【質問】佑樹は何で落ちたの?
冒頭から、いったい何が起こったのかわからなかった方から質問が届きました。
おこたえします。
佑樹が落ちたのは、激しい頭痛で足元がおぼつかなくなったから、です。
あくまで、過って落ちました。
決して、自らの意志ではありません。
佑樹は、映画の中で、医師役の茂木先生がおっしゃっていますが
「いつ死んでもおかしくない」
容態でした。
それなのに、
何でビルの屋上にいたのでしょうか?
それは、佑樹は「風」が好きだからです。
風に吹かれていると、自分が自然の一部になったようで、まるでお母さんにあたたかく包まれているように、安心できるのです。
そんな茂木先生的には、アルファー派が出てリラックスできている状態だからこそ、どんどんいいメロディーが出来上がっていったのです。
冒頭のハミング曲がそうです。
しかし、クライマックスのメロディーが完成する前に、激しい頭痛が佑樹を襲ったのです。
そして佑樹は、ビルから落ちました。
その下には、武がいた。。。
佑樹は、長い引きこもり生活から抜け出すきっかけをつかんだのです。
それは、家の中で、ふっと、浮かんだあのハミング曲です。
「これだ!これが完成すれば何かが変わる」
挫折した自分も、厳しい父を超えられなかった自分も、
大切な母親をなくしたつらさも、引きこもってた自分も、
この曲を作るための、経験で、意味があったんだ、、、
人間は落ちて落ちて落ちてしまうと、今後は這い上がってくるしかないのです。
ボールのバウンドと同じです。
佑樹は、自分の死期を悟りながらも、もう一度、ピアニストとして再生したかったのです。
その行為は、父親にほめられたいがためではなく、生まれ出ようとしている偉大な名曲を世の中に送り出そうとする、孤高の音楽家の使命感にあふれていました。
真の芸術家とは、自分の世界に閉じこもり独りよがりの作品を作るのではなく、
芸術を通して、社会に貢献すること、なのです。
ようやく生きる意味を見つけた佑樹でしたが、運命とは皮肉なものです。
目覚めると、料理人の武の記憶が佑樹の中に宿っていたのです。
そして見ず知らずの料理人の想いを叶えるために、ひたすら自らを捧げて生きてゆくのです。
それは、まるで、佑樹が人生を悔い改めて行く行為に見えます。
そんな佑樹のひたむきさに、崩壊していた家族が再生してゆきます。
そして、最後に、佑樹と父親の佑一朗はどうやってわかりあえるのでしょうか?
そのシーンは是非映画をご覧頂きまして、感じてくださいませ。
のまP