◆「資金決済法」可決・成立により、日本の「送金のあり方」が激変!?
◇開かれるインターネット決済サービス~米大手参入も
 
「インターネット」と「決済」。

 どうみても、異質な“モノ”同士である上記の2つが結びついた
 ことで、従来にはなかったビジネスサービスが生まれました。
 「インターネットによる決済サービス」です。

 欧米では、すでにこの“新しいコンビネーション”によるサー
 ビスは一般化しつつあり、銀行以外の一般事業者も、送金サー
 ビスを提供しています。ペイパル(米国)がその代表格です。

 日本では、振り込みなどの決済サービスは銀行が独占していま
 した。

 しかし、6月17日、「資金決済法」が参院本会議で可決・成立
 されたことにより、銀行以外の業者にも、道が開かれることとなり
 ました。早くも、海外の決済サービス業者が、日本への参入を
 検討しています。

 大前学長は、同案の成立で、日本の「送金のあり方」そのもの
 が激変するだろうと予想しています。

 ※大前学長が「インターネット決済」について解説する映像はこちら



 「ペイパル」のホームページ(日本語版)

それでは大前学長のメッセージを紹介します。

《支払い革命―現金以外で勘定を払う》
 支払いシステムが重要なのは、インターネット上での購入では
 何らかの方法で支払いをしなければ取引が完了しないからであ
 る。

 日本では、配達時に現金を支払う代金引換方式が、いまでも圧
 倒的に多く使われているが、これは消費者がクレジットカード
 情報をサイバースペースに送信することを嫌うからである。

 1995年、英国のスウィンドンでモンデックスを使ったキャッシ
 ュレス社会の実験が行われて以来というもの、サイバー・コミ
 ュニティの重要人物であればほとんど誰もが、eコマース代金
 決済システムすなわち電子財布を発明し、実施しようとさまざ
 まな試みを繰り返してきた。

 ところがいまにいたるまで、確立された代金決済のグローバ
 ル・プラットフォームは存在しない。

 ヴィザやマスターカードといったクレジットカードが、現在で
 ももっともよく使われる支払いの道具となっているのだが、こ
 うしたカードはeコマース代金決済を念頭に設計され構築され
 たものではない。

 問題のひとつは、いくつかの異なるウェブサイトをブラウズし
 てオンライン・ショップをひやかす場合、同じ情報を何度も何
 度も入力することはしたくない、という要望だ。

 MSN、ヤフー!アマゾンといった巨大ポータル・サイトであれ
 ば、パスワードを入力してログインすれば、ポータルの中の異
 なる店やサイトに自分のクレジットカード情報を流してくれる。

 この概念は、電子財布にかなり近いのだが、あるポータルには
 もっていけないというポータビリティの制約がまだ存在する。

   *     *      *

 私は、オムロンの創業者である立石一眞博士と一緒に、フロー
 ト付き課金システムの特許を日本と米国で取得した。

 もし預金口座に購入額をはるかに超える残高があれば、その人
 は預金を担保にすれば、つまり信用購入額が引き落とされるま
 では、現金の引き出しをロックしてしまうことに合意しさえす
 れば、一定額の信用限度が設定され、現金なしで買い物ができ
 る。

 言い換えれば、ユビキダス社会では、あなたの預金口座のどれ
 かひとつの残高を確認できるようなシステムを構築しさえすれ
 ば、どこにいても自分の信用度合いを証明することができるの
 である。

 この方法は、実際の店舗での買い物でeコマースでも、最も摩
 擦の少ない決済方法である。

 そうなれば、私たちの信用度合いを本人に代わって保証し、も
 し私たちが支払わなければ代わって決済をしてくれるクレジッ
 ト会社というものがもういらなくなるということになる。

 立石博士と私は、キャッシュレス社会のもつ意味合いをすべて
 考えてみようと何時間も話し合った。20年前に私たちの考えた
 キャッシュレス社会の姿を持つ特徴の多くは、ネットワーク化
 社会の進展のおかげで、すでに現実のものとなっている。

 【今週のポイント】
 ・「インターネット」と「決済」が結びつき新しいビジネスが誕生した。
 ・「資金決済法」が可決、成立し、銀行以外の業者にも道が開かれる。
 ・ 同案の成立で、日本の「送金のあり方」そのものが変わるかもしれない。  


 大前学長は20年以上も前から、ITによるキャッシュレス社会
 の構想を描いていたのですね。

 インターネットによる決済システムは、一昔前だったら考えら
 れなかったサービスです。実現に結びついた要因としては、
 グローバル化によって顧客ニーズが高まったこと、
 IT技術が発達したこと等が挙げられます。今では法律まで動かし、
 世界中に普及されつつあります。

 さて、今回のメルマガでは、異なる2つものが組み合わさり、新しい価値を
 生み出した例として、「インターネットによる決済サービス」を
 紹介しましたが、世の中にはこうした事例がたくさん存在します。

 とは言え、ただ闇雲に何かを結びつけても、簡単には
 ビジネスとして成立しません。

 「もしかしたら、こんなことができるのではないか」
 「世の中に存在する技術を使って何かできないか」
 「そのためには○○と××を組み合わせればできるかもしれない」と、
 日頃から考え続けているからこそ、生み出されていくものなのではないでしょうか。
 
 さらには、時代の流れ、顧客志向の変化、新しい技術の登場といった
 さまざまな動きを見極めることも重要です。 

 このタイミングを見極める力もまた、日々、思考空間を広げる
 トレーニングを行ってこそ備蓄される力です。
 
 自分の思い描いていたビジネス構想を具現化させるために、
 イノベーション講座でビジネスチャンスを見つける力をつけてみませんか!?


次回開講は2009年9月25日(金)です。