【名店百店63】紅恋灯(くれんど)(大阪・肥後橋)

 

強烈な中毒性を放つ危険な味わいの野菜丼。

遅れてきた青春がよみがえる思い出の味。

 

30代前半の頃、大阪・肥後橋にオフィスのある会社に転職した。部署は数十人の大所帯。中でも、自分より4~5歳ほど年上の同世代の先輩方が6~7人もおり、歳が近いせいかみんな仲が良く、11時30分頃になると連れ立ってランチに出かける習慣があった。自分もそのランチに誘われ、諸先輩方のランチについていった。

 

「うらちゅう」に行こうと、誘われた。うらちゅう? 聞けば、オフィスの裏の中華屋なので、「裏中」と呼んでいるとのこと(正確には裏ではないのだけれど)。うらちゅうの他に、「うらめしや(裏の飯屋)」というのもあったけれど、それほどは行かなかった。専らうらちゅうである。うらちゅうで食事した後、近くの喫茶店で、お茶しながら、週刊漫画誌やスポーツ紙を読むというのが当時の必勝パターンだった。

 

うらちゅう=紅恋灯(くれんど)は、いわゆる町中華の一種である。厨房に初老のおじさま1名とお兄さん1名、フロアのおばさま含め、3名体制。初老のおじさまは最近、別の方に変わったようだけれど、お兄さんとおばさまは変わらない。

 

メニューは、以下の通り。料金は20年前から変わっていない。

 

ラーメン 500円

天津麺 600円

マーボー麺 650円(お勧め)

チャンポン 650円

焼きそば 500円

五目焼きそば 650円

焼き飯 500円(焼き飯系メニューをオーダーしている人が多いけど、自分はそれほど旨いとは思わない)

カレー焼き飯 550円(人気メニュー。さらに天津(玉子焼き)のせにする客多し。天津のせ<全メニュー可>は100円アップだったかな)

五目焼き飯 650円

天津丼 600円

中華丼 650円

マーボー丼 650円(お勧め)

野菜丼 650円(キラーメニュー)

ニラ玉丼 700円(美味しいけど、やや物足りない。野菜丼のように豚バラ肉が入っていないせいか?)

半チャンラーメン 700円(ラーメンはシンプルな味わいで、意外に旨い)

半チャンやきそば 700円

ライス 180円

※大盛り200円増し(かなりお腹いっぱいになるので、危険。大盛りは必要ない)

 

キラーメニューは野菜丼。肥後橋勤務の約9年間、多い時は週3~4ペース、少なくとも週1回は通ったはずである。週1回通ったとして年間50回×9年で、450回。その内、半分は野菜丼をオーダーしたと思うので、どう少なく見積もっても、200回以上、食べているはずである。

 

最大の特長は、このキャベツのボリューム感&脂のギトギト具合。ニンジン、ニラ、タマネギ、もやし、豚バラ肉もたっぷり入っている。独特の味。それほど濃くはないのだけど、翌日、また食べたくなる強烈な中毒性がある。一体何が入っているのか。牛骨か? 謎の味。この中毒性はどこから生み出されるのか、どなたか教えていただきたい。

 

紅恋灯に通っていた30代は、仕事も覚え、大きな案件を次々と任され、好きなようにやっていた。一人暮らしをしていた時期とも重なり、仕事もプライベートもやりたい放題だった。また、ちょうど元カノとの交際と別れ、婚活を行っていた時期とも合致している。自分は、いたずらに孤独な大学時代を過ごしてしまったので、それはまさに遅れてきた青春だった。

 

紅恋灯(うらちゅう)の野菜丼は、遅れてきた青春時代の思い出の味。そして、謎の中毒性を放ち続ける甘く危険な味である。

 

●本日のメニュー

野菜丼 650円

 

●DATA

紅恋灯(くれんど)

大阪市西区土佐堀1-1-32(路面店)

アクセス:

①大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅③出口を出ると、そこは土佐堀通りの北側で、アパホテル大阪肥後橋駅前である。

②土佐堀通り北側歩道を西に進み、シェルのガソリンスタンドを越え(土佐堀通りを挟んだ向かいに中華料理「徐園」の門がある)、三菱重工業関西支社前の信号のある四つ角を右折する。

③右折してすぐの角をまた右折し(土佐堀川に架かる筑前橋は渡らない)、すぐ左手(北側)の路面店。常に行列ができているので、行列が目印。三菱重工業関西支社の裏手。徒歩約5分。

営業時間:11:30~13:30(ラストオーダー)

定休日:土・日・祝日

席数:約21席(カウンター約5席、テーブル4席×4台)