おはようございます。、勝也です。


「天平の三纈」から、
「夾纈」きょうけち のお話です。


「夾」の意味は、
「挟む」「鋏む」つまり「はさむ」です。

まず、木板に文様を彫り、彫った部分の外側まで

染料を流し込む穴をあけておきます。


その木板に生地をはさんでしっかり固定します。
文様の部分は空間になり、はさまれた部分は
染料が入り込まない状態になるわけです。

それから文様部分の穴に染料を流し込みます。

生地を半分に折って重ねて板にはさむと、
木板の二倍の面積に左右対称の文様が染まり
ます。


大きく広がる木のしたに左右対称に鳳凰や麒麟
などが描かれたいわゆる「正倉院文様」の
代表的な文様は「夾纈」で染められます。


流し込まれた染料が木板の中で彫られた
文様部分の際(きわ)で溜(た)まり、少し濃くなり
ます。


この「染料溜まり」と木板防染の柔らかさは、
ふわりと天上人の雰囲気を醸し出します。


型の木板の性質を知りつくし、彫り、
生地をはさんだ後は見えない中を想像力で
染め上げる古(いにしえ)の職人技です。


現在では忠実な再現が難しい技法のひとつです。


小平京やのサイトです。
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http://kimono-kyouya.com