歌舞伎座名物「東京黒昆布巻き押し鮨」、誕生! | 「米吾」オフィシャルブログ

歌舞伎座名物「東京黒昆布巻き押し鮨」、誕生!

201011月、「株式会社 米吾 」(以下「米吾」)は「吾左衛門鮓 鯖 」を、歌舞伎座名物「東京黒昆布巻き押し鮨 」としてリニューアルし、東京地区限定で販売します。本日1028日午後には銀座にある紙パルプ会館にてプレス発表が行われ、「米吾」の内田雄一朗社長が新商品について熱く語りました。ブログをご覧の皆様にも、その熱さに負けないように詳細にご紹介させていただきます。


1) 「歌舞伎座名物」の由来

特許も取得した「氷温熟成技術」という革命的な解凍システムの開発を機に、駅弁としてばかりでなく、お土産物やご贈答品としても市場を広げてきた「吾左衛門鮓 」。東京でも有名百貨店地下や、東京駅構内、羽田空港などで取扱いがあることは、このブログの中でも紹介してきました。その取扱店に、歌舞伎座があったことを覚えていらっしゃいますでしょうか。



歌舞伎座で「米吾」が「吾左衛門鮓 」を販売するようになったのは2002年。松竹会長の永山武臣氏の奥様が食べたことがきっかけでした。



当時、歌舞伎座では押し鮨も含めて「生もの」の取り扱いはありませんでした。しかし、「吾左衛門鮓」の美味しさが知られるようになり、扱ってみたいと思っていただけるようになりました。そして本来押し鮨は保存を考えた食品 でもあることもあり、試験的に販売してみようということになったのです。




期間限定で始まった「吾左衛門鮓 」の販売でしたが、安全性が確認できたこと、そして何といっても観客に好評を博したことから、常時取り扱われることになりました。こうして20104月の休館まで約8年間、「吾左衛門鮓」は幕間に食べられる弁当として、お土産として多くの観客に利用されていました。



「歌舞伎座に行ったら、必ず買う」という固定客も多く、すっかり「歌舞伎座土産」として定着していた「吾左衛門鮓 」。他の取扱店にも「歌舞伎座で食べて美味しかったから」というリピーターが多数訪れており、東京ではすっかり山陰鳥取の名物というよりは、歌舞伎座の名物となっていたのです。こうした実績から、リニューアルにあたって商品名に「歌舞伎座名物」冠してパッケージにそれを謳うことは、歌舞伎座公認で行われています。


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東京黒昆布巻き押し鮨 パッケージ

歌舞伎のはじまり

歌舞伎は、1603年(慶長8年)に巫女(みこ)を名乗る国という女性(出雲の阿国)が変わった風体の男装で踊ったことが起源であると、当代記(とうだいき)」という史料に記述があります。この「変わった風体の男」とは、当時奇抜な服装をし、世間の秩序に反して行動する「かぶき者」とよばれた人々をさしており、このことから、阿国の踊りは「かぶき踊り」と呼ばれました。「歌舞伎(かぶき)」の名称はここからきているのです。歌舞伎は、約400年の歴史の中で、さまざまな時代の困難を乗り越えながら、他の芸能やそのときどきの流行などを貪欲(どんよく)に取り入れ、逞しく柔軟に発展していきます。演劇・舞踊・音楽の各要素を備えた「総合芸術」として確立し、民衆に愛される伝統芸能として、江戸の粋を現代に伝えています。1986年には、「スーパー歌舞伎」により現代劇の要素も取り入れ、新境地を開いています。




② 米吾のはじまり

江戸時代と共に始まった伝統ある芸能、「歌舞伎」。そしてその始まりのころに、「米吾」の前身である「米屋」も始まっていました。



既にこのブログの中でもご紹介 している通り、「米吾」を経営する内田家の先祖、吾左衛門は、1600年代前半に山陰の豊かな自然がはぐくんだ米を扱う米問屋と、その米を関西や九州に運ぶ回船問屋を兼業する「米屋」を営みはじめました。江戸時代の間、順調に営みを続けてきた「米屋」でしたが、明治の開国とともに激変した米情勢に対応して、業態を変えていくことになります。宿泊業を経て、仕出しと駅弁を主業務とするの「米吾」が誕生し、それが主業務となって現在に至っているのです。山陰の豊かな自然が育んだ米を中心に、いつの時代も愚直なまでに真摯に食と向き合ってきた「米吾」の看板商品「吾左衛門鮓」は、5代目吾左衛門が船子に振舞った押し鮨を起源としています。丁度その頃には、伯耆国(ほうきのくに)でも「かぶき踊り」が見られたかもしれません。


 芸能と食の出会い

江戸中期には、それまで握り飯などが主流であった弁当が、料理と白飯の詰め合わせに進化し、芝居小屋で幕間の楽しみとしても食べられるようになります。幕間、幕の内に食べられる弁当、これが「幕の内弁当」という名称の由来です。食と芸能とが関わり合いを持つようになったのはこの頃だったのです。



明治、大正を経て、「吾左衛門鮓 」は、「山陰名物」となりうる駅弁として1978年(昭和53年)に開発され、そして、現社長内田雄一朗氏によって開発された解凍技術によって市場を拡大し東京へもやってきました。松竹の永山会長の奥様の口に入ったことによって、ほぼ同時期に誕生して互いに350年の歴史を刻んだ2つの伝統が、2001年(平成12年)に歌舞伎座で出会いました。そしていま、この出会いが新たな「東京名物」を誕生させます。


2) 新商品の特徴

「吾左衛門鮓」から「東京黒昆布巻き押し鮨 」へのリニューアルにあたって、「米吾」が大きく意識したのは、商品の位置づけです。「東京黒昆布巻き押し鮨」は、いまや売上の半分を占めるようになっているお土産や贈答品としての色をより強め、親しい方々への「歌舞伎座土産」、ひいては「東京土産」として手に取っていただけるように工夫しました。



① 新名称  「吾左衛門鮓 鯖」から、歌舞伎座名物「東京黒昆布巻押し鮨 」へ

歌舞伎座名物を謳うことのいわれは、ご紹介してきたとおりです。さらに「吾左衛門鮓」から「東京黒昆布巻き押し鮨」と名称を変更します。


「吾左衛門鮓」の名称は、「米吾」が「米屋」の時代から基盤を築いてきた山陰の消費者に向けて「先祖の思いやりの心」から作られた商品であることを示したものでした。なぜならば、誕生当初の「吾左衛門鮓」は、米子を中心とした駅や山陰線車内で販売される「駅弁」であったからです。


「氷温熟成技術」の開発で十分な供給量が確保できるようになると、鳥取県内主要百貨店や空港、通信販売などで販路を広げ、「お土産物」として色合いが濃くなっていきました。全国へも市場を拡大し、20097月に日本経済新聞「何でもランキングNIKKEI PLUS1」の「夏におすすめ取り寄せずし」部門で堂々の6位に輝いています。


日本古来の伝統食「押鮨」の代表として認められたこの押し鮨を地方の一名産品にから、全国へ、そして世界へと知らしめていく決意を表したのが新名称「東京黒昆布巻き押し鮨 」です。


歌舞伎座名物として、「寿司は握り」の江戸っ子にも認められた「東京の味」であること、鯖鮨の代名詞「ばってら」とは異なり、薄い白板昆布が上に載っているのではなく、厚手の黒い真昆布でくるまれている押し鮨であることを「東京黒昆布巻き押し鮨 」と言う商品名は有体に言い表したものです。パッケージに写真を載せなくても、商品名で中身が容易に想像できる分かりやすさに、こだわりました。




② 「黒」が表すもの

「東京黒昆布巻き押し鮨」の「黒」は、昆布の色を表すと同時に、商品のイメージカラーでもあります。「黒」が示唆するのは「伝統」、「格式」、「確立」、「あらゆる可能性」です。


黒は、公式の場でハイヤーやタキシードの色としても目にすることがあるように、格式や権威を表す高貴な色です。伝統芸能「歌舞伎」と伝統食押鮨のメーカー「米吾」に、時代を柔軟に生き抜いて築き上げた歴史があることを表します。


黒は自己の確立を表す色。日本を代表する芸能としての確固たる地位を築き上げた「歌舞伎」、特許も取得した「氷温熟成技術」(注2)で業界に革命を起こした技術を持つ「米吾」、それぞれが業界を牽引する自負を黒で表現しています。


黒は、全ての色や光を吸収する色。そしてそこから、新たなものが生まれてくることを示唆する色です。(注3)スーパー歌舞伎で新たな展開を見せる「歌舞伎」、特許製法の発明で近未来の食品製造をリードする「米吾」、そして提案する塩で食べるという新しい鯖鮨の食べ方。それら全ての「可能性」を、黒で表現しています。



③ 新パッケージ

 外箱の半分ほどのスペースに赤い隈取の施された歌舞伎役者の顔が描かれ、一見して「歌舞伎」との関わりが分かるようになっています。従来の「吾左衛門鮓」の上品なパッケージからの衣替えに際してのこだわりは、お土産売り場で目に付きやすいように、鮮やかな原色を多用した点です。歌舞伎座土産としてだけではなく、東京土産としてもその存在を主張するインパクトの強さは、団欒のひと時の話題づくりにも一役買ってくれることでしょう。


パッケージに描かれた太くて赤い隈取は「筋隈」と呼ばれ、若く正義感にあふれた英雄に用いられます。無添加国産の厳選素材にこだわる「米吾」の姿勢と、鳥取県米子市を飛び出して日本全国を市場として制覇することを目指す「黒昆布巻き押し鮨」の心意気や勢いといったものもこのイラストには隠されているのです。


箱の中には、新たに「美食作法」が入れられました。「美食作法」は、「東京黒昆布巻き押し鮨 」の食べ方の極意を示したものです。あたかもパッケージから歌舞伎役者が飛び出して来て口上を述べているような独特の文体が特徴です。


不用意に食べ始めると、「しばらく、しばらく」と隈取りの歌舞伎役者が登場するかもしれません。まずは「美食作法を」読んで食すべし。


さらに、今回から新しく箱に入れられるものがもうひとつ…それについては、明日の更新をお楽しみに。