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2012-02-11 18:47:43

恋に効くワイン 第35話 「尊重」

テーマ:2月の恋

彼女と彼は仕事上のパートナー。

同じ夢を見て独立して2年。

でも、正論派の彼と、感覚派の彼女はいつも衝突。

相性が合わないのね。

こんなことならパートナーになどにならなければよかったと思う彼女。


一昨日も口論になった。

“気分転換に暇なら遠出しないか?”

日曜の午後。

彼から彼女にメールが届く。

気乗りはしなかったが、取り立てて予定のなかった彼女は

「うん」と答えた。


彼の車に乗って着いた場所は、薄暮の空と境目の無い海。

「砂浜に降りてみる?」と言う彼。


塩の香りと波の音と風は心地いい。

でも、恋人同士じゃないし、ケンカのこともある。

二人は片寄せ合うこともなく、砂浜にずっと座っているだけ。


「寒いから帰ろうよ。それにおなかもすいたし」彼女が言う。

「ああ、そうだ。

この近くに地場で捕れた魚を姿揚げにして食べさせる店があるんだ。

それに一緒に飲もうと思って、白ワイン持ってきたんだ」


立ち寄ったお店でカタクチ鰯のから揚げを注文。

お皿に添えられたレモンを絞ろうとする彼女の手を彼が止める。


「レモン掛けず、揚げ物と一緒に飲んでみて」

彼女は言われた通りにしてみる。

すっきりとしたワインとサクサクの鰯が良く合う。


「ふーん、美味しいわね」

たまには、彼の言い分を受け入れるのも悪くないか・・・

彼女はそう微笑んだ。



さて、今回、二人の仲立ちをしたワインは、

水墨画の様なエチケット(ラベル)が印象的な

NZのCloudyBay(曇った湾)のソーヴィニヨンブラン。


実は河が氾濫し、

湾に流れ込んで濁った海の色からそう名づけられたのです。

ワインを飲む時に、ちょっとエチケットも気にして欲しいですね。


麦わらがかった淡い緑色の色合いに力強いアロマ。

摘みたてのハーブや完熟トマト、少しみかんの様な香り、

そしてレモンパイのような風味に加え、フレッシュな果実もイメージでき、

飲んだ後も、青りんごの様な爽やかな余韻が長く続きます。

華やかなアロマ(香り)を感じ、

すっきりとした柑橘系の味わいのワインは、

天ぷらやお寿司等の和食にも良く合います。


ちなみに、数々の賞を取ったこのワインは、ルイヴィトングループでもある、

モエ・ヘネシー・ワイン・エステーツの傘下にあります。

世界中にNZワインの素晴らしさを知らしめたワインです。


また、NZワインは今、コルク栓ではなく、ほとんどスクリューキャップ。

海辺やBBQでワインオープナーが無くても簡単に開けられます。


ワインと和食。

たとえ違う文化がベースになっていても、うまく融合することはできます。


彼女と彼だって、相手を尊重する気持ちがあれば、

仕事も恋も、きっとうまくいくと思いませんか?




 
 
 
 

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2012-01-23 22:42:22

恋に効くワイン 第34話 「海を越え、風に乗って」

テーマ:1月の恋

「アチュイネ~。ソウルと東京のナチュはオンナジダネ。

スップド、マニマニイッソヨね(いっぱいあるよね)」

「スップド」

私が最初に覚えた韓国語は「湿度」だった。


知り合いの社長から「日韓文化交流」の会食の席に誘われた。

「韓国人で日本語が少し出来るのは彼だけだから彼女の隣に」と、

横に座らされた韓国アーティストのミンスは無表情で

「コンニチハ。私はミンスです。ソプラノ・サキスフォン吹きます」

と言っただけで、元の無表情に戻った。


4、50人で集まってのPARTYで、ハングルが話せないのは、私だけ。

横に来てくれたものの、年も異なり、何の共通点もない二人だったが、

自己紹介の後、何も話さないミンスに

日本語で「元気ないのね?」と聞くと「少しクビカゼです」と言う。

クビカゼ?


不思議そうな顔をする私に、彼は自分ののどを指差した。

「あ~喉が痛いのね?首じゃなくて」と笑うと、

彼は少しムッとして「同じでしょ?」と言い返してきたので、

私は笑ってしまった。

でも、何となく、そこから色々知っている日本語や

食べ物の話で異文化交流が始まり、

PARTYが終わる頃には、すっかり打ち解けた私達は二次会のBARへ。

ワインを飲みながらメアドをお互い赤外線受信していた。


その後、彼は日本人が行かない韓国料理の店や、

スーパーに案内してくれたり、

「冬のソナタ」も見たことの無い私に、見て欲しいとDVDの韓国映画をくれたり

カワイイ異文化交流が続いた。


韓流ブームに、乗り遅れた私に来たマイ韓流ブームだったが、

無邪気な高校生に戻ったような交際は正直面白かった。


突然、それが終わったのは、ソウルにいるミンスの父親の交通事故だった。

「焼肉に合うワインは、きっとスパイシーで牛肉にも合うシラー種だと思うわ」

と言う私に「飲んでみたいです」と一緒に飲むことを楽しみにしていたワイン。

今では、ほろ苦い思い出となった。


小学校時代、仲良しの突然の転校みたいな悲しいサヨナラだった。

「ソウルにいてもあなたの親切忘れないよ。コマワヨ(ありがと)」

羽田での別れを思い出しながら、今、独り飲むワインの香りは、

海を越え風に乗りミンスに届くかしら?


さて、キムチや焼肉のタレにも負けないワインって?

オーストラリアワインを代表するひとつである

ペンフォールド社の「ローソンズ・リトリート」を紹介します。


創業150年を迎えた原点の名を冠した逸品。

フランスとワイン法が異なるために、

カベルネ・ソーヴィニヨン種とシラー種の混醸、スクリューキャップ。

紫がかった赤色、黒スグリ、ブラックベリーやブルーベリーのアロマ。

太陽の恵みをたっぷりと豪の土壌から、果実味はぶどう本来の味わいを

力強く示している。


ペンフォールド社は1844年、英国から移住した

医師のペンフォールド氏が、患者の治療用に

診療所(リトリート)の周りにブドウを植えたのがスタートで、

そのワインが評判を呼び、

今日のペンフォールド社の基礎を築いたと言えます。

手頃なテーブルワインからオーストラリアを代表する超高級ワインまで

幅広いワインを生産。


このメーカーの特徴は、南オーストラリア州の優良産地のぶどうを

うまく組み合わせて完成されたワインを造りあげる点です。

南半球にあるオーストラリアでは、

南極に近い「南」が私たちの「北」にあたり、

涼しくワインに適した良いブドウが育ちます。


又、フランスと大きく異なる点は、

ワイン新興国の豪ならではの「ワイン造りのスタイル」である

カベルネとシラーズを混ぜたワインを造ります

フランスワインがお好みの方には、言語道断!と思われるでしょうが、

ワインの可能性を探るという意味では興味深い試み。


ちなみに、フラッグシップ銘柄の「グランジ」(90年)は、

名だたるボルドーのグラン・ヴァン(偉大なワイン)を抑えて

世界一に輝いた実績もあり、

又、世界的なワイン評論家ロバート・パーカーが、

「グランジ」(98年)に98点を付けたことにより、

一時、現地のオークションでは、1本10万円以上の値が付き、

世界中の垂涎の的のワイン。


 
 


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2012-01-07 21:05:14

恋に効くワイン 第33話 「偶然という奇跡」

テーマ:1月の恋

彼は同じ部署の女性に密かに思いを寄せている。

年上の彼女は仕事をテキパキとこなし、

上司からも一目置かれる存在。

高嶺の花だ。


ある晩、彼は残業を済ませ駅へと向かったが、

途中でふと、ワインバーに立ち寄ろうと思った

別にワイン通でもないが、

彼女がワイン好きであるという噂を聞いたことがあった。

もしかしたら・・・。


「何を期待しているんだ、オレは」

苦笑いをしながら、店の扉を押した。

と、カウンターの奥の座席に彼女がひとりで。

彼は自分の目を疑った。

振り向いた彼女は彼に気付くと、軽く手をあげ、隣の椅子を指差した。


「一緒に飲む?」

願ってもないこんな素晴らしい偶然を断るはずがない。

平静を装いながら、彼は隣に座った。


香りを取るためにスワリング(液体をワイングラス内でまわす事)する

彼女の真似をする彼だったが、

黄金色の液体は左右にチャプチャプ大きく揺れるだけ。


「ふふふ、無理しないでテーブルの上に置いて、

グラスの脚を指で挟んで回せばいいのよ、こんなふうにね」

彼女は彼の手の甲に、自分の手を重ねると、

彼のグラスを揺らした。


それから、会社のことや趣味という他愛ない会話をしている間も、

彼の心臓は早鐘のようにときめいていた。


「このワインって奇跡のワインって言われているのよ。

奇跡っていい響きよね」

「え、はぁ・・・」

「ねぇ、あなたって奇跡を起こせるタイプ?」

彼女は悪戯っぽい微笑を浮かべた。

彼の心がまた、グラスの中のワインのようにグルグルと回った。


さて、今回、ふたりが飲んだワインは、

とろけるように甘~いデザートワイン「Ch.d'Yquem シャトーディケム」

世界三大貴腐ワインのひとつ。

食後に冷やしてワインだけでも美味しいし、

デザートの桃やベリー系や、青かびチーズとの相性も抜群。

お食事ですと、温かいフォアグラにとてもよく合います。


ちなみに、セミヨンというブドウの収穫時期に、

貴腐菌が成熟したブドウの果皮に偶然つくと、

実の中の水分が蒸発して、

結果、果実の糖度が上がり特別な甘いワインになります。

ブドウが不作の年には作られず、人工的ではない

宝物のような奇跡のワインなのです。


偶然が生む恋の奇跡もきっと超甘いものになるはず・・・?


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