本日は、の肉筆豆本「幻啼記」をご紹介いたします。

表紙/屋久杉,本文料紙/信濃,箱/栃+桐+えんじゅ,
本の寸法/104mm×横83mm×厚み16mm

箱の寸法/127mm×横105mm×厚み41mm(取手部を除く)

挿入画/建石修志
2010年7月7日発行 20部


赤江瀑の署名と落款

「幻と幻 枝さしかわす」
「虚と虚のそらに炎える城」

「羽撃けぬ鳴びあえぬ巣づくれぬ この天もなき身を」
「蒔いて 春葩を刈る成童だった 憲をもたぬ子供だった」

「あやかしのてのひらをうらがえし そこにしずかに叛逆とかいて生きてきた」
「僕 二つ星霜 金虎を将いる兵亂のきざしだった」

「この昏睡に火を放て 欣求の刃とぎ澄まし虹とよび似非とよび愛とよんで僕を斬れ 晴ればれと斬り堕とせ」

「静かに狂氣の羽をそよがせ小さな無数の火の玉を転がす見えない手のやさしさや」

「ほむらの舌の強靭さについ骨ぬきにされ 気がつくと灰になっている肉体がなつかしい」
「毛深い胸をはだけた若い神のように ライオンのようにゼウスのように」

「闘いを想い 恋をおもい 何処まで歩く 高光る日の御子の春の立て髪のけむる輝き」
「欷いて 僕の夜にも 胸つたう泪のあふれるおまえだった」

「酔い痴れて剥ぐ鋭き爪の上のロオトレアモン」
「明けない朝の悪食の卓に運ばれてくる熱い屈辱とフォークと竊かなナイフ」


「偏執のように錯誤のように愛のようにたどりつけない僕 麻酔なし痕なし いまだ壊死」

「始まらず 幻と幻 鳴りやまず歩く」


建石修志氏による精密な鉛筆画(100mm×80mm)です。


肉筆豆本「幻啼記」と挿入画



先の「四月幻穹」「薔薇の白毫」に続き、3冊目の肉筆豆本となります。

赤江瀑氏による「幻啼記」が、絶筆の作品になりました。

先の作品と同様に、難解な内容です。どなたか、解説頂けると有りがいたのですが・・・・・・。

製本の造りは、イマイチですが、建石修志氏の鉛筆画は素晴らしいです。


ではまた。