米国経済対策として、総額72兆円(2年間)の追加経済対策法にオバマ大統領が署名して成立しました。
 
「ブッシュ減税」の路線を2年間さらに延長しただけの項目も存在しますが、オバマ大統領が独自に打ち出した中の一つ2011年中の設備投資の一括償却を容認――という施策が目を引きます。 

この経済効果を、簡単に計算するため、1億円を設備投資、残存価額0円と仮定してみます。
 
通常の減価償却の場合、5年償却と仮定すると、今年から5年先まで毎年会計上2,000万円を所得から控除できます(定額法を選択した場合)。

法人税率を40%とすると、法人所得税軽減効果としては毎年、800万円です。それはあくまで、黒字を毎年コンスタントに確保できるという前提のうえでのことで、経営悪化のリスクを考えれば足枷とも取れます。

翌年以降、黒字を担保するためには少なくとも毎年2,000万円以上の利益ノルマを上乗せして負うことと同じです。先々までのリスクを勘案すると、慎重に投資せざるを得ません。

しかしながら、一年で一気に償却できるのであれば、2011年に生みだす黒字余裕資金の範囲内で翌期以降の足枷を気にせずに、2011年度内の損益計算の中だけで出費判断ができます。設備投資には追い風です.
 
大前学長の解説は、以下の通りです。(約5分15秒) 
     

(10年12月19日放映「大前研一ライブ」より)


主要国の減価償却方法の概要↓(財務省ホームページより)