「米吾」オフィシャルブログ
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「東京黒昆布巻き押し鮨」続報2



東京黒昆布巻き押し鮨 」の発売から、2ヶ月が経過しました。各販売店では、すっかり定番商品となり、「歌舞伎座名物」、「東京土産」として定着してきているようです。



1978年(昭和53年)に山陰名物として誕生した「吾左衛門鮓 鯖 」が歌舞伎座で販売され始めたのは2002年(平成14年)でした。観劇に訪れるお客様の支持を得て、「歌舞伎座土産」として親しまれてきた実績から、「歌舞伎座名物」を冠して新東京土産としてリニューアルすることになったいきさつは、既に「歌舞伎座名物の由来 」でご紹介していましたね。




現在、歌舞伎十八番「暫(しばらく)」の主人公、鎌倉権五郎景政(かまくら ごんごろう かげまさ)を描いたあの印象的なパッケージに金の帯が巻かれて販売されています。帯の右上には「食の専門家フードアナリスト100名が選んだ鯖寿司ランキング 総合第一位」と白抜きの円があり、その下に「駅弁の女王、小林しのぶさんも大絶賛」と記されています。今回はこの金帯についてご紹介していきましょう。


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東京黒昆布巻き押し鮨 」を「鯖寿司ランキング 総合第一位」に選んだ「フードアナリスト」とは、同商品のコンサルティング会社である「一般社団法人 日本フードアナリスト協会」(東京都千代田区一番町15-8、壱番館5階、03-3265-0518)が認定している食の資格の名称です。誕生から6年目を迎えた現在、「フードアナリスト」は全国で6000名を超え、正しく深い知識を持ち、客観性のある評価を下すことのできる食の専門家として、商品開発、テレビやラジオへの出演、雑誌への執筆、インターネット媒体での記事配信、専門分野の本の出版、ミステリーショッパーなど、様々な分野で食と関わっています。「東京黒昆布巻き押し鮨 」の開発にも関わってきました。



その、「フードアナリスト」の有資格者100名が1125日と26日に麹町にある(社)フードアナリスト協会セミナールームに集い、「東京黒昆布巻き押し鮨 」の商品満足度調査が行われました。具体的な調査内容は、 “東京のデパートや駅構内で買うことができる”鯖寿司12種類と「東京黒昆布巻き押し鮨」の合計13種を食べ比べ、味のバランス、鯖の厚さ、脂ののり、シャリの味、お土産としてのお勧め度を5段階で採点するというものでした。


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美食の都、東京は全国から美味、珍味が集います。東京で購入できるということはつまり、全国の選りすぐりの鯖鮨であることと言い換えても過言ではありません。強豪揃い、そして公正なプロの舌での評価という激戦制して、評価5項目のうち味のバランス、鯖の厚さ、お土産としてのお勧め度の3項目で「東京黒昆布巻き押し鮨 」が1位、残り2項目に関しては僅差で2位となり、「総合第一位」となったのです。1位となった3項目の中でも鯖の厚さに関しては全13商品中唯一の4ポイント台、お土産としてのお勧め度は他の追随を許さず2位を0.6ポイント、最下位には1.5ポイントと大きく離しての1位獲得でした。



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味には絶対の自信を持っていましたが、今回の調査で味のバランスにおいて高い評価を受けたことがその裏付けとなりました。販売開始当初には、東京駅構内にある駅弁屋「旨囲門」で試食販売も行われ、私もお手伝いさせていただきましたが、その時にもこの点は肌で感じたことのひとつです。私が一口食べて「と惚れ込んだように、試食していただいたお客様のほとんどが「何これ!美味しい… 」と言って下さり、多数の方々がお買い求め下さったからです。お客様の口からは「食べやすい」というコメントも出ました。これは昆布も含めて全てを一度に食べられる点、まろやかな酸味、しゃりの柔らかさ、これらのバランスの良さへの評価と受け止めていました。専門家の舌で、改めてこの点に関しての評価がされ、数字で結果が出たと言えるでしょう。





また、味ばかりではなく「吾左衛門鮓 鯖 」から「東京黒昆布巻き押し鮨 」へのリニューアルにおける大きな変更点であるパッケージも一役買ってお土産としてのお勧め度では群を抜いて1位となりました。「新東京土産」となるべく開発された同商品にとっては嬉しい評価です。



「フードアナリスト」の中には、20年以上かけて全国各地を巡り、5000を超える駅弁を食べ歩いた“駅弁の女王”小林しのぶさんもいらっしゃいます。小林さんは、自らの肩書に「エキベニスト」と掲げるほどの駅弁には精通、JR東日本での駅弁販売大手NRE(株式会社日本レストランエンタプライズ)ではJTB時刻表の1000号を記念した「1000号はっこう弁当」やJR東京駅構内の「駅弁屋 極(きわみ)」オープンを記念した「東京もちべん」をプロデュースし、NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)で展開している「どら弁当」を監修しています。



小林さんは、近著『全国五つ星の駅弁・空弁』(東京書籍)で、全国津々浦々の駅弁と空弁の中から、味、伝統、全国的知名度などの観点から277点を厳選して紹介しており、その中には「吾左衛門鮓 燻し鯖」と「吾左衛門鮓 漬け鯵」もありました。「吾左衛門鮓 」にはひとかたならぬ関心を示されており、今回の新商品で「吾左衛門鮓 」の代表作「鯖」の進化形である「東京黒昆布巻き押し鮨 」を食されました。



小林さんは、他のフードアナリストと同様に同商品を絶賛したことから、帯へのコメントが載せられました。



評価する視点を意識して食べるということは、日常の生活にはなかなかありません。複数種類のものをこうした意識を持って食べ比べると、なぜかそのものだけを食べた時よりも特徴が顕著になってきます。プロが実際に食べて、「東京黒昆布巻き押し鮨 」を「総合第一位」に選んだのも、鯖、寿司飯、昆布が三位一体で醸し出すハーモニーの素晴らしさに魅せられたからに違いありません。



パッケージに描かれた、歌舞伎役者の顔が心なしか誇らしげに見えてきます。食の専門家もイチオシの鯖寿司は、東京駅、銀座三越、羽田空港にて販売中です。東京駅や羽田空港からご旅行の際には、「東京土産」として、三越にお出かけの際には知人、ご友人への「手土産」やご家族へのお土産として、プロがお勧めする極上の品をお持ちになりませんか?個人的には、専用のオシャレな黒い紙の手提げ袋が付くのもお勧めポイントです。


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「米」、「酢」、「昆布」について

吾左衛門鮓 」の種類について、そして鯖について、と書いてきました“トリビアシリーズ”もついに最終回です。今回は「米」、「酢」、「昆布」についてご紹介していきます。




まずは「米」です。「吾左衛門鮓 」に使用されているのは、鳥取県産のヤマヒカリという品種のお米です。鳥取県の食品メーカーだから、鳥取県のお米を使ったと思われがちですが、実は、そこに辿り着くまでには長い道のりがあったのでした。




米吾 」は美味探求へ限りない情熱を持って商品開発に取り組み、全国各地のいわゆる「美味しいお米」を取り寄せて、食べ比べました。もちろん単純にお米が美味しいというだけではなく、寿司飯として食べた時に美味しいか、そして肝心の〆鯖と組み合わせた時に最もその味わいを引きたてる米なのかを検証したのです。この実にハードルの高い選抜基準で選び抜かれた米が偶然にも地元鳥取の米だったのでした。



名だたる全国の米どころの高級ブランド米を押しのけて、産地を同じくする地元のお米がこの鯖寿司に使用するお米として選ばれたことに、私は偶然というより必然を感じます。やはり組み合わせて食べてより美味しいものは同じ土地にあるものなのですね。身土不二、地産地消にも繋がっているのではないでしょうか、大袈裟かもしれませんが、「神の采配」という言葉を連想してしまいました。



選ばれた鳥取の米、ヤマヒカリは福井県で育成され、1977年に品種登録されたお米です。成熟した時の「中飴色」と呼ばれる色合いが美しく、中山間に光り輝く米、という意味で「ヤマヒカリ」と名付けられました。米子平野から中国山地にかけては、朝夕と昼間に寒暖差があり上質な米が育つ環境があります。コシヒカリ、ひとめぼれ、おまちかね、日本晴、ヤマホウシと共に、ヤマヒカリは鳥取県の大地に育まれています。




ふんわりしているようで、しっかりとした食感もあり、何よりあっさりした味わいが特徴です。酢飯にして、鯖と合わせた時の相性の良さは、このあっさり感がポイントになったのかもしれません。工場見学の際に見せていただいた計量カップを使って 、その日の温度と湿度によって熟練職人が水分調整をほどこして炊飯されることも、おいしさの決め手です。



次は「昆布」、「吾左衛門鮓 」シリーズには、真昆布を使用したものと、白板昆布を使用したものがありますので順番にご紹介して参りましょう。




看板商品でもある「鯖」や「漬け鯵」、「鱒」の腹身に利用されているのは、漆黒の真昆布。進化形である「黒昆布巻き押し鮨」にも使用されています。北海道の中でも上質な真昆布の取れる地域として知られる道南産のものにこだわっています。厚みがあり幅が広く、上品な甘みをもっており、高級だし昆布としても使用されています。清澄で味わい深くいだしを取ることが出来るため、「昆布の王様」と呼ばれることもあるほどです。



東京黒昆布巻き押し鮨 」の記者会見では、上田工場長が特に米吾の使用している昆布のある点について言及しました。それは、敢えて養殖物を使っているということ。なぜなら、天然ものでは厚みにばらつきがありすぎて、均一な柔らかさに炊き上げることがより難しくなるからです。




確かに、「吾左衛門鮓 」の数ある長所のうちでも、米や鯖と一緒に食べられる昆布の柔らかさは特筆すべきものがあると思います。世に数多ある鯖鮨の中には、昆布は風味付けのためだけなのか、とても固くて米や鯖とは食感が異なりすぎるため、わざわざ「昆布は外して食べて下さい」と注意書きがあるものがあります。外した昆布はなんとなくのけ者、いらないもののように思ってしまう方もいて、そのままお皿に残っているのを見かけたこともあります。



昆布には、カルシウムや食物繊維が豊富に含まれており、特にヨウ素(ヨード)の含有量は特筆すべきものがあります。甲状腺ホルモンの成分となるヨウ素(ヨード)は、ひじきやわかめなどの海藻類や、いわしや鯖などの魚類にも含まれますが、含有量は昆布に並ぶものはありません。ヨウ素は甲状腺ホルモンのチロキシンとトリヨードチロニンをつくる材料になっており、交換神経を刺激することでタンパク質や脂質糖質の代謝を促す働きを持っています。ヨウ素は基礎代謝を高め、特に子どもにとっては、体や知能の発育を促進させる働きがあるのです。




米吾は、そんな栄養豊富な昆布も一緒に美味しく食べていただけたらいいのでは、と工夫を凝らし、米と鯖、そして昆布の全てを一度に食べられるように昆布を柔らかく炊きあげました。「吾左衛門鮨 」の三身一体の絶妙の風味は米吾のおもてなしの心から誕生したのです。




この美味しさを実現したのは原材料によるものだけではありません。葉と芯で厚みの違う昆布を均一のやわらかさに煮上げるため、釜の温度を絶妙のタイミングで調整する独自の調理法も一役買っています。「他ではできない秘技」とHPでも高らかに謳う米吾自慢の職人技です。



「鯛」、「蟹」、「鱒」の背身、「鯖」の「燻し」に使われる白板昆布も北海道産。白板昆布とは、酢に浸して柔らかくした昆布の表裏を削っておぼろ昆布やとろろ昆布を作り、残った「下地(しもぢ)」と呼ばれるものを、決まった寸法に切りとったもののことです。一般的に押し鮨の上に乗せるのは、乾燥を防ぐとともに、腐敗防止の助けとなるからです。また昆布のうまみが酢の酸味を和らげる効果もあるのです。




吾左衛門鮓」 に使われる白板昆布は、特製調味液で仕込まれており、より美味しく、すっきりとした風合いに仕上がっています。



最後は、「酢」です。「吾左衛門鮓 」シリーズを食べて思うのは、ツンとたった酸味がないこと。非常にまろやかでさっぱりとした酢加減なので食べやすく、そしてメインの魚の風味を引き立てています。




鮓飯のおいしさの秘密は、米酢、リンゴ酢、玄米黒酢の三種を、試行錯誤を繰り返して辿り着いた秘伝の比率の配合でブレンドしているからです。さっぱりした中にも奥行きのある後味で、白板昆布との相性も抜群です。



鯖も、昆布も、ヘルシーフードでしたが、この酢もまた大変健康に良い食材です。実は私はある方にすすめられて、いま毎日お酢を飲んでいます。その方は、飲み始めてから減量出来たり、疲れにくくなったりと体調が極めて良くなったということだったので、これは私も続かなければと飲み始めました。「お酢なら何でもいい」と言われたのですが、別の方からは「酢酸よりもリンゴ酸を取ると良いのでリンゴ酢にしたらいい」と言われ、最近はもっぱらリンゴ酢を選んでいます。




リンゴ酢が米吾の使う3種の酢の中に入っていたので、とても気になりました。なんとなく飲み続けてきましたが、なぜ酢はいいのか、なぜリンゴ酢がいいのか、酢の効果を改めて調べてみました。その中でも、代表的なものを4つご紹介しましょう。


殺菌効果

酢の殺菌力は、主成分である酢酸(さくさん)によるものです。酢酸が多く含まれているものはpHが低いことから、微生物の生育に不適な環境に出来るというのがその仕組みのひとつです。酢酸は、有機酸の中でも最も抗菌力が強いことで知られています。鯖を酢でしめるのも、前回お伝えしたように鯖は自身の持つ消化酵素の働きが強く、傷みやすい魚なので、その痛みを食い止めるためという理由があるのです。

消化液の分泌促進効果

夏の暑い時期にはさっぱりとしたキュウリの酢漬けが食べたくなる、というご経験がありますよね。酸味の強いものは、唾液や胃液の分泌を促進し、それに伴って食欲も出てくるとされています。さらに胃液の分泌が促進されると消化吸収も良くなりますし、腸の蠕動も促進され、便通を正常化するのにも役立つようです。

疲労回復効果

疲労と言うものを栄養学的に説明すると、「運動等によりグリコーゲンが消費された状態」のことです。酢の主成分である酢酸は糖の分解を抑制し、グリコーゲンの合成を促進するように働く為、運動の後に糖分と酢を一緒に摂ると、肝臓・筋肉内のグリコーゲンがの補充が促進され、運動前の状態に戻るのが速くなるのです。

ストレス解消効果

人はストレスがかかると酸味の感覚が鈍くなるのですが、これはストレス緩和に役立つ酸を多く摂取しようとする体の働きによるものといわれています。




この他にも、酢はカルシウムの吸収率を高めたり、血圧の上昇を抑制するなど、たくさんの健康に良い特性があるのです。その健康に良い酢の中でもリンゴ酢が良いと勧められた理由について今度は書いていきます。



リンゴ酢とは、簡単に言うとリンゴを原料として作られる酢のことです。リンゴ酢の酸味は大部分がリンゴ酸、わずかにクエン酸が含まれています。外部から経口摂取したリンゴ酸は、脂肪燃焼に働きます。また、リンゴ酢にはペクチンが含まれており、腸内活動を活発化したり、腸内老廃物や悪玉菌による有害物と結びついて排出します。さらに、カリウムも含まれており、余分なナトリウム(=塩分)と結びつき、排出します。一般的なお酢の効果にプラスして、女性が気になるダイエット効果があると言えそうですね。なるほど、リンゴ酢がいいとすすめてくれたのは私が女性だったかもしれません。



米吾がリンゴ酢の他にブレンドするお酢として選んだ玄米黒酢にも、米酢にはない良さがあります。これらを融合させることによって、より美味しく、より健康に良い商品を作ろうとした米吾の姿勢が酢という食材にひとつからもうかがい知れます。



食材ひとつひとつにとことんこだわった「吾左衛門鮓 」の奥深い世界、それを知った今、是非「吾左衛門鮓 」を召し上がってみてください。「かどのない酢加減で絶妙に〆た寒サバ、吾左衛門鮓 に最適な鳥取県産ヤマヒカリを使った鮓飯、柔らかく炊き上げた北海道産昆布。それらが渾然一体となったうまみが口中に広がります。」とHPに書かれた説明書きの行間に込められた想い、米吾が代々引き継いで来たおもてなしの心を以前より強く、感じていただけるのではないでしょうか。




昆布辞典 http://www.danno-konbu.com/museum/dic.html
株式会社くらこん 昆布講座 http://www.kurakon.jp/ency_kombu/index.html
全国食酢協会中央会 全国食酢公正取引協議会http://www.shokusu.org/index.html
Vinegar(リンゴ酢) http://hontonano.jp/vinegar/14_apple-cider_vinegar.html
マルカン酢 お酢の健康広場http://www.marukan.com/health/qanda-list01.html


























































商品の食材について

前回予告いたしました通り、今回から2回に渡って「吾左衛門鮓 鯖 」の原材料である鯖、そして「吾左衛門鮓 」シリーズに共通する原材料、米、酢、昆布について書いていきます。



まずは、サバについて。今回知ったちょっとしたうんちくから始めましょう。



江戸時代の古書「大和本草」(宝永6年)によると、「サバ(鯖)は小さい歯を持っているから“狭歯(読み=さば、「狭」は小さいの意味)」というのが鯖の名前の起源となっています。なるほど、図鑑などでよく見ていると鯖の歯はとても小さいようです。おちょぼ口ではないのですが、とにかく歯が小さくて、ギザギザがとても細かく描かれています。



人間は産まれて最初に生えた歯である乳歯から永久歯に生え替りますが、乳歯と比べて永久歯はサイズが大きくなりますよね。そうすると、子供のころには苦労したイカでもゴボウでも楽に噛めるようになったという感覚が私にはあるのですが、いかがでしょうか。でも鯖は歯が小さい割には貪欲な食性を見せる魚で、自分より小さければ何でも食べてしまうのです。



吾左衛門鮓 鯖 」に使われているマサバは大群をなして回遊するのですが、常に口を開けて泳ぎ、餌を食べ続けます。その食欲を支える伸縮自在の胃袋には、体全体の4分の1の量を詰めても平気だとされています。死後は自分自身をも分解してしまう程の強い消化酵素を持っているということもたくさん食べなければならない理由と思われます。また、食べられる時に食べ続けるのは厳しい自然界の環境の中で鯖が身に付けた「生き抜く力」なのでしょう。決して大きい魚ではない鯖の意外な一面ですが、これで鯖が脂が乗って美味しい訳が分かりましたね。



吾左衛門鮓 鯖 」に使われているのは、日本海の寒鯖。寒鯖とはマサバの中で12月~2月頃に水揚げされるもののことです。マサバは大きな系群を構成する温暖性の回遊魚で、日本近海のマサバは大きく「太平洋岸」「日本海沿岸北部(北方群)」「日本海沿岸南部から東シナ海(南方群)」の3つの群からなると考えられています。3番目の南方群に属しているものが境港に水揚げされ、「吾左衛門鮓 鯖 」の原料となっているのです。



鯖は、スズキ目サバ亜目サバ科サバ属というグループに属しており、世界に3種、日本に2種います。日本の2種がマサバとゴマサバです。見分け方は、2つあり、1つ目は皮目の模様です。マサバがサバ雲状なのに対し、ゴマサバは腹部付近にゴマ状の小さな点が散在しています。

2つ目は体形で、マサバは輪切りにしたならば楕円形でゴマサバは円形です。このことから、マサバは別名「ヒラサバ」、ゴマサバは「マルサバ」と呼ばれます。また、別名と言えば、マサバには地方名が多く、例えば秋田では「サボ」、富山では「サワ」、長崎では「ヒラス」とも呼ばれます。マサバはゴマサバに比べると味が良く、大分県佐賀関の「関さば」、愛媛県佐田岬の「岬さば(はなさば)」、神奈川県三浦市松輪の「松輪さば」などはご存じの方も多いブランド鯖ですが、これらもマサバです。



秋ナスと同じように「秋鯖は嫁に喰わすな」と言われたりしますが、脂が最ものっていて美味しい時期は晩秋から翌年2月頃まで。そのうちの1011月のものを「秋鯖」、そして前述したように12~翌2月頃までの物を「寒鯖」と呼びます。産卵期は3月頃から初夏にかけてです。産卵を控えて太り始める頃が旨いのは魚の旬の常、この旬時期の脂の乗った鯖を「吾左衛門鮓 鯖 」の原材料として使っているのです。丁度、「東京黒昆布巻き押し鮨 」のプレス発表が行われた10月末頃から、工場長がお忙しそうだったのは「秋鯖」の動向を見極めてよりよい「寒鯖」を仕入れる準備をしていたからなのです。いよいよ旬を迎えた「寒鯖」が、続々と「米吾」の工場に運ばれてきていることでしょう。年間で最も売り上げの良い月でもあり、きっと目も回る忙しさなのでしょうね。



さて、今度は鯖の栄養素についてです。鯖にはコレステロールを下げるなど、成人病予防に効果があると言われる不飽和脂肪酸や、肝機能を強化するタウリンが豊富です。特に血合いには鉄分やビタミンB2の他、不飽和脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。



ドコサヘキサエン酸は多価不飽和脂肪酸の1種で、人間の体内では合成することが出来ず、食品からしか摂取できない必須脂肪酸です。脳や神経組織の発育、機能維持に不可欠の成分で、人間の体では脳細胞に多く存在します。脳細胞内のDHA量が減ると、機能が低下して情報伝達がスムーズにいかなくなり、乳幼児の脳や神経の発達が悪くなったり、老化による学習能力や視力の低下を招いたりすることが分かっています。



逆に食事でDHAを補い、情報の送受信アンテナとも言える神経細胞先端のシナプスの膜にDHAを取り込むことによって得られる健脳効果も疫学調査で実証されています

同じく必須脂肪酸であり、多価不飽和脂肪酸であるEPA同様に、血液の粘度を下げて流動性を高め、血小板が凝縮して血栓が出来るのを防いだり、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがあり、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、血栓性高脂血症、高血圧、免疫性疾患といった病気の予防、改善効果にも期待が寄せられています。



前回、「吾左衛門鮓 鱒 」はアンチエイジングフードとしてご紹介しましたが、「鯖」はヘルシーフードとしてご紹介できそうですね。



吾左衛門鮓 燻し鯖 」に使われているのはノルウェイ鯖、つまり北部北大西洋産のタイセイヨウサバ(ニシマサバ)であり、マサバ、ゴマサバ以外の3種目の鯖にあたります。国産原料にこだわる「米吾」が敢えてこの輸入物の鯖を使ったのはタイセイヨウサバがマサバ以上に脂がのっているからです。マサバが100g当たり脂質が19g含まれているのに対し、タイセイヨウサバには26.8gも含まれています。燻製と言う加工手段を用いるにあたって、どうしても脂が抜けてしまうことを考えると、脂質が多いタイセイヨウサバを用いる方が美味しいものが出来上がるのは至極当たり前のことと言えるでしょう。「吾左衛門鮓 燻し鯖 」のあのジューシーさはここからきているのです。



燻し鯖 」は、鮓としてではなく、鯖だけでも購入することが出来るので、これからのパーティーシーズンにはオードブルやお料理に活用できそうですね。ワインやウィスキーと相性がいいと内田雄一朗社長もおすすめの1品です。



さて、最後に鯖の気になる点についてもお話ししておきましょう。鯖の貪欲な食性のお話でちらりと登場した消化酵素ですが、鯖が「鯖の生き腐れ」という言葉で言い表されるように、非常に傷みやすい魚である理由は、その消化酵素です。内臓に含まれる非常に分解力の強い消化酵素の働きで、死後は自分自身の体を分解し始めてしまうからなのです。また、アニサキスという寄生虫がいることでも知られていますが、このアニサキスは人間の体内に入った場合まれに胃や腸の壁を食い破ることがあるのです。体内に影響が出た場合、痛みを伴い、激しい下痢や吐き気、嘔吐などを起こしてしまいますので医師の診断が必要です。



こうした鯖のちょっと気になる2点は、冷凍技術の進歩によって解消されました。吾左衛門鮓 」は製造過程で冷凍という工程がありますので、より一層安全して召し上がっていただけますね。



素材について、知ると美味しさも増すものです。次回の米、昆布、酢を読んでいただいたら「吾左衛門鮓 」が2倍美味しくなること請け合い、どうぞお楽しみに!





参考文献

大場秀章編「東大講座 すしネタの自然史」 日本放送出版協会 2003

佐藤魚水「魚のないしょ話」新人物往来社 1998

池田書店編集部編「さばきもわかる食材魚図鑑」 株式会社池田書店 2008

坂本一男「主婦の友ベストBOOKS 旬の魚図鑑」 株式会社主婦の友社 2007

野村祐三「地魚大全」 東京書籍株式会社 2009

末永徹「Where are they from? 食材はどこから」 株式会社料理王国社 2005



参考URL

農林水産省 http://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/0511/01.html

旬の食材百科 http://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fish/saba/saba.htm

健康マトリックス http://kenko.it-lab.com/info.php/23/

簡単!栄養andカロリー計算 http://www.eiyoukeisan.com/

栄養健康サイト http://www.rupot.com/

東京都福祉保健局 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/musi/01.html










































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