韓流イベント中止に関しての考察 | 韓国ビジネスおたすけブログ

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数日前に、横浜アリーナで予定されていた韓流イベントが、急遽中止になったニュースが流れました。

 

アーティストが出演をキャンセルしたということ以外は、情報があまりなく、「詐欺か?」と言う人もいました。

 

日韓ビジネスでの不幸を事前に防ぎたいと普段から私は活動しているので、このニュースには興味を持っていました。

 

昨日になって、主催者の日本企業が記者会見を開き、その内容を東スポが報じています。(この投稿の末尾)

 

少なくとも、日本の主催者による詐欺ではないことは分かりました。(チケット代金の払い戻しもしているし)

 

それ以外は、ブラックボックスでよくわかりません。

 

主催者の話を図にまとめると、↓こんな感じです。

 

 

韓国のSGC社とコンソーシアムを形成し、日本側主催者はチケット販売や会場手配、韓国側主催者(SGC)はアーティストとの契約や演出を担当するという役割分担だった。

 

出演料については日本側主催者はすでにSGCに支払っていたが、SGCからアーティストに支払いがなされなかったので、アーティストが出演拒否した。

 

という流れです。

 

ここで、会見内容の説明の中で、核心部分は↓だと思います。

 

「アーティストとの契約については韓国側の仕事だったので、私たちは入れないことになっていたので、おまかせだった」

 

「韓国側とはまだ直接話ができておらず、代理人としかコンタクトが取れない」

 

韓国側主催者は、もともと韓国でもSGCというイベントを主催している会社で、芸能事務所との良好な関係がビジネスの根幹になるはずなので、組織として詐欺事件のようなことをやるとはあまり考えられません。

 

注目すべきは、「代理人」です。

 

日本側主催者がコンソーシアムを一緒に組んでいる韓国側主催者に直接連絡を取れないでいる、というのは明らかに異常です。

 

芸能界のことは良くわかりませんが、「私たちは立ち入れないことになっていた」というジョブアレンジも乱暴な気がします。

 

つまり、実行委員会を組成しているといっても、実は、二つの会社をつなげて企画した「代理人」が動いていただけで、その企画が途中で空中分解してしまった、ということです。

 

このようなジョブアレンジで進めてしまったことにつき、日本側主催者は「私たちのミスでもあり、責任でもある」と説明しているのでしょう。

 

さて、肝心なお金はどこに行ったかですが、

 

先ほども書いたように韓国主催者であるSGCは、SGCというイベントをシリーズ化して運営している会社です。仮にこの会社の正しい銀行口座に日本から振り込まれていたら、アーティストへの支払いもしていることでしょう。

 

ですので、日本主催者が支払ったという相手の銀行口座は、SGCの正しい銀行口座じゃない(もしくは全く違う人の銀行口座)可能性が高いのではないかと思います。

 

仮に別名義の銀行口座であれば、日本主催者はその時点で怪しむべきだったのでしょうね。

 

現段階では、何が起こって誰が悪さをしたかは全くわかりませんが、ここまでおおごとになる前に、どこかでブレーキを踏むことのできるタイミングがあったのだろうと思います。

 

 

今回は、ビジネスの舞台が韓流イベントという目立つもので、一般消費者も巻き込まれるもののため、報道がされましたが、似たような危うさを孕むスキームのビジネス展開は、珍しいものではありません。

 

たとえば、ですが、↓のようなスキームの合弁会社を行っている会社は以外と多いものです。(図は実例ではなく、架空のケースですが)

 

 

少額の資本金で合弁会社を設立。マジョリティは韓国側。

代表理事は韓国側から出し、会社の運営に関する責任は韓国側がもつ。

工場建設のための設備資金と当初の運転資金は、日本側が貸し付ける。

機械装置は日本側が提供する。(リースまたは割賦販売)

 

この場合のポイントは、

 

このJVを進めるのに必要な資金は実質的にすべて日本側が負担するものの、経営(会社運営)については韓国側が責任をもつ。

 

という点です。

 

乱暴な言い方をすると、「金は出してもらうけど、口は出さないで」というスキームです。

 

このような場合、実際に動き出すまえに、如何に運営状況をガラス張りにして、不祥事や暴走の発生を防ぐ仕組みにするか、ということが不可欠になります。

 

きちんとした合弁契約書も作成する必要があるでしょう。

 

重要なのは、「やらない」という選択肢をいつも持っておくことです。

 

ガラス張りにするための仕組みを進めようとする過程で、強硬な反対にあう場合もあります。そこを妥協すると後で痛い目に会う場合が多いように感じます。

 

一方で、割り切ってしまうという考え方もあります。

最悪、投入した資金や設備がなくなっても構わない。相手側に一切お任せする。

という考え方です。

 

これはこれで悪いこととは思いませんが、

上場企業や銀行から資金調達している会社にとっては、

取りづらい考え方でしょう。

 

いずれにしても、

 

「おまかせ」してブラックボックス化しないこと。

 

「代理人」を通してではなく、直接関係をもち、信頼関係を築くこと。

 

が、重要だと考えます。

 

(長文になったわりには、結論が当たり前の結論。。。)

 

 

 

======東京スポーツ 6月30日==============

 

韓流イベント中止で実行委員会が謝罪「ギャラは韓国側に支払った」

2017年06月30日 20時38分

 

謝罪する実行委員会・細川会長

 開催2日前の25日に中止が発表された韓流イベント「SGC(ソウルガールズコレクション) SUPER LIVE IN JAPAN 2017」(27、28日=横浜アリーナ)の実行委員会が30日、都内で記者会見を行い、中止に至った経緯を説明した。

 委員会の細川哲煕会長は冒頭「期待を裏切った結果になり申し訳ございませんでした。楽しみにしていたファンとアーティストの皆様、関係者にご迷惑をお掛けしました」と頭を下げて謝罪した。

 契約の不履行(ギャラの未払いなど)による、アーティストの不参加が原因とされているが、経緯については「23日に(ネットなどで)いきなりアーティストたちの不参加を聞いたので、韓国に行って、各事務所の関係者と電話や直接会って話した。最善を尽くしたが、(参加しもらう)調整がつかず、中止となった」と説明した。

 責任の所在については「役割は私たちが主催で韓国側のSGCがアーティストの契約と演出でした。私たちがアーティストとの契約不履行(ギャラの未払い)となっていますが、これは韓国サイドの事情」と説明しつつも「原因はともあれ、私たちのミスでもあり、責任もある」と監督不届きを反省した。

 ギャラについては、委員会はその費用はしっかりと韓国側に支払っていると主張。行方が分からなくなっているお金については「まだ調査しているところ。短い時間で調査するのには限界があった。アーティストとの契約については韓国側の仕事だったので、私たちは入れないことになっていたので、おまかせだった」と説明。韓国側とはまだ直接話ができておらず、代理人としかコンタクトが取れないため、ほとんど状況がつかめていない極めて不明瞭な状態であるという。

「SGC——」はアイドルグループ「Apink」、元KARAのパク・ギュリ(29)、ベテランソロ歌手SE7EN(セブン)などの、人気K—POPアーティストが出演する予定のアジア最大級の韓流エンターテイメントショー。日韓友好の文化交流イベントでもあり、AKB48の入山杏奈(21)がゲスト登場する予定だった。すでにチケットの払い戻しは始まっており、SGCの公式サイトに詳細が説明されている。