前に描いた絵本…
あんまり読んでもらう機会がないので 載せちゃいます
よかったら 読んでくださいね
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さくらじいさんは、いつもはだかんぼうです
むかしは、とってもきれいな さくらのはなが、いっぱいさいたけど、
いまは としをとって、げんきがありません。
ピンクのはなで いっぱいになる はるも、みどりのはっぱで いっぱいになる なつも、さくらじいさんは、はだかんぼう‥。
はるの おはなみも、なつの こかげのおひるねも、だれもきてくれません。だけど、さくらじいさんは、すっかり ひとりぼっちになれて、ぜんぜんへいきです。
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あるひ、さくらじいさんが、いつものように おひるねをしていると、
りすのぼうやが ぶつかってきました。
「いてててて。さくらじいさん、ごめんね。あさがおのたねを いっぱいもっていたから、まえが みえなかったんだ。うさぎくんのおにわに、うえるんだよ。」
りすのぼうやの まわりには、たくさんのたねが おちていました。
りすのぼうやは、おとした たねを、ひろえるだけひろうと はしっていってしまいました。
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りすのぼうやが いったあと、さくらじいさんのまわりには、あさがおのたねが、まだ たくさんおちていました。ちいさな、ちいさな あさがおのたねたちは、ちいさなめを パチパチさせてさくらじいさんを みあげていました。
「おやおや、おちびさんたち。おいてけぼりかい?すまないが、わたしは、ひるねのつづきを させてもらうよ。」
フワーッッとおおきな あくびをすると、さくらじいさんは、
またねむりはじめてしまいました。
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なんにちかたって、さくらじいさんが、いつものように おひるねをしていると、くすくすっと、わらいごえが きこえてきました。
さくらじいさんが、あしもとをみると、ちいさな あさがおのふたばたちが、わらったり、おどったりしていました。
「おやおや、おまえさんたち、めが でたのかい。」
「そうだよ。これから、どんどん おおきくなるよ。」
ちいさな あさがおの ふたばたちは、げんきいっぱいです。
「そうかい。そうかい。」
さくらじいさんは、にっこりしました。
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あさがおたちは、まいにち、まいにち、おおきくなっていきました。つるになった あさがおたちは、さくらじいさんを こちょこちょくすぐります。
「ふはははは。やめておくれ。」
「さくらじいさん。ぼくたち、こんなにおおきくなったよ。これからもっと、
もっと、おおきくなるよ。」
「そうかい。そうかい。どんどん おおきくおなり。」
さくらじいさんは、あさがおたちとの おしゃべりや、あさがおたちの
せいちょうが、いつのまにか たのしみになっていました。おおきくなった あさがおたちは、ぐるぐる、にょきにょき、さくらじいさんのからだを のぼっていきました。そして、さくらじいさんを すっかりつつみこむと、こんどは とってもきれいな あさがおのはなが、ぽこぽこと、さきはじめました。
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あさがおのはなが、いっぱい、いっぱいさいて、さくらじいさんは
すてきな、すてきな、あさがおのきになりました。
「ははははは。これはゆかいだ。わたしに はながさいたのは、なんねんぶりだろう。」
さくらじいさんは、おおよろこび。とてもうれしくなって、うたをうたいはじめました。
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さくらじいさんの うたごえは、もりじゅうに ひびきわたりました。
うたごえを きいた もりのどうぶつちが、なんだろうとやってきました。
そして、みんな さくらじいさんをみて、びっくり。
「さくらじいさん。なんて すてきなんだい。」
「とってもきれいよ。さくらじいさん。」
みんな、さくらじいさんを ほめました。
「みておくれ。わたしに、ひさしぶりに はなが さいたみたいだよ。
はははは。とってもきれいだろう。みんな、みておくれ。」
さくらじいさんは、とっても おしゃべりになっていました。
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もりのどうぶつたちは、さくらじいさんをかこんで おはなみをすることにしました。わいわい、がやがや、だいえんかいです。うったったり、おどったり、とってもにぎやか。さくらじいさんも うたっています。さくらじいさんは、ひさしぶりに みんなが おはなみにきてくれて、うれしくて たのしくて、しょうがありません。
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やがて、あさがおたちは かれて、たねになりました。ちいさなあさがおの たねたちは、もりのどうぶつたちに ひろわれていきました。そして、さくらじいさんは、もとの はだかんぼうに もどってしまいました。
「ひとりぼっちに、もどったなぁ‥。」
さくらじいさんは、つぶやきました。ひとりぼっちは、なれていたのに、
こんどは なんだか ちがいます。
ひとりぼっちが、とってもさみしくおもいます。
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さくらじいさんは、めをとじて、あさがおたちのことや、たのしかった おはなみのだいえんかいを おもいだしました。
「どんどん、どんどん、おおきくなるよ。」
あさがおたちは、とっても かわいかったなぁ
「さくらじいさん、とっても きれいだよ。」
りすのぼうやが、ほめてくれたなぁ。
「さくらじいさんも、ほら、いっしょに さけをのもう。」
たぬきのおやじが、さけをくれたなぁ。
「さくらじいさん、うたが うまいんだねぇ。」
くまのじいさんが、ほめてくれたなぁ。
「さくらじいさん。また、はなを さかせてごらんよ。」
うさぎのおかあさんが、はげましてくれたなぁ。
たのしかったことが、たくさん うかんできます。すると、
「さくらじいさん。」
とよぶこえがきこえました。
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さくらじさんが、めをあけると、りすとうさぎのぼうやが いました。
「さくらじいさん、また あさがおのきに なってね。」
つぎに、うさぎのおとうさんが、こえをかけてきました。
「さくらじいさん、このあいだは、とってもきれいだったよ。」
たぬきのおやじもやってきました。
「さくらじいさん、また、いっしょに さけをのもう。」
そういって、くいっと さけをのむまねをしました。
くまのじいさんも やってきました。
「さくらじいさん、またいっしょに うたおうか。」
「ああ、そうだね。またみんなで、だいえんかいをしたいね。
たのしみだなぁ。わははは。」
さくらじいさんは、おおきなこえで わらいました。はだかんぼうだけど、さくらじいさんは、ひとりぼっちじゃなくなりました。
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やがて、どうぶつたちが とうみんする、ふゆがやってきました。
さくらじいさんは、ひとりぼっちでしたが、いつものふゆとは なんだかちがいます。はるがくるのが、まちどおしくて、まちどおしくて、しかたがありません。
「はるになったら、りすのぼうやたちに、あさがおのたねを うえてもらおう。」
「また、あさがおたちと、いっぱい おしゃべりしよう。」
「うさぎのおやじに、すてきな あさがおのはなを みせたいなぁ。」
「そうだ、たぬきのおやじと いっぱいやらなきゃ。」
「くまのじいさんと、なにを うたおうかなぁ。」
「‥‥あぁ、みんなに わたしのさくらのはなも みせたいなぁ‥。
もういちど、わたしも はなを さかせたいなぁ。あぁ、さかせたいなぁ。」
いろいろなことを おもいながら、さくらじいさんは、ねむってしまいました。
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そして、さくらじいさんは、ゆめをみました。
さくらじいさんの、まんかいの さくらのはなのしたで、みんながおどっています。
あさがおたちも、もりのどうぶつたちも、さくらじいさんも‥。
いよいよ、おまちかねの はるがやってきました。
さくらじいさんは、はやく だれかこないかなぁと そわそわしています。
そこへ、りすとうさぎのぼうやが やってきました。
にひきは、さくらじいさんをみると
「あっ!」
とおどろきました。
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「さっさくらじいさん。さくらじいさんのはなが さいているよ。」
「えぇっ!」
さくらじいさんは、おどろいて えだのほうを みあげました。
はだかんぼうだった さくらじいさんのえだに ピンクいろの きれいな さくらのはなが、みっつさいています。さくらじいさんは、おどろいて なかなかこえがでません。
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すると、うさぎのぼうやが ぴょんとはずんで
「ぼく、おかあさんに おしえてくる。」
とかけていきました。
「ぼくも、みんなに おしえにいこう。」
りすのぼうやも、もりのみんなを よびにいきました。
「わはははははは。」
さくらじいさんは、おおきなこえで わらいだしました。そして、あさがおのきに なったときのように、うたを うたいはじめました。
もりのみんなが あつまったら、きっと、おいわいのだいえんかいになるに ちがいありません。さくらじいさんの はずんだ うたごえは、もりじゅうに ひびきわるのでした。
==おしまい==
読んでいただいて ありがとうございました
咲きたいと思わなきゃ、咲けいないですよね