[気軽に絶景神域を探訪]
※後述(3)の高屋神社の鳥居が2017年、SNSで爆発的人気となり、観音寺市屈指の観光地になったが、キャッチコピーの「天空の鳥居」は当記事が最初だったかも知れない。
全国各地の高山の霊山にある鳥居からは絶景が広がっているケースが多いが、気軽に「絶景鳥居」を探訪して戴くべく、数十秒から15分以下で登れる天空の鳥居を紹介したい。
鳥居越しの景色は、鳥居をフレームに見立てることで、より景観が引き立つ。
尚、(1)と(2)は朝方、道路が凍結している可能性があるので、各自治体に確認を。
(1) 奥神賀神社鳥居(高知県大豊町と香美市との境界付近)
奥神賀山(1442.9m)は観光客にとっては無名だが、高知県内の登山愛好家では知らない者がいないほど有名で、「れいほくネイチャーハント」の山にも指定されている。
安徳帝御陵伝説のある高板山(こうのいたやま→「皇の居た山」の転化だと言われる)から奥神賀山~中都山(なかつやま)~神賀山~神賀神社に到る尾根は、修験者が行き交った道であり、各所に祠や奇岩がある。
中でも奥神賀山周辺の尾根は展望の優れただだっ広い笹原となっており、一角に奥神賀神社が鎮座する。これは神賀神社の奥の院とされているが、周辺の笹原は平家落人の烽火場跡だと言われている。
山奥の山だが、空気の澄んだ冬場は太平洋も遠望できることがある。
アプローチは国道439号(酷道ヨサク)から南下するルートや、国道195号から北上するルートがあるが、狭い酷道よりは二車線の後者の国道から北上した方がいいだろう。
香美市物部町大栃から県道49号に左折後、韮生川橋を渡り、猪佐古川を遡って林道猪佐古線を上がり、高板山北西の三ノ森登山口周辺の三差路に出ると左折する。
この道の最高所が豊永峠で、奥神賀山最短コース登山口がある。そこから南西に尾根を十数分登れば奥神賀神社。該当地形図は「東土居」。
(2) 中津明神鳥居(高知県仁淀川町と愛媛県久万高原町との境界付近)
高知県下の山の中で、車で登頂できる最も高い山「中津明神山(1540.6m」」は、山頂から360度のパノラマが広がっており、石鎚山系や四国カルスト等、名だたる山々を一望できる。
山頂には石鎚権現と大山衹神社が祀られており、作業道沿いから山頂にかけていくつもの鳥居が建っているが、森林限界を超えている山だけに、鳥居からも絶景が広がっている。
車で登頂できるとは言え、山好きの中には、愛媛県側から登山道を上がってくる登山者もおり、毎年8月1日に山開きが行われ、信者が石鎚権現の御神体を背負って登り、神事の後、大山衹神への奉納相撲が行われる。
アプローチは、仁淀川支流の中津渓谷から吾川スカイパークを経て、道なりに終点まで進むだけ。
中津明神から帰りに時間があれば、以前岩塔の三景で紹介した、これまたパノラマを誇る長坂山(「金綱山」或いは「金鉱山」とも)に登ると良い。その林道分岐には「橘山休養林」(少し文字が違ったかも)の道標が建っている。その林道最高所の「協働の森」の石碑が建つ分岐が登山口。「土佐のマイナー山part2」収録山。
(3) 高屋神社鳥居(香川県観音寺市)
七宝山系の一座、稲積山(404m)の山頂には延喜式内社、高屋神社が鎮座しており、その下には約230段に及ぶ長大な石段があり、それを上り切った所に絶景鳥居がある。上っている途中で後ろを振り返れば、観音寺市街地から燧灘の眺望が広がっている。
鳥居横の展望休憩舎からは、以前、防空監視哨跡を紹介した「有明富士」こと、江甫草山を望見することもできる。
現在、神社まで車道が通じているが、神社関係者以外は手前の駐車場からその車道か、昔からの登山道を数分歩くことになる。その尾根道である登山道を上がった所に「高屋巨石群」があるが、ここから石段の石を切り出したのではないかと言われている。但し、尾根道沿いにはあまり巨石と呼べる石はない。ただ、燧灘の展望が優れた岩場はある。
アプローチはまず、観音寺市と三豊市の境界にある県道49号のT字路を、不動の滝カントリーパークの標識を見て、そちらの道に折れる。
後はしばらく不動の滝の道標に従って上って行き、左手に三豊産業豊中採石場のある変形五差路に到ると、小さな高屋神社本宮の道標を見て、その狭い道路を直進する。
電波塔の建つ431m峰の北西コルの三差路にまた高屋神社の道標が出ているので、それに従うと、ほどなく神社の駐車場に達する。
私はそこから昔からの登山道を上がって神社に登り、帰路は車道を下って駐車場に戻り、更に看板を見て「不老長寿の神泉」に寄った後、一等三角点峰「上芝山(点名:高野山・444.2m)」まで縦走し、それから観音寺市と旧仁尾町、旧豊中町との境界であるピークまで戻り、南東の尾根道を下り、龍王神社に寄った後、前述の431m峰北西のコルに下り、車道を駐車場まで帰った。散策程度で回遊することができる。該当地形図は「観音寺」。
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※その後、いくつもの「天空の鳥居」を開拓した。(1)と(2)の近年の写真を添付した記事も投稿しているので、ブログ内検索を。