地中生命の驚異―秘められた自然誌 | 自然科学の書棚

地中生命の驚異―秘められた自然誌

ネット上で新聞の書評に出たのを知り、それから図書館で借りて、その後さらに購読している新聞の書評に出て、それから買ったように記憶をしている。

中学生くらいではまだ難しいかもしれない。当時、読書好きだが生物ができないという中1の子にこの本を薦めたが、難しくて途中で挫折したようだ。今その子は大学1年なので、初めて読んでから6年もたっているということに驚く。

学校で習う理科の知識が増えるにつれ、この本はより興味深くなっていくと思うので、今小中学生の人は、とりあえず買っておいて、何度も挑戦してみるのがよいのではないだろうか。

この書き出しだけで私はゾクゾクした。
新しい発見のためには、地底深く潜ってみるには及ばない。たとえばちょっと裏庭に出て、雑草の根のあたりの土を二本の指でつまみ上げてみよう。10億に近い生物個体、ことによると1万種ほどの微生物を手にしていることになるだろう。その大部分にはまだ名前もなく、分類も理解もされていない。何千本の草のひげ根とからまり合って、顕微鏡で見るほどの薄布のような菌糸が広がり、その全長はインチでなく何マイルというほどになる。ひとつまみの土でこれだけなのだ。標準的に健全な土を掌いっぱい掬(すく)えば、そこには全地球の人口より多い生物がいて、何百マイルの菌糸が延びている

ちなみに、1マイル = 1.609344 キロメートル。

雑草の根っこの土一つまみで、そこにいる生物は10億!1万種!それも大部分が名前もついていなければ、分類もされていない、理解もされていない!新発見の宝庫。すぐそこ、すぐそこの雑草の根元の話だよ!めまいがするような話だ。

第4章の窒素循環は、私がいかに無知だったかを教えてくれた。高校の化学で、アンモニアの工業的製法として「ハーバー法」というのを習うが、なぜあんな臭い気体をわざわざ作り出す方法が教科書や参考書に出てくるのか、初めて知った。

また、ここに出てくる窒素固定細菌の話。地球上の窒素固定細菌を1箇所に集めるとバケツ1杯にしかならない。もしこれがなくなると、地球上の植物は枯れてしまう。植物は生態系では生産者とされるが、分解者である菌類や細菌類がいてはじめて生きられる。そんなこともはじめて知った。なぜ大豆が畑のお肉といわれるのかも。

そして、古細菌を発見し、生命の系統樹を根本から書き換えたウーズの話。また読み返したくなってきた。




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