我が應援團では現役が活躍している時代から「果たして誰のリーダーが一番、美しいか?」という議論は絶えず行われておりまして、いつも結論を得ぬまま終わるものでございます。我が團ではビデオ等に乱舞祭の模様を残すという意識が希薄でありまして、現存する最古のVTRは昭和61年の三十二代目乱舞の集いの模様でございます。故に過去、この人は上手かった、とお聞きしたところで実際に見た訳ではございませんので、比較のしようがないのであります。
幸いにも毎年の様に乱舞の集いを見学頂いておりましたOBの方がいらっしゃいまして、現在はこの方の目が一つの基準になっております。
さて、その様な背景がありますが、歴代の名リーダーを語る時、必ず名が出て来る方と言えば二十七代目甲南大學應援團 山口尊司リーダー部長であります。一種、別格の如き扱いでありまして、山口リーダー部長のリーダーを観て「ウチのリーダーの型はこんなに美しかったのか」と感嘆する我が團の現役、OBが多々おりました。謂わば、我が團に伝わるリーダーの型が持つ可能性を広げられたのが山口リーダー部長であったと言えましょう。
【伝説の山口リーダー部長指揮による應援歌】
應援團が演ずる演武や乱舞を演ずるには、見た目以上の相当な体力が要求されます。乱舞では四股立ち等の不自然な体勢で演じる時間が長い訳ですので、上半身も下半身もかなりの筋力が必要ですし、スタミナもなければなりません。
代々リーダー部長が演ずる「乱れ八拍子」という乱舞がございますが、昭和50年代前半頃までは10分程度の演目だったものが、山口リーダー部長を境に20分を超える大作に変貌致しました。乱舞を演ずる限界の時間ではないかと思われます。
山口リーダー部長の場合、動きの一つ一つが実に流麗で20分という時間を感じさせない美しさがあったと伝えられております。その切れ味鋭い腕の動きは余人には真似出来ないであろうと思わせる域に達していたとされています
八代目甲南大學應援團團史編纂委員会