パンを作る熱き情熱。
店主がパンに注ぐこだわり、手間、情熱、信念・・・パンはパン一つに全てが表れてしまうからこそ、妥協できない。
情熱シェフが生み出す、熱きパンたち。
これだけの熱量を持ったパン職人が、川越にいること。
2021年1月に移転オープンしたパン屋が、「ベーカリー クレープ」さん。
お店があるのは川越市砂新田。
東武東上線新河岸駅西口から真っ直ぐ川越街道に進み、通り沿い右手にあります。
「ベーカリークレープ」
川越市砂新田85-35
6:00~20:00
日曜日・祝日休
049-244-7045
東武東上線新河岸駅徒歩3分
Instagram:
https://www.instagram.com/kenkurepu0826/
ベーカリークレープさんは、新河岸の地で40年以上にわたって親しまれているパン屋さん。
まさに、新河岸の街の歩みと共にある町のパン屋さん。
以前は踏切近くにありましたが、新河岸駅再開発に伴い、人の流れの変化もあり駅前通りに移転。
パンの街、新河岸。
新河岸駅の東口側にはパン工房クローバーさん、西口側にはベーカリークレープさん、ベーカリーオモシェさんがあり、パンで盛り上がる新河岸。
クレープさんには、地域の人はもちろん、クレープの店主・野口シェフが日々Instagramを更新していることもあり、Instagramを見てくるパン好きも多い。
クレープさんでは、パンの種類は満遍なく用意。
食パン、ハード系パン、菓子パン、総菜パン、ヴィエノワズリーパンなどなど。
毎日焼く定番のパンの他に、この曜日にしかないパンなど限定もあります。
それぞれのパンにリピーターがいます。
お店に並ぶパンの顔触れは、地域の人の生活に欠かせないパンであり、朝、昼、夜と時間帯によってお店にやって来る人も売れていくパンも変わっていく様子は、そのまま新河岸の街の一日の暮らしを伝えているよう。
クレープの野口さんも、「あまり一つのジャンルに特化せず、パンはまんべんなく揃えたい」と話す。
パンが食べたい時にお店に来れば、きっと何かいいパンが見つかるはず、そのくらいの期待に応え信頼されるお店でありたい、と。
例えばお店で人気のカレーパンは、「うちの自信作」と胸を張って提供している。
自家製ルーに、牛肉は大正浪漫夢通りの細道にある「十一屋」さんから仕入れているもの。
あんぱんの餡子も、お店で炊いていて、
「実は見えないところを沢山こだわっているんです」。
見えないけれど、それは一口食べてみると違いがすぐに分かる、旨いパン。
新河岸のパンのレベルに驚愕。
クレープささんのパンは、まず何より、生地が美味しいこと。
「パンの基本は生地が美味しいこと」
と生地作りに命を懸けて、美味しい生地を作ることを大事にしている野口さん。
そのために様々な種類の小麦粉を使い分け、パンごとに配合を変えて、食感、後味、旨味の残り方を計算してパンを表現している。
計算も手間も全ては、
「旨い生地のために」。
以前と同じパンであっても、実は改良に改良を加えられて、粉の配合から変わり、製法も変わり、別のお店のパンではないかというくらい、別のパンになっているという日々の進化。
それは、お客さんには分からない改良ですが、確かに旨くなっている。
そして、パンをじっくり見ていくと、やはり、また思わず声が漏れる。
わあ、綺麗!
クロワッサンだった。
それは、横から見ると綺麗な稜線を描くような山型になっていて、
そのなだらかな流れをあえて見せるように、横向きに置かれていた。
綺麗。。。
層の詰まり方、山のように盛り上がっていく稜線、それは人の手による芸術品という形容がまさに正しいクロワッサンでした。
噛み締めた時のサクサク感、口の中で溶けていく生地、このレベルのクロワッサンはそうそう出会えるものではない。
それは野口さん自身も自認していて、「クロワッサンは自信あります」とキリッと語る。
クレープのクロワッサンはクレープのクロワッサンとしてずっと変わらずある、と思わせながら、日々の製造の中で、
「こうした方がいいんじゃないか」
「こうした方がもっと美味しくなる」
という試行錯誤がある。
小さな改良の積み重ねが、「進化」というほどに変化しているのでした。
他にも、新しい素材を使って新しいパンの提案は常に続けています。
パンは生地が「命」としながら、その先にお店の個性としての展開。
クレープのパン作りの大事な姿勢として、
「地元の食材をできるだけ使いたい」
地産地消の追求がクレープさん。
代名詞となっているのが、川越産・埼玉県産小麦の「ハナマンテン」。
特にバケットとクロワッサンは、ハナマンテンを100%使用しています。
他のパンも、100%でないにせよ、ハナマンテンドを必ずブレンドしている。
地元の小麦がクレープのパン生地の味。
また、川越産農産物を積極的に使用するパン屋としても知られます。
川越の飲食店では、地元の食材を使うお店は多いですが、その中でも特に地元の食材を使用しているのがクレープさん。
利根川農園さんのさつま芋、なるかわ農園さんの里芋、長島農園さんのイチジク、川越いちご園すじののイチゴなど信頼している農家の農産物を使用。
例えばイチゴなら、デニッシュなどに使用。
農産物を使用するパンというと、あくまで脇役的に農産物を使うパンはありますが、クレープさんではこの農産物が美味しい、知ってもらいたいと思えばそれを主役としてパンを設計する。
農産物が主役で生地がそれを引き立てる役、というパンを作るシェフも実はなかなかいない。
他にも、一般的にパン屋で使用しない白菜や蕪などの野菜もパンに取り入れることがあり、常に挑戦する情熱は持ち続けている。
それは、パンの発想というより、料理としての発想に近く、料理するようにパンを発想・製造しているのがクレープさんの特徴。
料理の一品を食べるような、パン。
農産物は自身で野菜などを仕入れ、その時の野菜から、「パンにどう活かせばいいか」イメージを膨らませてパンに落とし込んでいく。
クレープのシェフ野口さんのパンにかける情熱。
パンに対するモチベーションは、パンの道に進んだ20年以上前と変わらず。
当時も今も、気になるパン屋があればパンを買いに行き自分で食べ、パンや料理の書籍も購入しては自分のパンに活かせることはないかアンテナを張る。
気になったものは自分で再現し、アレンジし、お店のパンへと昇華させていく。
その繰り返しの、20年以上。
いまだにゴールに到達した実感はなく、日々、
「まだできる」
「もっとできる」
「もっと良いものを」
と自分に言い聞かせながら、さらに上のパンを作ろうと精進している職人がいること。
留まることを知らず、常に前進してきた20年。
今ではベーカリークレープさんのパンを使用する飲食店も増えていて、川越の人気店ばかりがクレープさんを指名しています。
同じく新河岸駅西口にある、フルーツサンド「San°(サンド)」さんのあのサンド生地。
川越駅西口「ウェスタ川越前」交差点にある、「Grill&Dining SUNNY」さんのあのサンド生地。
蓮馨寺山門向かい、立門前通りにある「Hatago COEDOYA ~旅籠 小江戸や」の一階、縁結び横丁にある「Mrs.hamburger」さんのあのバンズ。これらはみなクレープさんがお店のために製造して卸しているものです。
また、クレープさん自身が外のイベントに出店することもあり、川越パンマルシェをはじめ、川越Farmer'sMarket、U_PLACEの「川越日々の暮らしとパンとコーヒー」などの出店でお馴染みです。
(川越style「川越日々の暮らしとパンとコーヒー」U_PLACE 川越初の組み合わせ
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12705796255.html)
クレープの野口さんは、川越の新河岸生まれ新河岸育ちで、クレープ二代目の店主です。
クレープさんは、以前は新河岸駅踏切近くにありました。
お店の佇まいは、まさに昔ながらの町のパン屋さん。
親しみある外観はどこか昭和で時が止まったかのような雰囲気を漂わせて、身近なお店として地域の人に愛されました。
小さい頃から実家であるクレープのパンで育ち、成長するにつれ、クレープのパンの「手作りのよさに改めて目覚めた」と振り返る。
16歳の時には既にパン職人の道に進もうと定め、高校を卒業するとすぐに上野にあったパン屋で働くようになった。
その後クレープに入り、パンの道を究めようと研究の日々が続いていきました。
いろんな本を読んでは自分でも作ってみる、という積み重ねの日々の結果、気付いたら本棚にはぎゅうぎゅうに詰め込まれた専門書の山。
「20代の時に試行錯誤の日々があったからこそ、今いろんな引き出しを手に入れることができた」
と回想し、だから、他のパン屋に行ってパンを一目見れば、この素材を、こう使って、など全て見透かすように分かってしまうのだという。
今でもパン屋巡りは欠かさず、話題のパン屋があれば行って買って食べて、客観的に分析して応用できる部分があれば自分で試す。
特に、以前訪れた飛騨高山にある「トランブルー」には衝撃を受けたと振り返ります。
そのパンを食べた時の感動に、
「こういう衝撃を人に与えるようなパンを自分も作りたい」
と、新たに決意したのだった。
今までで一番衝撃を受けたパンはどこのパンですか??という問いにも、このトランブルーのクロワッサンを挙げていました。その後、トランブルーが主催していたクロワッサン作りの講習会にも参加し、ベースを学んだら再び自分で発展させていく日々で、その道のりの先に出来上がったのが、あの美しいクロワッサンだったのです。
ふと。クロワッサンでも買おうか。
しかし、店内に一歩足を踏み入れた途端状況は一変する。
え、え、どういうこと??
あまりのギャップに、意識がクラクラして事態が呑み込めない。
並べられたパンを一目見ると、すぐにこのお店の実力が伝わり、
さっきまでの緩んだ気持ちが一瞬にして、
思わず姿勢を正されるような感覚になった。
クロワッサン、
美しい。。。
その言葉しか出て来なかった。
なんでこの場所にあるこのお店で、こんなに美しいクロワッサンと出会うことができるのか、
意識を取り戻してもまだ、信じられないような心持ちだった。
「クロワッサンで大事なのはまずバターの質。
そして生地をこねてから、焼き具合まで、一つ一つの工程を突き詰めていきます。
「クロワッサンは横から見た時に、層が詰まり、山のように盛り上がっていく感じがいいクロワッサン」
個人的に好きなパンもクロワッサンだと言い、
「作った工程が見てすぐに分かるパンが好きなんですよね」
野口さんがクレープのパンを食べて育ったのと同じように、40年以上にもなるクレープのパンは、地域の中で
親から子へ、孫へと2代、3代で受け継がれて、昔から通っている方が、やがて子どもを連れて来るようになり、いつしか孫と一緒にやって来るようになったというような、人の人生の歩みを間近で見つめてきた。
新河岸という地域の中でずっと昔から親しまれ、かつ最もメジャーなパン屋はクレープといっても過言ではないかもしれません。
野口さんが見続けた新河岸という地域は、
「小さい頃は人口が多くて、凄い賑わいのある街だったんですよ。
それがだんだんと人口が減少していって、お店も減っていった時期を乗り越えて、
また今新しい家族の流入が増えているように思います」
と見ている。
確かに、地域は駅や川越街道周辺に新しい家が建ち始め、
お店にも若い家族がお店にやって来るのが目につくようになったという。
それに、野口さんが積極的に発信しているFacebookなどのSNSを見て来店する方も多く、
SNSを見ているような方々が多いというのも、今の新河岸の一つの側面。
「2年ほど前からblogやFacebookでお店のパンを発信するようになったのですが、
見てくれている方が多くて、『Facebook見てきました』と言ってくれたり凄く反応があります」。
川越のパン屋さんで、ここまで積極的にネットを活用しているお店も少ない。
お店発だけでなく、お客さん発でネットで話題になることも多く、その一つが塩パン。
野口さんの姿には、パン作りを試行錯誤することを楽しんでいるところがあって、
パン作りは楽しいですか??と訊ねると、
「楽しいです」と即答で返ってきました。
一時は世の中の流行りのパンを追い求めていた時期もあったといいます。
しかし、今は自分がいいと信じたパンを焼くスタイルを確立した。
ぶれない軸、全ては「旨い生地のために」。
一見すると親しみ溢れる外観の町のパン屋さん、
しかし一歩中に入れば、凛とするような美しいパンが並んでいる。
「町場にもこういうパンを作るパン屋があると知ってもらえると嬉しいです」
丁寧に手作りすること。
そして、日々追求。
熱き職人が、熱きパンを生み出す。
「まだできる」
「もっとできる」
「もっと良いものを」
パンの街新河岸が、熱い。
「ベーカリークレープ」
川越市砂新田85-35
6:00~20:00
日曜日・祝日休
049-244-7045
東武東上線新河岸駅徒歩3分
Instagram:
https://www.instagram.com/kenkurepu0826/