あるラジオ局での素敵なできごと | 光香音 sound designer ray 音響 Dispatch of soundengineer 大阪

あるラジオ局での素敵なできごと

いつも取材でお世話になっている地方ラジオ局
たまたま朝から生放送に関わることになりました

そこでけさ 初めて知ったこと
今日付で39年間のアナウンサー人生に幕を閉じる方がいました

その方は朝から夕方までの各番組内で数回 3分枠のニュースを読む人

定年後も一年間 嘱託でその勤務を果たしたその方は
昔 その局の看板番組を持っていました

朝の生放送でニュースを読んだあと
井上 順の「お世話になりました」を皆で歌い
著名パーソナリティーから花束を贈られ
刻まれた目尻のシワに涙をためておられました

ジェットストリームの城達也を思わせるような低いボイスに
リスナーから勇退を惜しむメールがあとを絶ちません・・

担当の生放送も終わり
昼から残務をこなしていた局内から
時折低い声が聞こえてくる

パソコンを打つ手が止まる・・

どうしても引き寄せられるそのトーンに
誰もが聞き入っていたと思います

またその声は一言一言滑舌良く
丁寧な語り口調は勇ましさをも感じました

しばらく時を忘れ夕方まで残務処理をしていましたが
また局内に 今日の馴染みのボイス「on air」が聞こえてきます

しばらくすると局内放送が流れ
「只今のニュースを以て○○アナ 39年間 最後のアナウンスを終えられます
お手すきの方はスタジオ前までお集まりください」

アナウンサーはスタジオからリスナーにニュースを読んでいるから
局内放送は聞こえません

局長をはじめ30人ほどが局内のスタジオ前に集まり終りを待ちます

「以上ニュースをお伝え致しました」

CMに切り替わり スタジオ内のパーソナリティーや関係者から労う声・・・

そして 重い扉を開けて出てきた・・瞬間

30人の拍手喝采の嵐

たちすくんだ瞬間 顔がほころび 口をつぐみ 目尻にシワを寄せられた

顔が赤くなって後ろに倒れそうになったが 読み終えた原稿を振りかざして言われた

「ありがとうございます!今日は泣くまいと決めていましたがダメでし・・・」

最後が言葉にならない・・

「人生を野球に例えるなら1塁が20年 セカンドベースが40年・・・・」

「たった今 サードベースを蹴りました ホームベースに向かうこの瞬間に
皆さんが居てくれて私は本当に幸せです!本当に本当にありがとうございました!」

顔がくしゃくしゃになっていました でも素敵な紳士でした

花束を片手に全員とハイタッチ 局長らと抱擁を交わされ
みな涙がしばらくとまりませんでした・・・


40年近くも一つの事をやり遂げた 生き方
心底から感銘を受けました

自分もまた一つ目尻にシワが増えた気がします

素敵なできごとでした☆彡