こどもクリニック四方山話 -349ページ目

読者の広場:2011年10月号

かわむらこどもクリニックNEWS:1993年創刊 月刊
 「読者の広場」はコミュニケーションを目的とし、実際に寄せられたメールと院長のコメントを紹介するコーナー。新聞発行に合わせて、毎月1回提供しています。病院とのかかわりあいのヒントを掴んでください。
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2011年10月 219号
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 先月は25通のメールを頂きました。

 まずは宮城野区の匿名さんから「○○です。アドレス違いますが、携帯電話からメールさせて頂きました。今日もお世話になりましたm(__)m昨日○○が初めてじんましんを出して、夕方遅かった事や、不用意に初めての物を食べさせた後悔や、○○がかなり痒がっていたりした事で、少しテンパり気味で近くの病院に駆け込みました。その病院の先生にもお菓子とゼリーを食べたことを話たのですが、「こうゆうゼリーを小さい子に食べさせたら、窒息するんだ」とか(もちろん丸のみさせたわけではなく、ちゃんと食べさせてあげたのですが、それでもダメだと言われ)、「だいたい一歳半で八キロしかないのにお菓子なんかあげないでちゃんとしたものを食べさせた方がいい」とか、切々と話をされ、その間も○○はかなり痒くて、泣きながらかきむしっていて、自己嫌悪になり、落ち込んでいました。しかも出された薬はステロイド入りを5日間飲みきりと言われ不安にもなって、今日は症状はなかったものの、かわむら先生に診てもらいにいきました。不用意にあげた私が悪かったので、先生にも色々言われちゃうかな...なんて思ったりもしていたのですが、先生は優しく「あげちゃったものは仕方ない」と言ってくださり、更に細かくアレルギー物質が何かも考えて下さって、とても嬉しかったです!本当にありがとうございましたm(__)m薬も軽いものに変えて頂き、不安もなくなりました(^^)本当に今日行ってきて良かったです。これからも、たくさんお世話になると思いますが、3兄弟妹をよろしくお願いいたしますm(__)m本当にありがとうございました)^o^(」。
 ともかく病気で受診するのですから、まずは安心、心配を取り除くことが大事です。自分も厳しいところがありますが、子どもが辛い思いをしているのに放っておく、約束を守らない、先入観が強すぎる時などは、叱る場合もあります。しかし今回の場合は、全く違うので不安をとることを優先すべきだと思いました。

 もう一つはうれしい報告で、宮城野区の上村さんからもらいました。「昨日9月1日15:20!!2588gの元気な男の子が産まれました♪37週だったので若干小ぶりですが、元気モリモリですV(^-^)V持ちこたえて良かったです。2ヶ月健診から先生の所でまた1人お世話になります(^O^)名前は『上村 虹(こう)』です!昨日、紘の薬を貰いに行く予定でしたが、急に進んでしまって産まれてしまい行けませんでした。吸入器も借りっぱなしですみませんm(_ _)m退院したら伺います★スタッフの皆さんにも宜しくお伝え下さい♪」。
 震災の時には出血が有り大変でしたね。無事元気な子が生まれて、何よりでした。産まれた日の写真まで添付されて、本当にうれしいメールありがとうございました。吸入器使わなくなったら返してください。後がつかえてますから(笑)。

 還暦に際して、多くのお母さんや子どもたちからお祝いの言葉をいただきました。自分のお菓子を分けてくれたり、花やお菓子も届けて頂きました。この場をお借りして、お礼いたします。皆さんありがとうございました。

(全て許可済です。プライバシーには十分配慮しています。)

還暦を迎えて

 今日10月2日は60回目の誕生日です。60歳の誕生日は還暦と言われ、生まれ変わるとされています。そして赤い座布団に座り、ちゃんちゃんこと帽子でお祝いする習わしがあります!赤は魔除けであり、生まれ変わるつまり赤ちゃんに帰るという意味だそうです。自分が還暦を迎えるなど、思っても居ませんでしたが、月日はあっという間に流れてしまいました。

 60歳を健康で迎えられたこと、医師になり33年開業して18年無事小児科医として仕事を続けてこれたとは、多くの人たちに支えられたお陰です。
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スタッフからもらった歳の数だけの赤いバラ。


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仕事関係の方から頂いたお花とプレゼント。猫も一緒にお祝いしてくれました。


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お祝いのベリータルト


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赤三点セットのウサギ小児科医。


 還暦祝いを多くの方々からいただきました。このような中還暦を迎えることができて、つくづく幸せ者と感じています。

 家族、スタッフ、医師仲間はもちろんのこと、小児科医として育ててくれたお母さん、クリニックの患者さん、HPにアクセスする方々、ブログの読者の皆さん、そして目に見えないところで支えてくれている多くの人たちのお陰です。本当にありがとうございますm(_ _)m。この場を借りて、感謝を申し上げます。

 これからも、生まれ変わったウ幸せサギを、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

離乳食の話

離乳食の話:2011.9

離乳食の目的

 離乳食には、どうしても心配事がつきまといます。基本的なことは専門書に譲るとしても、今回は離乳食について違った視点から考えてみましょう。

 吸啜(きゅうてつ)と咀嚼(そしゃく)という言葉をご存知ですか。“吸てつ”とは吸うこと、“そしゃく”とは噛むことです。赤ちゃんには口に入ったものを吸う“吸てつ”という本能が備わっています。ですから、誰も教えなくても自然に乳首を吸うことができるのです。この本能があるからこそ、赤ちゃんは生きてゆけるのです。ところが“そしゃく”は本能ではないため、経験を通して獲得していかなければなりません。この “そしゃく”を学ぶことも、ひとつの目的です。

離乳食の与え方

 「離乳食はいつから」と聞かれます。「離乳食を栄養補給と考えないように。お粥をいっぱい食べても腹持ちしないはず。おっぱいは最もバランスがとれた栄養食品。栄養の補給ではなくて食べるための練習と考えて。早く始めない、無理に進めないがポイント。ゴールは1~1.6歳でしっかり食事が食べられること」とアドバイスします。開始時期は6ヶ月前後、味や硬さに慣れさせることと、噛むことを覚えさせることが目的ですが、お子さんに合わせて進めることが大切です。最初は柔らかいお粥からが原則で、スプーンに慣れさせるために白湯や果汁を与える必要はありません。

 「思い通りに進まない」の訴えもしばしばです。新しいことを始める場合、誰でも慣れるまでの時間が必要です。赤ちゃんも同じで、おっぱいから離乳食、離乳食の新しいメニューは、新しいことへの挑戦です。特に本能の吸うことから食べることになると尚更です。慣れには個人差があり、これが個性と呼ばれるもので、育児では大切なことのひとつです。「おっぱいと離乳食の割合は」とも聞かれます。乳児期では、文字通り、おっぱいは自由で構わないと考えて下さい。いっぱい飲めば、離乳食が食べられないのは当然です。大事なのはトータルの栄養のバランスです。10カ月でおっぱいが中心の子もいれば、離乳食だけしか食べない子もいます。どちらが正しいなんて言えるはずは無いのです。これが、個性というものです。育児書などに書いてある哺乳、離乳食の回数通りに、合わせる必要なんか全くないのです。食べるか食べないかが重要ではなく、発育が順調なら何も心配する必要はありません。
 
 無理やり進めれば、楽しいはずの離乳食が苦痛の時間に変わってしまいます。無理は食べることへの抵抗の原因となることがあります。まだまだゴールは先なのですから、親子の関わり合いのひとときと考え、個性を尊重し、ゆっくり進めていきましょう。
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 「さんさい」は、天理教少年会が制作する月刊誌で、5万部発行されています。0歳から15歳までの子育て中のお母さん方を対象とし、主に天理教信仰家庭にのみ配布されています。
 子供の健康や病気について、多くの親御さん方が不安や疑問を抱いていたり、誤解や勘違いをされているように思います。「知ってて安心 小児科医が教える健康ミニ知識」というテーマのもと、普段診察中に感じていること、親御さん方に伝えたいことを、12回(2011.4~2012.3)の連載として執筆しています。