巨大生牡蠣と生ハムが圧倒的に美味しい。

リーズナブルで良き雰囲気のスペインバル。

 

阪急電鉄のターミナル駅である十三(じゅうそう)は、子どもの頃、亡き父に連れられて、しばしば訪れたことがある。当時、父は十三の次の駅の阪急宝塚線三国駅(あのaikoの名曲(2005/オリコン2位)で知られる「三国駅」である)近くの会社に勤務していたから、シマ(なわばり)だったのだろう。なぜか、自宅から遠く離れた十三の理髪店によく連れられて来ていたのを覚えている。しかし、その頃から40年以上の歳月が流れ、その店がどこにあったのか、今では全く思い出せない。

 

高校3年生の受験前の冬休みに、冬期講習を受けたのも、十三の予備校だった。しかし、親に高い受講料を払ってもらったのに、授業にはほとんど出席せず、十三とは逆方向の電車に乗って、どこかの駅前の書店でずっと立ち読みするなどしていた。この予備校をさぼって、フラフラしていたことは、今でも時々夢に出てくるほど、苦い思い出として、心の中にしこりのようになって残っている。

 

そんな遠い過去の思い出とつながっている十三を久々に訪れる。スペインバル(バル=Bar:スペイン語で飲食店のこと)のお店だという。

 

阪急十三駅の西改札口を出て、すぐの四つ角を右折し、飲食店街を進む。飲食店街が終わったところの角を左折し(右折すると阪急の踏切)、国道176号線高架をくぐる。そのまま直進し、20~30m進んだ右手(北側)にお店はある。周辺は住宅街になっており、住宅の1階が店舗で、2階が住居のようである。駅から歩いて、3~4分だろうか。十三駅のすぐ近くとは思えない、隠れ家的な穴場である。

 

19時頃に訪問。カウンター席に通される。店内は、年齢やや高めのカップルが多い印象。若い子はいない。自分たちに続いて、数組のお客が入って来て、店内は満席になる。年末とはいえ、人気のお店のようだ。

 

今日は飲まないので、ドリンクは物珍しいエナジードリンク「シャーク」(418円)を選択。後でネットにて調べると、タイのエナジードリンクのようである。味は「レッドブル」や「モンスター」と同じ。なお、店名の「Tiburon(ティブロン)」は、スペイン語でサメの意で、そこからの「シャーク」であろう。

 

ドリンクと一緒に、「突き出し」も出てくる。この店は、席料(330円)が発生するためだろう。クラッカーと生ハムの和え物(お店の人がちゃんと説明してくれたのだけれど、メモを取っていないので失念)で、いかにもお酒のおつまみという感じ。生ハムの和え物は、少し塩辛かった。

 

「生牡蠣」(1個:528円)が来た。なんだ、これは。とにかく、デカい。これは岩ガキではないのかと思うほど。こんなに大きな牡蠣は初めて食べる。北海道仙鳳趾(せんぽうし)産だというので、こちらも後に調べると、釧路の厚岸近くの仙鳳趾では、このような巨大な牡蠣が獲れるのだとか。牡蠣特有の野性味もあって、旨い。牡蠣は大好物だけど、生牡蠣は普段食べる機会がないので(居酒屋とかめったに行かない)、うれしい。

 

続いて、「生ハム3種盛り」(1,188円)。突き出しで出てきたクラッカーが添えられている。右側の四角のもの1種と左側の円いもの2種。一番左の赤いものは、チョリソーだったはず(そんなに辛くなかった)。四角の生ハムがメチャクチャ美味しい。生ハムは、時々食べるのだけれど、塩辛いことが多く、あまり美味しいと思ったことがなかった。しかし、これは程良い塩梅で、柔らかくて、脂がのっていて、旨い。生ハムとしては、過去最高の旨さである。

 

「タパス盛合せ2人前」(1,320円)が到着。タパス(Tapas)とは、スペイン語で前菜(オードブル、アペタイザー)のことだという。時計回りに12時の方向から「キノコのアヒージョ」、「スペイン風ポテトサラダ ガーリックフライのせ」、「タコのマリネ」、「ささみの和え物」、「スペイン風オムレツ」の5種。メニュー名は、ちゃんとお店の人が説明してくれたのだけれど、やはりメモを取っていないので、推定。特に「キノコのアヒージョ」と「タコのマリネ」が美味しかった。

 

メインは「マドリッド風カジョス(牛ハチノスの煮込み)」 (1,028円)をオーダー。丸い豆と一緒に、ハチノスがトマトソースで煮込まれている。ハチノスは柔らかくて、食べやすく、あっという間に平らげてしまった。

 

続いて、この店の名物だというパエリア。「オマール出汁の魚介パエリア」(1,628円)を選んだ。魚介の旨味がお米にしっかりしみ込んだ濃厚な味わい。お米の芯にほんの少し硬いところが残っていて、美味しい。

 

どのメニューも美味しいので、もう1品食べようと、カニの料理を注文するも、売り切れのため(なお、生牡蠣は自分たちが本日のラスイチだった模様)、再度「タパス盛合せ」を今度は1人前(803円)でオーダー。時計回りに12時の方向から「根菜のスペイン風煮物」、「ピスタチオ」、「合鴨のパテ」、「オリーブのオイル漬け」、「金柑のマリネ」(例によってメニュー名は全て推定)。「合鴨のパテ」はもちろん、「ピスタチオ」も妙に旨い。とにかく、全てのメニューが美味しく、物珍しい料理が多かった。

 

デザートは「チュロス&ホットチョコラータ」(638円)。チュロスは温かく、ホットチョコは甘すぎず、良い感じ。

 

店内は、満席ながら、オーダーしたメニューは割に早く到着するし、お店の人がメニューの説明もしてくれる。お客はほぼ全員カップルで、自分たち以外はみんなワインを飲んでいるので、ちょっと話し声がうるさいけれど、気軽なバルなので、こんなものだろう。居心地も、ナチュラルで良かった。会計したレシートに、キチンとメニュー名と金額が記載されているのもポイント高い。十三で飲む機会があるのなら、絶対に外せない店である。

 

 

●本日のメニュー

シャーク(エナジードリンク) 418

突き出し(生ハムの和え物&クラッカー/席料分として) 330

生牡蠣(北海道釧路・仙鳳趾(せんぽうし)産) 528×2

生ハム3種盛り 1,188

タパス盛合せ2人前 1,320

マドリッド風カジョス(牛ハチノスの煮込み) 1,028

オマール出汁の魚介パエリア 1,628

タパス盛合せ1人前 803

チュロス&ホットチョコラータ 638

 

●DATA

スペインバルTiburon (ティブロン)

大阪市淀川区十三本町2-3-3(路面店)

アクセス:

①阪急十三駅の西改札口を出て、すぐの四つ角を右折し(きんつばやみたらし団子で有名な「喜八洲総本舗」本店までは行かない)、飲食店街を進む。

②飲食店街が終わったところ(沖縄料理の店「はながさ」)の角を左折し(右折すると阪急の踏切)、国道176号線高架をくぐる。そのまま直進し、20~30m進んだ右手(北側)。徒歩3~4分。

営業時間:ランチ:火・木・土曜11:30~13:30(ラストオーダー)

       ディナー:17:30~22:00(ラストオーダー)

定休日:日曜

席数:24席(カウンター8席、テーブル4席×4台)

https://tiburonspanishbar.wixsite.com/tiburon