○選挙に大敗しても百億円が入る『二大政党利権』に阿り政権交代の可能性を遠ざけてきた民主党 | 例:にしんを食べると怒らない

○選挙に大敗しても百億円が入る『二大政党利権』に阿り政権交代の可能性を遠ざけてきた民主党

 選挙好きとしてこれまでの選挙結果、選挙制度論議を眺めてきて腑に落ちない事がありました。
 今回の総選挙でこそ自公は比例票においても野党を引き離したものの、現行制度下の比例得票では、96・00の選挙で何れも自民党(+公明など)は野党に過半数割れに追い込まれる結果になっており、03年の選挙に於いてやっと均衡に手を掛けたに過ぎませんでした。 

歴代比例得票 http://members.at.infoseek.co.jp/koizumijyunn160rou/hirei/0.htm
 小選挙区制度よりも確実に、これまでの結果に当て嵌めれば何度も政権交代が実現していた事が示されている比例区を「政権交代、政権準備政党」を掲げる民主党が何故、今回もマニフェストにも削減を掲げて廃止の方向へ持って行こうとしてきているのか。これまで合理的に、納得ゆく解答を得られずに来ました。

 

 今回の総選挙では、民主党に対してその支持基盤の一角を占める官公労の存在や郵政民営化法案への反対を以って、自公与党・小泉総理などから民主党は一部支持団体の既得権に阿って行動してる等々と批判かまびすしかったものですが、この度の選挙結果を受けた各政党の政党助成金受取額を見て笑ってしまいました。いい歳した自分のこれまでのナイーヴさに。
 民主党は今回の大敗をっもってしても政党助成金を117億円も受け取る のです。
 政党助成金の算定方法は人口×250円の内、政党助成金を受け取る各党の総議席の中での議席占有率が半分。衆院小選挙区得票率・比例区得票率・参院地方区得票率・比例区得票率がそれぞれ1/4づつで算定されます。 

政党助成法第3章 政党交付金の算定等 http://www.houko.com/00/01/H06/005.HTM#s3
 この制度の下では議席数の増減に大幅に拘らず、選挙に於いて二大政党の、その一方として認知された党はこの内100億円規模の金額を受け取れるんですね。
(今回無所属が多かった影響もあったり、来年以降は80億程度になるのかな?と思っていたら
来年度以降も105億円!http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050925-00000070-mai-pol
 03総選挙に野党第一党のスケールメリットで死票を嫌う有権者・野党票の一極化を果たし、比較第二党としての地位を強固なものにした民主党(今回選挙での得票率31%、他に自民大勝だった01参院選でも民・由を合わせて25%)にとっては、第3党以下の競合相手の伸長の芽を摘み、勢力を抑制・排除し、公選法も併せ新勢力に高い参入障壁を課した現行選挙・政党助成諸制度の中で比例区を削減して比較大政党への求心力が働く小選挙区の比率を高める事がそのまま自党の政党助成金需給増額に繋がる=既得権になっているのではないかと。勿論、民主党から政党助成金の減額・廃止を掲げる案など聞いた事がありません。

 

 9月17日の党首選で前原新代表は「既得権益の対極にいるのがわれわれだったのではないか」と述べていました。しかし、政権交代の可能性の広い比例区を切り、その可能性を低減させ、大政党たる自党の既得権益=大敗した本年ですら117億円の政党助成金受給額を一層強化する選挙制度を指向するのであれば、選挙制度を利権化し民主党は党自体が既得権益として存在しようとしているのでははないかとレッテルを貼るほかありません。
 前原新体制は発足からまだ2日目ですが、それが既得権に阿り「政権交代を見る日を一層諦めさせる」ようなものにならない事を願うばかりです。