても似つかない正統派のスピード・メタルだが,この曲が持つドラマ性は初見のオーディエンスにも十分に届いたようだ。エンディングを迎えると興奮して歓声をあげる人が続出。私の周辺はもちろん,会場全体が「やるじゃないかヘビメタ!」という空気になったと思う。時間にしてわずか30分ほど。たった6曲でGN'Rファンが大半を占める会場の空気をここまで変えるとは驚きだ。

SU-METALが「次はGN'Rの登場DEATH!」的なコメントを英語で発して会場を盛り上げると,いつものように「See you!」と言い残して3人は颯爽とステージ上手へ姿を消した。アウェイな空気の中で大きな仕事をやり遂げたはずなのに,そんなことは微塵も感じさせない余裕綽々な様子で立ち去るその姿が実にクールだ。

【終演】
何度も繰り返して申し訳ないが,ステージが本当に遠かった。ほぼ正面だからステージ全体を俯瞰できたのは良かったが,いかんせん遠すぎて現実感が乏しい。しかもあっという間の30分だったので,夢でも見たんじゃないかという気がする。

また,すでに述べたように, 最初の4曲はサウンドが良くなかった。音量も抑え気味だし,なによりSU-METALの声が埋もれていた。これでは初見のGN'Rファンに訴えることは難しい。最後の2曲が圧倒的な迫力だっただけになおさら惜しい。これが前座の難しさか。

とは言うものの,何はともあれアウェイな空気をある程度ひっくり返す様を目の当たりにできたので大満足。オーディエンスを盛り上げ,会場の空気を温めることには成功したので,前座としては及第点を与えていいだろう。これを機に少しでも多くのGN'Rファンが彼女たちに興味を持ってくれたら嬉しいかぎり。

【セット・リスト】
Guns N' Roses JAPAN TOUR 2017
Opening Act: BABYMETAL

2017年1月29日(日)
さいたまスーパーアリーナ
01.BABYMETAL DEATH
〜神バンド・ソロ
02.あわだまフィーバー
03.メギツネ
04.ギミチョコ!!
05.KARATE
06.イジメ、ダメ、ゼッタイ

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