2008年の 福岡公園子殺し事件、  富石薫被告 | 精神科医が日々思うこと。

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弁護側はSSRI(パキシル?)の副作用で心身喪失になったと主張するようですが、母親自身の発達障害の可能性はどうなのかをしっかり鑑定すべきだと思います。


以下引用です。


おととし、福岡市西区の公園で、小学1年生の長男を殺害したとされる、母親の富石薫被告の初公判があす、開かれます。


弁護側は、服用していた抗うつ剤の副作用で、被告は心神喪失状態だったとして、無罪を主張する方針です。

富石被告はRKBの取材に対して、事件を、「私自身、理解しきれていない」としています。

去年4月、RKBの取材に対し、拘置所にいる富石薫被告から送られてきた手紙です。

おととし9月、福岡市西区の小戸公園で、小学1年生の富石弘輝君が、殺害されているのが見つかりました。

事件から4日間後、逮捕されたのは母親の富石薫被告。

起訴状によりますと、富石被告は公園内のトイレで、長男の弘輝君の首を、ビニールホースで絞めて殺害したとされています。

事件当日、現場の公園で弘輝君がいなくなったとして、近くにいた人たちに捜索を願い出ていた富石被告。

警察への取材によると、捜査段階では動機について、「息子の乱暴な言動で、衝動的に殺害した」と供述していたとされています。

また、弘輝君には、軽度の発達障害があり、「子供を殺して自分も死のうと思った」とも供述していたということです。

あすの初公判で事件発生から1年半。

刑事裁判で、弁護側と検察側で量刑以外に大きな争いがなければ、多くの場合、起訴されてから3か月から半年程度で、初公判が開かれます。

今回、裁判が始まるまでに時間がかかったのは、「富石被告の責任能力」が大きな争点となっているからです。

これまでの公判前整理手続きで、起訴前の精神鑑定をもとに、「責任能力あり」と主張する検察側に対し、弁護側は、抗うつ剤の副作用で「責任能力がなかった」と、真っ向から対立しています。

富石被告の弁護人によると、富石被告は、事件のおよそ1か月前から抗うつ剤を服用。

事件直前には、上限とされる1日40グラムを服用していたといいます。

1999年に起きた全日空ハイジャック事件で、殺人などの罪に問われた男も事件前、大量のSSRIの投与を受けていました。

裁判で東京地裁は、検察側の求刑通り、無期懲役の判決を言い渡しましたが、一方で、「SSRI」によって男が「心神耗弱」の状態に導かれていたことを認定しています。

これは富石被告が服用していたという、抗うつ剤に添付されている説明書です。

厚生労働省も去年6月、富石被告が服用していた薬を含む複数の抗うつ薬について、他人への攻撃性が生じる副作用があると、正式に注意を呼びかけています。

一方、弁護人によると、検察側が起訴前に実施した富石被告の精神鑑定では、SSRIの副作用についても検討されていますが、「直接の薬理作用とは考えられない」と結論付けられているということです。

しかし、弁護側は、富石被告が、首を絞めたり遺体を運んだりしたのは、通常の状態では説明がつかず、「薬の副作用についての検討が不十分」として、改めて、精神鑑定を実施するよう裁判所に求めています。

あすの初公判で、弁護側は起訴内容にある事実関係は認めた上で、責任能力は無かったとして、無罪を主張する方針です。


もうひとつ毎日新聞から引用します。


小1男児殺害:母親が起訴内容認める 福岡地裁で初公判

 福岡市西区の小1男児殺害事件(08年9月)で、殺人罪に問われた母親の富石薫被告(36)の初公判が3日、福岡地裁(松下潔裁判長)で始まった。被告は起訴内容を認めたが、弁護側は被告の抗うつ剤服用に触れ「事件当時は心神喪失か心神耗弱の状態だった」と刑事責任能力を争う姿勢を示した。一方、検察側は「発達障害の息子の暴言・暴力に対する日ごろの憤まんを爆発させて絞殺した」と動機を述べた。

 検察側は冒頭陳述で事件の背景を「被告の病気(線維筋痛症)と息子の障害にある」と指摘。事件への経緯を「犯行前に便座から立ち上がるのを手伝ってもらった時、息子から『くそばばあ。病気のママなんていらん。早く死んでしまえ』とののしられ、日ごろからかばんに忍ばせていたビニールホースで絞殺した」と述べた。首を絞める際に、ホースの一方を足で押さえ、一方を両手で力いっぱい引っ張ったという。

 また▽遺体を隠した▽息子のGPS(全地球測位システム)機能付き携帯電話を雑木林に捨て第三者の犯行に見せかけた--といった事件後の行動に言及し「完全責任能力があった」と主張した。

 弁護側は「無罪か刑を減軽すべきだ」と主張し、被告の病歴や処方薬について詳細に言及。さらに「自分の病気や子育てで極度のストレスを抱えていたが、息子には愛情を持って接していた」と述べ、動機についての検察側主張を否定した。

 被告の精神状態を巡っては捜査段階で福岡地検が精神鑑定を行い、刑事責任を問えると判断。これに対し弁護側は公判前整理手続きで再鑑定を請求。地裁は今後の証拠調べを踏まえ採否を決める。

 起訴状によると、被告は08年9月18日、西区の小戸公園のトイレで、長男弘輝君(当時6歳)の首をビニールホースで絞めて殺害したとされる。【和田武士、金秀蓮】

 ◇線維筋痛症と診断

 富石被告は06年、全身に痛みが走る難病「線維筋痛症」と診断された。また、事件から約1カ月半前の08年8月には適応障害などと診断され、抗うつ剤を処方された。それから約1カ月。被告は服用量を変えるなどしながら飲み続けたが、9月9日に服薬自殺を図り、その9日後に事件は起きた。【和田武士】