MVNOと言えばドコモ回線を借り受けて運営をしている事業者が多いですよね。
ドコモをもともと契約していたユーザーにとっては、格安SIMへの参入は選択するところがたくさんあって楽ですが、auと契約したいた場合は選択肢が2社しかない状況になっています。
そうした状況を崩すために、また、キャリア間の競合関係を活発化するために2015年5月にキャリアのSIMフリー化が義務付けられたわけですが・・・。
そのサービスも今のところ中途半端な感じは否めませんが、これによる恩恵を受けるユーザーも多くいらっしゃるかもしれません。
しかし今回紹介したいのは、なぜドコモの回線を提供されたMVNOは多くてauは少ないのか・・・そしてソフトバンクに至っては皆無!
これには明確な理由があるんです。ご紹介します。
ドコモ回線のMVNO
MVNOは独自の回線を保有しているキャリアから回線を借り受けなければユーザーに回線を提供することはできません。
そこで借り入れるわけですが、一気に普及してきたMVNOの中でau回線の事業者はmineoとUQ mobileの二社しかないのをご存知でしょうか?
ドコモは20社近く。
ソフトバンクは0。ソフトバンクに関しては2015年6月30日にMVNO参入についてのコメントを発表しました。そこでは子会社のSBパートナーズ株式会社と連携してMVNO事業を推進していくと言ったコメントでした。
au
auがMVNOに回線を借しているのは二社です。
auは長く音声通話の回線の通信方式を世界でも少ないとされている「CDMA2000」によって提供していました。ドコモとソフトバンクは「W-CDMA」。
こうした違いによる不具合は、端末に影響が出ます。
通信規格、通信方式に見合った機能を搭載していないと端末はその回線を使用できません。auの回線に対応しようとして販売される端末はauで取り扱われる端末です。
ドコモやソフトバンクで扱われている端末では対応できないため、auとその他二社との間には明確な線引きが存在したのです。
そのため、auの回線を利用したMVNOは実質扱いにくいのです。
今ではLTEの通信方法が発達してきてLTEでも音声通話が行えるVoLTEという回線が発達しています。これによってキャリア三社の通信方式が同じになり、SIMフリーの義務化も大きく活用できるようになりました。
そこで今後auのMVNOの参入は大きくなるのでは・・・という予想もされています。
ソフトバンク
ソフトバングの回線を借り受けてMVNO事業を展開する業者が少ないのはソフトバンクがMVNO側に提示している回線を貸し出す際の接続料が高いという理由があります。
この接続料はドコモがMVNO各社に対して毎秒10Mbpsあたり月額約123万円に設定しているのに対して、ソフトバンクは約3倍と言われています。ちなみにauはドコモの約2倍。
このauとソフトバンクの接続料の高さは、本来キャリアは出来るだけ回線を貸すことはしたくないという背景もあるでしょう。
自社でしか回線をユーザーに提供していないならば、ある程度割高でも契約してくれますし独占市場にすることができます。
しかし、MVNOが出てくると現在のように安く契約することができ、ユーザーはそちらに流れます。そのため高く設定しているのです。
接続料が高いということは、MVNO事業社が提携しようとしてもドコモ回線のMVNOよりも単純に3倍の料金設定になってしまいます。それでは安い業者の方にユーザーが流れるのは明白。そのため、ソフトバンクの回線を借り入れてMVNO事業を行う業者は出てこないのです。
ソフトバンクがMVNO事業に消極的なのは、Y!mobileを運営しているという事情もあるようです。ソフトバンク=iPhone、ワイモバイル=Nexusというイメージを定着させようとしており、Y!mobileの場合は契約料金も低めに設定されており、通話に圧倒的に強いというプランを展開しているため、MVNOと差別化ができているんですね。
そのため、あえてMVNOに参入しなくても戦える印象がありますし、ソフトバンク系MVNOが出てくるとソフトバンク>ワイモバイル>MVNOという料金体系になり、本体のソフトバンクが非常に遠い存在になってしまいます。
しかし、上記にも記載したように子会社によるMVNO事業の拡大を図ろうと目論んでいるようですので、どのようなサービスを展開していくのか非常に楽しみではあります。
上記にauとソフトバンクがMVNO事業との連携が少ない理由を書いてきましたが、もう一つ大きなワケがあります。それはドコモだけがなぜ安い接続料で回線を提供しているのかと言う点に関わってきます。
ドコモだってMVNOの乱立は自社が提供する料金体系で契約するユーザーが減少するため、好ましくはありません。しかしドコモ以外の二社と比較して安い。
これは、ドコモが一定以上のシェアを占める企業であるため、法律が適用されるという背景があります。ずっと最前線を牽引してくれたドコモならではの足かせと言うような感じがしますが、一定以上のシェアを占める電気通信事業者には
「特定の電気通信事業者を不当に優先的な扱いをして利益を与えたり、逆に不当に不利な扱いをして不利益を与えないこと」
という足かせがハメられるのです。
これによって「MVNOしたい」と言う業者がいたら無下に断ることが出来ないのです。そうしてドコモだけが安い料金で回線を貸出し、それによってMVNO事業を展開したい業者が集まり、価格競争が起こっているのです。
おわかりいただけたでしょうか?
これがドコモ回線を提供しているMVNOが多い理由!ドコモならではの足かせと、他業者の通信方法、また他業者の接続料の高さによってドコモが圧倒的なシェアを誇るワケになったのです。