早いもので、入試から1ヶ月が経ちました。



新6年生にとっては、入試まで11ヶ月を切った、ということでもあります。



各塾の入試報告会も、大変な熱気に包まれているようです。



成功した人はどんなことをしたのか、

入試までに何をすればいいのか、

この先、どんなことが待ち受けているのか……



初めて受験するご家庭は、情報収集にも余念がないことと思います。



いや、二人め、三人めの受験であっても、子供の性格はそれぞれですからそれぞれ別の苦労を伴います。




今回ご紹介するのは、二人のお嬢様を桜蔭に、弟さんを筑駒に合格させた、ウルトラ級のお母様の手記です。



こちらのお母様は、拙著でもご紹介したことがありますが、

私のことをずっとサポートし続けてくださった、かけがえのない恩人でもあります。

私が独立できたのもこのお母様のお陰でした。



ご姉弟がみんな最難関校に合格するのは、きわめてまれなことです。


その秘訣は、お子様への大きな愛情と細心の気配り、といってよいでしょう。



これから受験をされる方の参考になるようにと、敢えて苦労話も書いてくださいました。



今回もまた、過分なお褒めの言葉を頂戴しており、恐縮している次第ですが、


貴重な体験談ですので、以下、いただいた文書をそのままコピーして貼ります。















最後の中学入試を終えて

      H・N(母)

受験校 栄東 東大Ⅰ(合格) 東邦大東邦(特待合格)
    駒場東邦(合格) 渋谷教育学園渋谷(合格) 
    筑波大付属駒場(合格 進学)


  南雲先生には長女の受験の折四谷大塚でお世話になったのが最初でその後、実に延べ七年間にわたって三人の子どもたちをご指導いただきました。長男の受験ではサピックスを選んだため当時四谷大塚の講師でいらした南雲先生には今回はご指導いただけないと残念な思いでいましたが、まさに息子が四年生になるタイミングで先生が独立されることとなり、素晴らしい幸運に感謝しながらサピックスに通いつつ国語は南雲先生のもとで仕上げていただくことにしました。

 国語では色々と苦労いたしました。精神的に幼い部分もあったため、物語文の微妙な心情把握に苦労させられ、説明文や論説文も抽象的な概念を扱うものは苦手でした。先生のご指導の下少しずつ難しいものに取り組みながら精読のテクニックをだんだんと刷り込んでいただきました。国語の成績でサピックスのクラスが変動することも多くダメダメのテストの見直しを先生にかけていただいたことも数えきれません。そのたびに「どれどれ、あ~ここは引っかかるよね。」と子どもの気持ちをほぐしつつしっかりと正解に至る道筋を指し示していただき、先生の見直しの後は「よくわかった」とすっきりした顔で帰ってきました。

そうして少しずつ国語の成績も安定してきたころ夏休みを迎えました。夏期講習は親が驚くほど集中して頑張り、毎回の確認テストも好成績でしたが、夏休みが終わり合格力判定や学校別判定の模試が始まると状況が一転しました。

 夏休み前の模試ではすべての学校で80%をとれたのが、50%や30%へたをすると20%の判定をもらうこともありました。模試というと固まってしまい頭が真っ白になってしまうようで、本人も私もどうしたらリラックスして試験を受けられるのか解決方法が見つからず本当に苦しい思いをしました。

 ただ模試での成績は振るわなかったものの平日の授業では集中して頑張っており授業中の確認テストではある程度良い成績をだしておりましたので志望校は最終決定しないまま、開成、駒東、筑駒の過去問を解き続けました。先生には月に2~3回の割合で過去問の添削を個人授業でみていただき疑問点や学校別のアプローチの仕方をしっかりと教えていただきました。回数を重ねるにつれだんだんと解き方が分かるようになり過去問の点は上がっていきました。

 最終的に志望校を決めたのは11月の末。学校別の模試の結果が思わしくないまま終わり、サピックスの最後の組分けテストで今までのクラスから後退し、ちがう先生の指導されるクラスに変わった時でした。それまで過去問を解いてきて、息子との問題の相性の良い駒東を一日して合格をねらい、発表を見てから三日の筑駒に挑むことにしました。二日の渋渋は国語がとても難しい文章が出ることが多い学校ですが、これも南雲先生に徹底的にみていただき、受験することを決めました。この決断をした頃が、精神的には一番つらかったように思います。

 ところが不思議なもので受験校を決めてそこに向かって走り始めたら、ふっきれたのか、顔が明るくなり模試も終わって心の重しも取れ、冬期講習、正月特訓と以前の調子が戻ってきました。

のみならず、1月校受験から2月校受験までの間に集中力がずいぶんと高まり算数や国語の答案も目に見えてよくなりました。最後の最後でようやく緊張の鎧がとれた息子でした。
  
2月校の試験では前日には先生にチェックしていただいた過去問の答案の束をよく見なおして気をつけるべきところや解き方のコツを思い返して、各校の試験に向かいました。1日、2日、3日と回を追うごとに自信をつけ書けるだけ書いたと言いながら出てくるわが子はずいぶんとたくましく見え、結果がどうであれここまで果敢に受験に臨む強さを持つたことを嬉しく思いました。

 今回の受験では息子は沢山の方に励まされ支えていただきながら合格をいただきました。そのことに最後に添削答案を見ながら気がついたのだと思います。感謝をしながら自分がやってきたことに自信を持ちそれを試験の場で出しきれたことが、志望校合格と同じくらい嬉しいことです。

 毎回中学受験をするたびに思いますが、中学受験は親子で子どもの精神的成長を体感できる素晴らしいイベントだと思います。今回も嬉しい実感ができました。この成長をもたらしてくださった南雲先生に心より感謝いたします。今回も先生のおかげで「心を壊さない受験」をすることができました。ありがとうございました。