「関数」の学習からみえる外国につながる子どもたちの傾向 | 多文化子ども・若者日本語教室

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東京都福生市にある「多文化子ども・若者日本語教室」のブログです。(NPO法人青少年自立援助センター運営)
教室では、外国にルーツを持つ子どもと若者のための日本語学習・教科学習、高校進学サポートなどを実施しています。


毎年この時期、数学を教えていて悩ましいと感じることがあります。


中学生は、進度によりますが2学期はだいたい関数を学習します(中1は比例、中2は一次関数、中3は二次関数)。1学期までの学習は、文章題は別として、計算はルールさえ覚えればできるものもも多いです。


しかし、関数まで来ると、一気にモチベーションが落ちて手をつけなくなる子がいます。


個人差もあるので一概にはいえないのですが、あくまで傾向としては、中国系の子どもはわりに理解度は高く、そのほかのアジア系の子どもにそのような子どもが一定数います。


先生:「100円のコーラを3本と、200円のお菓子、全部で何円ですか?」

生徒:「500円ニコニコ


これはすぐにわかりますが、


先生:「100円のコーラをx本と、200円のお菓子、全部で何円ですか?」

生徒:「???ショック!


→これを、合計額をy円としたとき、y=100x+200と式を立てていきたいのですが、xやyのような変数の理解、またxとyの関係を考えることが、とても難しそうだなと思う子がいます。


何か目に見えるものや、ルールがあるのものなら理解しやすいのですが、変数という「概念」、xとyとの「関係」を言葉や式にすることは、抽象的なことを考える思考力が必要です。


出身国の教育カリキュラムや文化の違いもありますが、小学校~中学校の時期の生活環境が不安定で、学校で充分に学べず、母語でも日本語でもそのような抽象度の高いことを考える言語が発達していない子どもも多くみてきました。


それに加えて関数分野からは日本語の壁も高くなり、2学期のこの辺りから、つまづきが多く見られます。


こう言ってしまうのもなんですが、関数を知らなくても、今後生きてはいけるかもしれません。

それでも、「物事の関係性について考える力」が少しでもつくとよいなと思って、この分野は基本事項だけでも教えます。


一方で、小学校時期までの母語学習や、話し言葉だけでなく文章を読む力など、おろそかになりがちだけれど深い思考力をつけるためには必要だと実感します。


関数の勉強からは、個々人だけでなく外国につながる子どもたちのいろいろな傾向がみえてきて、指導員としてもまだまだ勉強しながら試行錯誤の日々です。