妻から「妊娠したかも」との話があったのは生理の来る予定日から約1週間後。妻が病院で診察を受け、妊娠がはっきりしたのがさらにその約3週間後。つまり、最初に病院に診てもらったこの時点で、すでに妊娠8~9週目(妊娠2ヵ月最終週~3ヵ月1週目)に入っていた。待望の妊娠でとても喜んだのだけれど、じゃあ妊娠した妻の夫は何をすれば良いのかといえば、全く分からない。差し当たり、妻には無理をせず、料理や掃除はやりたくなければやらなくて良い、リラックスしてのんびり過ごしなさいというようなことを言った。「○○○クラブ」という妊婦向けの雑誌があったはずだから買ってこようかと尋ねてみたのだが、妊娠・出産関連の本は知り合いから色々と譲ってもらうので要らないとのことで、とりあえず僕が何かできることはないようだった。



早速、妻は役所に妊娠届を提出し、母子健康手帳と妊婦健康診査受診券(市区町村から健診受診料の補助が出る)、マタニティマーク(電車内などで妊婦であることを示すものだけど、街で見かけたことはほとんどない)などをもらってきた。母子健康手帳というのは国から発行されるものだとばかり思っていたのだが、居住する市区町村から独自に発行されており、妻のは手書きのイラストが入っているかわいらしいものだった。「プレパパ・プレママ教室」のお知らせなどもあったが、平日しか開催されていないので、僕が行くには仕事の調整が必要であり、ぜひ行きたいのだがまだ行けずにいる。



妻は妊娠7週目頃から徐々に食欲が落ちてきた。8週目頃からは土日の昼間に時々横になるようになった。妊娠3ヵ月に入った9週目頃からは、つわりの症状が本格的に出てきたようだった。夫からはその本当の辛さは正直に言ってよく分からないのだけれど、つわりというのは妻の場合、以下のような感じだった。①食欲の減退。好物の脂っこいものや甘いものが食べられなくなり、食べる量も大幅に減った ②胸のむかつき。あまり吐いたりはしていないようだが、ムカムカするようだった。「口の中をさっぱりさせたい」ということで、普段は夏でもあまり食べないアイスキャンディーや炭酸飲料を口にするようになった ③体が辛いようで、土日の昼間でも横になっている時間が多くなった。平日も僕より先に布団に入る



①の食欲のなさは、予想以上のもので、あれだけ好きだった甘いものを「要らない」と言ってほとんど食べない。「金曜日はデパ地下でお菓子を買って帰る」というのが我が家の生活パターンなのだけれど、チーズケーキもロールケーキもシュークリームもプリンも焼き菓子も要らないと言う。仕方がないので、それでも夏場はアイスキャンディを買ったりもしていたのだけれど、現在は野菜スープを買って帰るようにしている。


②のむかつきは特に食べ物のニオイ(中でもご飯の炊けるニオイが強烈らしい)がダメらしく、むかつきをおさえるために、それまでめったに飲まなかったサイダーなどの炭酸飲料をゴクゴク飲むようになった。今でも我が家の冷蔵庫の中にはサイダーが常備されている。③の体の辛さは、朝は割と元気なのだが、夕食を食べた後の夜が特に辛いようで、ため息をついたり、唸ったりして横になっている。しかし、そんな妻を前にしても、夫はせいぜい少し家事を手伝ったり、声をかけて体をさすってやることぐらいしかできない。



妊娠4ヵ月(13週目~)に入った頃、妻が妊娠したことを周囲に伝えた。この反応がなかなか興味深かったので、ちょっと書いてみる。反応は性別と既婚・未婚によって以下の3パターンに大別された。①独身者:「おめでとうございます」というお祝いの言葉のみ。本人または妻の妊娠・出産の経験がないため、お祝いの言葉以外に言うべきアドバイスや質問なども特にないということだろう。



②子どものいる既婚者の男性:「今何カ月?」「奥さんのつわりは?」と、妻の様子を聞いた上で、アドバイスをくれる人が多い。「中には水しか飲めないような重い人もいる」「安定期に入ったら収まる」「安定期に入ったらバクバク食べるようになるので、食べ過ぎに注意しないといけない」など、色々と教えてくれる。また、「僕のところは娘一人だけで、オモチャなどのベビー用品一式がキレイなまま残っているので、女の子が生まれたら全てもらってくれないか?」という話も先輩方からいただいた(しかし、残念ながらこちらも妻の実家におい・めいが多数いるので、間に合っているのである)。



③子どものいる既婚者の女性:男性の場合、主に妻のつわりに関する話が多いのだけれど、女性の場合は「予定日は?」とまず聞いてきて、「4月○日」と答えると「今、4カ月か」などと計算した上で(さすが自ら妊娠・出産の経験がある女性は予定日を聞いただけですぐに現在妊娠何カ月かが分かるようだった)、つわりの話から出産、子育てまで、どんどん話が広がる。「いよいよパパになるんだね」と父親としての自覚を促すような話になったり、「男の子か女の子かを早めに知って、準備した方が良い。男の子は体が弱くて育てにくい。私の場合は…」と子育て論に突入する人もいた。



また、複数の女性から「奥さんはいくつ?」と質問を受けた(この質問は僕の年齢が40歳過ぎであることから出ると思われる)。30代前半だと年齢を言うと、「それならまだ少し若いから大丈夫かもしれないけど…」と高齢出産のリスク(30歳を超えた頃から高まる高齢出産のリスクには、当ブログでも以前に書いた「妊娠のしにくさ」の他に、妊娠時と分娩時に複数のリスクがある。詳細は後述)を教えてくれる。中には、「今はどうか知らないけど、私たちの頃は35歳以上だと母子健康手帳に高齢出産を示す「マル高」のハンコを押された」という話も聞いたけれど、本当かどうかまだ確認できていない。



さらに、「続けてすぐに2人目を作らないといけない」というアドバイスも複数の女性からいただいた。「出産後すぐは妊娠しやすい」(真偽の程は不明)、「年子は妊娠・出産が連続してしんどいので、1~2年空けてからなどと思っていると、妻も夫もそれだけ歳をとり、どんどん妊娠しにくくなる。世の中には二人目不妊の人が意外に多い」と、親身のアドバイスをいただき、非常にありがたかった。そう、僕自身、まだ1人目が生まれていないというのに、すでに2人目のことを心配しているのは確かなのだ。