中村 勘三郎さん 死去 | 時代に乗り遅れないための基礎知識

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昨朝、ニュースを見ながら出勤の準備をしていると、
ニュース速報がなりました。



『中村勘三郎さんが死去』


の文字が。。。





一ヶ月ほど前だったでしょうか、
とある情報筋から中村勘三郎が入院しているとの話がありました。


なぜ臨床工学技士に情報が回ってきたかと言うと、
重症肺炎のために人工心肺を付けているといったところからです。


人工心肺は臨床工学技士のおハコなので、そういう経緯です。


中村勘三郎さんは、
7月に都内は真ん中辺りにある有名大学病院で
食道癌の手術を行いました。


12時間かかって大変だったとありましたが、
まぁそれほど予定手術時間を超えているものではありませんね。


長いといえば長いので、癌の範囲が大きかったのか、
周囲のリンパ転移が広範囲だったのか、
もしくは何かトラブルがあったのか、
そんなところでしょう。


有名人の手術なので、
病院も名誉がありますから
若手には執刀させてはいないと思いますし。


あ、ちなみに大学病院は
各科の教授がその科で一番偉いことになっていますが、
手術が一番上手という訳ではありませんよー


教授選なんて、今だに本当に政治ですから。





で、術後二ヶ月経過した辺りから肺炎を併発しましたね。


肺炎は本当に厄介です。


いつまでも引きずります。


で、
ARDSになってしまったようです。


この
ARDS
acute respiratory distress syndrome の略語で、

『急性呼吸窮迫症候群』といいます。



あまり細かい事を説明しても意味がないので省きますが、
要は『重症』『ヤバい』ってことです。


対処が遅れると、この時点で死んでしまいます。


それくらいヤバいのです。



こうなると、とにかく肺を休ませなくてはならなくなりますが、
肺を休ませるってことは
『呼吸を止める』ってことになりますよね。






???


?????



医療に携わっていない人からは、

『なに言ってんの、このknuckle47fl?
 アタマおかしいんじゃないの?!』


って声が聞こえてきます。



えーーーと、



肺を休ませます(^^;;



具体的には、
肺は呼吸しかしていないので
(血液中の二酸化炭素を放出して、酸素を血液中へ取り込む)、
この仕事を他のものが行えば、
肺の仕事量が減るわけです。


これでちょっと、肺が手抜きできますよね。



では、どうすればいいのか?


血液に直接作用させてしまえばいいのです!


身体から静脈の血液を導き出し(もちろん清潔に)、
その血液から二酸化炭素を抜いて
換わりに酸素を添加してあげて、
その血液を再び身体に戻してあげます。



動脈の血と静脈の血の違いは、
簡単には二酸化炭素と酸素の含有量の違いですので、
この工程を行う事によって
静脈血は動脈血に換わって身体に戻る事になります。



血液を静脈血から動脈血に換えているので、
これで肺の仕事を減らす事ができました。


この肺の代わりをしてくれる器械が『人工肺』なのです。



人工肺は単独ではどうすることもできません。

作用させるためには
人工肺に血液を導きいれると出す管が必要で、
その管を身体の血管を繋ぐ大きなのようなものも必要でし、
そもそも血液を流動させるためのポンプも必要となります。


この大きな針はカニューレと言って、
太くて丈夫なチューブのようなもので出来ています。

血液の道筋となる管も同様に、
太くて丈夫なチューブのようなものです。


これらが組み合わさって、初めて動作することができます。




動作させて肺の代行をさせるのですが、
密閉状態であっても身体の外に血液を出して、
自分の血管以外のものに血液が付着するとやはり固まりますので、
血液を固まらせないような薬を投与し続けなければなりません。



どれくらいに調節するかというと、
例えば血液が身体の外に出て2分くらいで固まり始めるとすると、
その固まり始める時間が1.5~2倍くらい掛かるようにするので
3~4分くらいで固まり始めるようにコントロールしながら薬を調節します。


そうなるとどうなるか・・・



身体の中で、必要のないところで出血してしまったりします。


人間のからだは、
器械のサポートなどなくても生きていられるように
何百万年前もからなっているわけです。


ですので、
あくまで身体に負担がないように
慎重に機械的補助を行っていても、
あるタイミングで突然その状態が
破綻してしまうこともあり得るのです。



各種内蔵がダメになってきてしまったりもします。



今回、中村勘三郎さんは
急性呼吸窮迫症候群で亡くなったとされていますが、
この症状は人工肺を装着した時点で救助できています。


なので、本当の死因は急性呼吸窮迫症候群が発症して
人工肺を付けて機械的補助を始めたことによる、
何らかの副作用が直接の原因ではないかと予測しています。





人工肺で補助されてなお、
集中治療室でアイスを食べていたと聞いています。
(ガリガリ君だったかな)


そんな患者が突如として亡くなったので、ちょっと驚きました。



なにはともあれ、歌舞伎界にとって最も重要な一人である
貴重な人材を失った事は確かです。



中村 勘三郎さんの安らかなる御休みを祈ります。






追伸:
今回のことで、なにかもっと知りたいとか、
聞きたいとか、いろいろ意見とかありましたら、
気軽にコメント下さい。


長々とお付き合い頂きまして、ありがとうございました。