第二次大戦、ムッソリーニ失脚のきっかけとなる連合軍のシチリア上陸作戦。パレルモではアメリカ軍が地元マフィアとの連携もあり、大きな抵抗を受けずに成功したが、シラクーサではイギリス軍との間で戦闘となった。

古代からシラクーサの中心だったオルティージャ島の先端に、現代の記憶もしっかり刻まれている要塞がある。近年まで軍の施設で入れなかった場所だそうだ。battery

郊外にはその時のイギリス兵戦没者約一千名を埋葬した墓地がある。入口をはいってすぐの記念碑の中には、それぞれの遺体がどこで発見されたのかなど、細かいデータが記録された本があるのだそうだ。
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今回、案内してくれたドライバー氏は、イギリスからきた老婦人を案内した話をしてくれた。

たのまれて、記録簿を開け、彼女にゆかりのある人物の墓を探し当て、案内すると、彼女は涙を流して墓碑に花を供えた。「また来年もくるからよろしくね」と、彼の手を握り、ほんとうに毎年、彼の案内で訪れているのだそうだ。

歴史の場所としか見えていなかった場所も、実はそれほど遠くない現実なのである。それを感じる目を持っていたい。



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