なかなか行為を行えず、行えたとしてもフィニッシュできない日々が1年半もの間続き、ストレス過多の業務の終了と同時にまたちゃんと行えるようになった。行えるようになったので、早く子どもが欲しいと、早速排卵日と思われる日の1日前に行ったものの、妻に例月通りのものがやってきた、という話を前回までで書いた。



それまでも排卵日と思われる日の前後に行ったことは数回あった。今回もちゃんと排卵日の1日前にしたのにできない。でも、やはり何度か頑張らないと無理なのだ。「タイミング法を使ってジャストタイミングでキチンと行ったとしても、1回の排卵で受精する確率は30%前後」という話を本で読んだことがあった。それに加えて、妻は30代前半、僕は40歳過ぎと高齢化が進んでいるので、受精する確率は「30%」よりさらに下がっているだろう。ようし、この夏、がんばろう。この夏できなかったら、妻に基礎体温表を付けてもらうように頼もう。それでも年内にできなかったら、新年早々、二人で病院に行こう。そう決意した。そう決意しなければならないほど、自分の中でずっと問題を先送りしてしまっており、精神的に追いつめられていた。結婚からちょうど2年が経とうとしていた。



もうやるしかない。その次の排卵日と思われる日も1日前に行ったのだけれど、平日で疲れているのか、どうしてもフィニッシュできなかった。その翌日は急に転勤が決まった親友と痛飲したため、かなり酔った状態で帰宅も遅く、何もできず。それではと、次の日に行うと、ちゃんとできた。その翌日も休日の土曜日だったせいか、ちゃんとできた。排卵日と思われる日の1日後と2日後と2日連続でできたのである。それまで、妻と2日連続で行ったことはほとんどなかった。「1日後」と「2日後」と、排卵日の「前」よりも確率は低いと言われている「後」とはいえ、2連チャンで行ったのだからと期待した。



翌々週、例月通りのものがやってくる日に妻の様子を観察したのだけれど、特にお月様が来た様子はない。その次の日もない。これはもしやと期待した。週末の土曜日、「体調は大丈夫?」とそれとなく尋ねてみると、いつもより1日早く例月のものが来ていたということが分かった。ショックで妻と話をする気がなくなり、この日はほとんど口をきかなかった。



夏が始まっていた。この3ヵ月で何とかしないといけない、もう後がないと自分を追い込んだ。またまた書店に行き、再度タイミング法について調べた。排卵日前後のいつ行うのがベストなのか、何かコツのようなものがあるのかをどうしても知りたかった。しかし、ベストのやり方やコツのようなものはどの本にもはっきりとは書かれていない。行う日は「排卵日3日前~排卵日3日後の7日間」または「排卵日3日前~排卵日1日後の5日間」または「排卵日3日前~排卵日当日の4日間」など、幅がある上に諸説ある。それでも、排卵日の前後数日間に、とにかく連日連夜、励むことが大切だという「連続集中」説と、卵子の寿命は半日~1日程度と短いので、排卵の瞬間、そこに精子がいること(精子の寿命は3~5日間程度と言われている)が重要であるという「(排卵日の)後より前」説は、いくつかの本で共通していた。



つまり、排卵日の前の数日間に連続して行うことがベストの方法であるということになる。そこで、その次の排卵日と推定される日の2日前と1日前に連続して行った。もうやるしかないと集中していたせいか、2日ともフィニッシュまで行えた。しかし、約2週間後、妻に例月通りのものがやってきた。軽い落胆はあったものの、今度は先月ほどのショックは受けず、いつも通りにふるまった。やはり1回や2回繰り返したところでダメなのだ。あと2回続けてみよう。今月と来月がんばるしかない。



その次の排卵日と推定される日の3日前は土曜日、2日前は日曜日、1日前は祝日だった。これも何かの巡り合わせだ。3日間とも休日なのだから、3日連続に挑戦してみようと思った。さすがに3日目はちょっと放出量が少ないような感じがしたが、3日前、2日前、1日前と3日連続で行うことができた。やるだけのことはやったという気がした。



2週間後、妻に例月のものが来る日になったけれど、特に変わった様子は見られない。次の日も、その次の日も変わったところはない。「もしかして」と思ったものの、妻に体調のことを聞くのは、はばかれた。先々月のように僕の気づかないうちにお月様がやって来ていたのではないか。いや、今週はかなり注意して見ていたけれど、そんな様子はなかったし、などと思っているうちに1週間が経過した。妻からは何も話はなかったが、「ジャストタイミングで3連チャンしたし、今度こそは」という一縷の望みがあった。