昨日の名札の記事 、一昨日の記事に対するコメント で言及された字の上手下手の問題から、今度はふと名刺の事を思い出しましたので、書いてみましょう。
我が應援團の團員も幹部及び学内外の団体と調整、交渉を行う役割を担う3回生は名刺を持っておりました。今日でこそPCの技術の向上によって様々なデザインの名刺が巷に溢れておりますが、一昔前は味気ない活字の名刺が一般的でございました。
その中、團員はそういう名刺では物足りず様々な工夫を凝らしたものであります。
まずは紙でありますが、上質な和紙や桐を使用致したりします。そして次は文字でありますが、最初に試すのが既成の活字の中で比較的、筆文字に近い字体での製作でございますが、もう一つ物足りなさが残るものであります。
そこで手書きの原稿を印刷屋に持ち込む手段に出る訳でございますが、文化会の書道部に依頼していた時期がございました。ところが毎年、書き手が代わるものでありますから、時として
「自分で書いた方が幾らかマシでは??」
という事態が起こったりするのであります。それにも増して他校と比較しても決して見劣りしない物を作りたいという欲がございますので、研究が進む訳でございます。
我が應援團の團室の名刺入れには、過去、名刺交換させて頂いた名刺が多数、保管されておりまして、その中には他校應援團の方等、立派な墨字の名刺が含まれております。それらの物を具に拝見し辿り着いた理想の字が以下の名刺であります。
この絶妙な筆運びに感嘆し「これしかない」と思い定めたものの「はて、何処で製作をお願いすれば良いのか?」という重大な問題に直面したのであります。
このお方、ご子息が甲南に通っておられた事がありましたので、多少のご縁がございましたが、いくらご自宅が我が應援團本部の近くとは言え
「すんまへん、この名刺、何処で作ってはるんでっか?」
と訊きに伺う訳にも参りません。止むなく電話帳を元に、製作元捜索の旅が始まったのであります。当時、神戸市は人口の割にこの手の名刺の需要が高く、取り扱っている名刺屋が多数ありましたが、執念とは恐しいもので、遂に探し当てたのであります。
値段は意外に高く初回は書き料込みで1万2-3千円/100枚だったと記憶しております。2回目以降は印刷代と紙代だけですので、それ程はかかりません。
また通常、名刺では会社の社章等は左肩に捺すものでありますが、右肩に捺す「神戸スタイル」もささやかなこだわりであります。
最初にこの印刷屋に依頼した時は、大学生の名刺を作るのは初めてという事でえらく気に入って頂きまして、学割適用1万円ポッキリで製作して頂けました。以降、我が團の幹部はこの印刷屋で名刺を作るのが慣例となっておりました。地の利を生かした勝利と言えましょう。
お蔭で何処で名刺交換をしても、名刺だけは全国應援團業界でもトップクラスの出来栄えだったと今でも思っております。たかが名刺、されど名刺と言ったところでありましょうか。
八代目甲南大學應援團OB会
広報委員会