暗い部屋いっぱいに浮かび上がったウェイデンの祭壇画は、二十二年前の印象を越えていた。
前回、はじめて訪れたのは平成五年1993年だった。
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ずっと以前の記憶に焼きついていたものに再会すると、「あれ?こんなんだったけ」と拍子抜けする事も多いが、今回はちがった。

はるか十五世紀にファン・デル・ウェイデンが描いた祭壇画は、たった二十年の歳月など歯牙にもかけず、きりりと美しいフォルムを堪能させてくれる。

ブルゴーニュ地方、ボーヌの街に1443年に建設された施療院の一室にある。

その細部はベルギーのゲントにあるファン・エイクの「神秘の仔羊」にも比肩される。

移動式の巨大ルーペが設置されていて、このように細部も堪能させてくれる。
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レイオナルド・ダ・ヴィンチが生まれるよりも前に、すでにこれだけの表現が存在していた。
ブルゴーニュ公国の輝きを今に伝えている。