ネオナチの警官殺害は計画的犯行 | Hidy der Grosseのブログ

ネオナチの警官殺害は計画的犯行

極右テログループ3人組による女性警察官射殺事件は、これまでのところ偶発的と見られていたが、新たな事実が判明し、実は意図的・計画的な犯行ではなかったか、という見方が強まっている。

 

「容疑者」と「被疑者」の使い分けについて。Verdächtiger=容疑者:まだ身柄を拘束されていない者も含む、広い概念。 Beschuldigter=被疑者:身柄を拘束されるなど、正規の刑事手続きによる負担をかけられている者。 以下はMSNの記事(dapd配信)

 

http://news.de.msn.com/politik/bilder.aspx?cp-documentid=159802959&page=1

 

2011.11.21.

 

ドイツの極右

 

連邦刑事局: Heilbonnの女性警官に対する殺人は、明らかにネオナチによって計画されていた

 

Berlin 2011.11.21. (dapd)   ネオナチテログループNSUは、Heilbonnにおいて2007年に女性警察官Michele Kiesenwetterを殺害したとみられているが、最新の捜査情報によると、これは明らかに、意図的に計画された犯行であった。連邦刑事局長Jörg Zierkeは木曜にBerlinで、Kiesewetterの家族と極右グループとの間には係わりがあったようである、と語った。

 

Zierkeが紹介したところによると、Kiesewetterの家族はThüringenでパブを賃借りしようとしたことがあるのだが、しかし実際には別の男が借りることになった。そして、この男が今、ネオナチ連続殺人に関係していた疑いで、被疑者として取り調べを受けている。

 

この酒場は極右主義者たちの溜まり場であった、ということである。Kiesewetter本人が2001年~2003年に この向かいに住んでいた、とZierkeは語った。さらに、2007年に1人の料理人が雇われたが、彼の姓はBeate Zschäpeと同じであるそうだ。

 

Zwickauのネオナチたちの自害を巡る状況についてもまた、新たな情報がある。警察の捜査によると、右翼テロリストのUwe Mundlosは、114日にThüringenEisenachにおいてキャンピングカーの中で、ネオナチの戦友Uwe Böhnhardtの頭を意図的に撃って死なせた。Mundlosはその後で火を放ち、自分の武器で自分自身を撃った。この見解は、解剖によって火災の際の煤の粒子が見つかったのがMundlosの肺からだけであった、という事実に基づく、と連邦刑事局長Jörg Zierkeは月曜にBerlinで語った。

 

2人のネオナチは銀行襲撃の後にキャンピングカーに身を潜めていたが、すぐに警察によって包囲された。それからわずか数時間後に、彼らの相棒のBeate ZschäpeZwickauにある3人組の住居に放火した。

 ここしばらくの間に警察は、右翼テロリストNSUグループのメンバーあるいは支援者として、12名の容疑者を視野にとらえた。「堅い核」であるUwe MundlosUwe BöhnhardtBeate Zschäpeと並んで、さらに9名の容疑者が周囲に存在する、と連邦刑事局長Jörg Zierkeは月曜にBerlinで発表した。9名のうち4人が被疑者として具体的に取り調べられているという話である。

 

Zierkeの言によると、周辺にいる9名は、逃亡幇助者、偽造書類調達者、連絡係、住居の貸し手、あるいは 住居の又貸し人として、13年間潜伏していた3人組を助けていた。また、或る者は自分の金融口座を3人に使わせており、また別の或る者は犯行声明DVDのデザインを手伝っていた。

 

Zierkeの言葉によると、警察は今までのところ、極右3人組のところから20丁の銃砲類を発見した。Zwickauの焼け落ちた住居だけでも、11丁の武器が確認されている。

 

訳は以上。

 

AFP配信のドイツのヤフーニュースは、けっこう食い違う内容になっている。

射殺された女性警察官Kiesewetterの家族はThüringenでパブを経営していた。そこへ、ネオナチがパブを借り切るという話が持ち込まれたことがある。しかし実際には、貸し切りは行われなかった。

という中身。

日々新たな情報が飛び出してきて、記者たちも混乱しているのかもしれない。

http://de.nachrichten.yahoo.com/heilbronner-polizistin-verbindung-neonazi-zelle-161440947.html

 

捜査当局は細かな事実を丹念に拾い上げる必要があるが、私たちにとっては、あまり些細なことにとらわれず、視野を広く持って、事件の背景を理解し、今後について考えることのほうが大事だろう。

 

先ほどrbbベルリン・ブランデンブルク放送のネットラジオを聞いていたら、内務大臣が、この種の団体に対する捜査にはスパイが不可避だ、と語ったそうな。まあ、それはそれで正しいが、1つには、それだけのことをやっておいて何の成果も上げられなかったのはなぜ、という問題があるし、もう1つには、スパイというよりも癒着に近いような不適切な関係はなかったのか、という疑念も残る。日本の公安調査庁の問題にも通じる事柄なだけに、今後詳細を調べて皆さんに報告するかもしれない。

 

ネオナチに関しては、私自身にも個人的な体験がある。

ある屋台で(イラク系移民の経営)遅い晩飯を食っていたら、ドイツ人の中年男性が話しかけてきて、いろいろな話題で盛り上がった。そろそろ宿に帰らないとと思って、「それじゃあ」と言うと、「もう少し付き合え」。狭い通路というか、説明しがたく「ごちゃっ」としたところを抜けなくてはいけないのだが、通せんぼして帰してくれない。12時間もおっさんに付き合って、ようやく解放されたのだが、別れるときに彼が、「さっきまでその辺りをネオナチがうろちょろしていて、お前1人を行かせるのは危険だと思ったから」。うるっときましたねえ。

 

先日紹介した「犠牲者のために政府・議会・大統領共催の追悼式典」の元記事には、海外派兵で殉職した兵士よりも移民のほうが名誉が上なのかとか、外国人犯罪者の犠牲になったドイツ人は…とかいうような、ドイツ人の名誉を守るよりはむしろ貶めるようなコメントが結構多く見られて、ドイツ人を美化しすぎるのが危険だということは、重々承知していますよ。

 

けれども、他方では、自分が体を張ってでも見知らぬ外国人を守ってやろうというドイツ人もいる。(似たようなことは、もう1回経験した)  その両面をしっかりと見据える必要がある。そして、自分自身が「移民のために追悼なんかしてやる必要はない」と言い放つ人になるのか、それとも、私を気遣ってくれたおっさんのような人になるのか、間違えずに選択する必要がある。果たしてどちらのほうが「○○人」の誉れを高めるのか…。一体、いずれのほうが、世界における「○○人」の評価を向上せしめるのか…。

 

この事件に関する記事の一覧↓

http://blog.hangame.co.jp/P096546547/article/37006890/

 

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