刀剣外装の手に持つ部分(柄前)には、組紐が伝統技法を用いて巻かれています。その下側には、鮫皮と呼ばれるエイの革で補強がされています。

この鮫皮を用いる技法にも、様々な方法があります。
総着せなどと呼ばれ、グルッと一枚の革で巻く方法では、鮫皮の伸縮性も勘案して加工を施さなければなりません。

当工房では、この鮫皮の厚みを極力厚いまま用いることで、柄前の強靭さと耐久性を実現しています。



この鮫皮は1mm強の肉厚のまま、総着せを行なっています(観賞用などの刀剣外装では、この半分ほどの厚みまで裏地をすいて用いるのが一般的です)。

使用感を向上させつつ強靭な外装を作るには、鮫皮の厚み一つにもこだわりをもって工作を施さなければなりません。そのぶん柄下地が薄くなりますので、下地の工作には大変神経を使います。

この肉厚ですと、加工時と硬化時の鮫皮の大きさは一回り以上の違いがでるため、熟練を要します。