年齢:96歳
性別:男性
診療までの経緯 ~お嫁さんからの電話予約~
20xx年○月、Aさんご子息のお嫁さんから、電話での相談がありました。
1.96歳の義父が、食べ物をうまく咬めなくて困っている
2.本人は食べることが大好き。もう一度思い切り自分の歯で食べてあの世に行きたいと
強い希望がある。(本人はウナギが好物であるがしばらく食べていない。)
3.体力がないので、どこでも断られた。
96歳と高齢の為か、体力がなく車いすにひかれてやっとの思いで来
院されました。食べることが大好きなAさん、食事が不自由なのか
表情が暗く、元気はなく、受け答えもはっきり聞こえません。
歯科治療に耐えられるかどうか心配でした。
口腔内は半数ほど歯が残っていましたが、ほとんどはむし歯で歯の根っこだけ
の状態でした。とても自分の歯では食事はとれない状態です。
家族・Aさんからの要望: 入れ歯でない治療をお願いします。
医院からのご提案:
1.抜歯や歯の神経をとる治療、根の治療。
2.上下ともに固定式の”かぶせもの”(冠)。
3.高齢と体力減少の為、緊急事態が起きる可能性が高い。モニタリング(心電図、
血中酸素濃度測定、血圧測定)で体調を常に確認しながら脱水を防ぐために点滴で水分を
補給したり酸素吸入しながらの治療。
4.できるだけ来院回数を減らす“まとめ治療”。
5、緊急事態発生時の医科の先生との連携と家族の承諾
モニタリングしながらの治療風景 |
Ø 診療2回目 ~土台づくり:笑顔が戻った~
モニタリング、点滴、酸素吸入を行いつつ、虫歯治療と歯の根の治療を行い、歯の土台づくりを行いました。最初なので治療時間は2時間にしました。
一回目の治療で土台が出来始めると上下の歯が咬み合うようになり、Aさんもお嫁さんも大喜び。Aさんの顔に表情が出てきて、笑顔も見えてきました。
Ø 診療3・4回目 ~仮歯の完成:笑い声、そして待望の・・・~
連結冠にするための仮歯ができ、本格的に咬めるようになりました。
そして、とうとうAさんが待ち望んでいたウナギが食べられるようになりました。
Ø 診療5、6回目 上下の冠が完成
本歯を入れ、咬み合せと調整を行い、完成です。
好きだったケーキと紅茶もおやつに頂けるようになりました。
本人の顔は明るく、声は力強くはっきりと大きくなり、診療室にも響きわたります。
Ø 診療7回目 ~衛生士による予防メンテナンス~
固定式の連結した”かぶせもの”は取り外してのお手入れができないため、家庭での家族の手入れと、定期的にプロの衛生士のお掃除を受けることが長持ちの条件です。
【ご家族・本人からの感想】
(家族の感想)家の近所の歯医者さんをいくつか回りましたが、高齢のせいもあり本人の希望の治療を受けていただける歯医者さんがなかなか見つかりませんでした。厚生歯科に来て、医院長先生やスタッフにお会いして、本人はここだと思ったようです。今はピーナッツも食べれます。ありがとうございます。
でも最近ちょっと食べすぎで心配です!
(本人の感想)この病院ははじめから病院の感じがしませんでした。皆さんスタッフがやさしく楽しく接して頂き治療はあっという間に終わりました。ありがとうございました。
【医院からのコメント】
来院できない高齢者の歯科治療は、現在訪問診療や在宅診療が中心です。しかし診療機材や場所の制約から、治療内容はどうしても入れ歯の修理や、簡単な治療が中心となってしまいます。高齢者の治療を本格的に行うには、やはり医院での治療が望まれます。しかしAさんのように治療内容が深く、診療回数も複数回となり、さらに1回の治療時間が長くなる場合、高齢者の体調の維持が難しくなります。
今回は家族の方や本人の協力と熱意、スタッフのケアと共に、科学的根拠に基づいたモニタリングや輸液補給、酸素吸入などにより、安心して治療を進めることができました。
私達にとっても、Aさんの治療の成功は大きな喜びでした。
このように、高齢の方が少しでも美味しい物が食べられるように、本格的な治療を安心して受けられる体制整備が出来たことを、喜びと共に色々と勉強をさせていただきました。
東北地方太平洋沖地震の影響は甚大ですね。
院長の親戚が宮城にいましたが、昨日連絡がとれて、ホットしています。
しかし東北の地震によるダメージは計り知れないですね。一日も早い復興を心から願うばかりです。
今は自分でできる最大限の社会貢献をすることだと考えております。
厚生歯科は駅前にあり地域貢献を一番の念頭においています。なので通常通り医院を開いている状態にしてあります。急患も対応しているので、もしお口のなにかトラブルがありましたら、すぐ連絡ください。
しかし、地震もさることながら今後は停電に悩まされそうです。
市川市本八幡は停電の第5グループのようです。停電に本当になるかは分かりませんが、停電の間もドクターは待機しているので、大事のときはいらしていただいてもできるだけの対応を考えます。
大変な時期ですが、みなで力を合わせて乗り切りましょう。
歯科医院も自家発電機を持っていないといけないと感じました。
みなさんくれぐれも余震に気をつけましょうね。
コーセー君より