今から25年くらい前の話です。

 住んでいたマンションは1階で、前に幅2メートルくらいの庭があり、高さ4メートルくらいの桜の若木が2本ありました。

 隣の家にもちょっとした木立があったためか、毎朝、この庭で雀が鳴いていて、うるさいけれども目覚まし代わりと思えば良いかなどと思っていました。

 ある朝、そこで雀の「ヂヂヂヂ・・・」というけたたましい声が響いて表を覗くと、猫が雀をくわえて隣との間の塀を駆け上がり、その猫をもう一羽の雀が追いかけているのが見えました。鳴き声は追いかけている方の雀の声のようでした。

 そのときは、ちょっと可哀そうだという気持ちと、雀が仲間を助けようとして猫を追いかけることもあるのかという意外感が残っただけした。

それからこの庭で雀の声は聞こえなくなりました。そればかりか、3センチメートルくらいの白い毛虫が発生し、何週間かのうちには2本の桜をほぼ覆い尽くす位になりました。

 いつまで経ってもそんな状態のため、殺虫剤のスプレーを買ってきて撒いたところ、虫は無くなりました。

 ここにはそれから3年くらい住んでいたのですが、それ以来、いつまで経っても雀の声は聞こえません。

 どうにも解せません。雀に20羽とかのグループがあるとするとそのグループがここに近寄らないということはあり得る気がします。それでも、ここは危険地帯であるという情報が何年も言い伝えられ、それを破る雀がないのでなければこういうことは起こらないので、雀にそんな伝達手段があるのかが疑問です。

 また、仮に20羽のグループが周辺に5グループくらいあったとして、その全部に情報が伝わり、それが何年間も守られていたことになります。

 その内、どこかでこういう現象について説明されたものを目にするかと思っていたのですが、未だに目にしていません。

 今回、ネットで調べたところ、≪スズメは群での集団情報網が凄いので誰かが(脅かす、捕まえるとかの)酷い目にあえばぱったりと・・となります≫という書き込みを目にしました。

 酷い目にあうようなことがあればぱったりになる経過を知りたいのですが。

 そういえば、春の子育ての時期に、人前にヨタヨタと現れるのはおとりになってヒナを守るためでしょう。その他にも、人の注意を近辺に向けて猫やカラスを遠ざけるという狙いがあるのかもしれません。

 最近のNHKのファーブル昆虫記でも、昆虫の驚異的な能力が紹介されています。

 雀や昆虫を見習って、分かっていることくらいは守れるようになり、二日酔いになる飲み方はしない、準備書面に感情的なことを書かない、誤字脱字がなくなるというその日に、一歩でも近づくように心がけたいものです。