2011/01/14 朝日新聞/兵庫県
 偽造したパスポートで不法滞在をしていたとして、県警が、中国籍で住所不定の無職徐大勇容疑者(37)を、入管法違反(不法在留)の疑いで逮捕していたことがわかった。捜査関係者が明らかにした。徐容疑者は「中国残留日本人孤児の子孫をかたり、蛇頭の手引きで親族と入国した」と供述しているという。県警は14日に不実記載免状行使などの疑いで徐容疑者を追送検し、捜査を終える。  外事課と加古川、神戸西両署によると、徐容疑者は2000年2月~昨年11月、正規のパスポートがないのに、稲美町の妹宅などに不法滞在。さらに、08年1月と09年12月に三木市などで交通違反をした際、中国で偽造し、日本で切り替え申請した運転免許証を警官に提示するなどした疑いがある。  徐容疑者は調べに対し「パスポートも免許証も中国で蛇頭の男に100万円で偽造してもらった。借金があり、日本で働きたかった」と供述しているという。免許証は入国後に計3回、大阪府内で更新されていた。更新時には外国人登録証やパスポートの提示が不要といい、不法在留の発覚を免れたとみられる。  県警によると、徐容疑者は中国東北部の黒竜江省から1996年10月、「残留孤児の子孫」と偽って母親と妹、いとこの計4人で来日。翌97年には父親も来日した。01年に大阪入国管理局が不法滞在に気付き、日本で結婚していた妹を除く親族3人を強制送還したが、徐容疑者は逃走し、昨年11月になって同管理局に出頭し、逮捕された。不法入国容疑は公訴時効が成立していたという。