税務署との関係が気になるのは、経営者や自営業者でしょう。

 25年くらい前に一度税務調査を受けました。いわゆる地上げの契約書作成に関係したことで対象になったようです。幸い、領収書を全部残していましたので、事務の人が経費を二重に計算していたところの修正を言われただけでした。

 その後、友人が税務署の若手の人達を同行してきたゴルフの昼休みに、「自営業者の人はいろいろ節税だ、脱税だとやってるんでしょ。」というニュアンスの言い方をされて驚きました。

 更に、元税務署長さんの話を聞く機会もありました。「税務署が税務調査に行くときにノルマがある」という言い方は都市伝説と思っていたのですが、ノルマはともかく、ある程度の数字を持ちかえることが目的になっていて、持ちかえらないと署に返ってから絞られるとか、署内で数字の競争になっていると聞きました。

 大体は性善説的に考える者としては意外でした。脱税が日常的で、調査に行くといろいろ摘発できるのが普通という考え方になります。会社などでは幅広い収支がある結果かもしれません。

 税務署の採用は、高卒程度の一般職員と、大卒程度の専門官の二つのコースのようです。この点は他の役所と同じです。

 一般職コースは、1年間、全寮制の税務大学校の研修を受けます。その他に、一般職コースでは普通科研修、本科研修など、大卒コースは、専攻税法研修、専科研修、簿記二級試験などの研修を受けるようです。

 税法や簿記などについて、これだけの武装をしていると、カゼイ、カゼイの頭脳になるのは自然かもしれません。我々がホウリツ、ホウリツになるのと同じです。

 

 

 税理士さんも、大体は事務所のある税務署の管内に登録されていて、変に睨まれるのは避けることになり、納税の対策についての相談先というのは意外にありません。

東京国税局の税務相談室の相談件数は年75万件、内電話相談が61%、面接相談が17%(13万件)ということです。東京国税局の窓口には、以前の記憶ですが5人位の人が相談を受け付けていました。ベテランの署員がてきぱきと相談に乗ってくれるというよりは、後ろの方にもって行って何人かでもごもご相談をしながら、答えてくる感じでした。

 後から考えると、ここは退職して税理士登録する直前の方々の訓練の場になっているかもしれません。税務署の建物の中では税額が減る方向のアドバイスには進まない気もします。各区の税務署でも同じと思われます。

 という私も、税金によって社会福祉や社会資本の整備が可能になっていることは分かります。税務署の人達が、「北風と太陽」のように、勤勉で実直な納税者をもち上げ、気持ちよく納税するようにもっていくことは出来ないか・・と夢想するわけです。

 これもある程度の年月、税務申告を続けての感想ですが、自営業者の交際費や、家族の専従者給与の計算について、事後的な確認が難しいということもありますが、ここである程度の『自由裁量』を認めて、自営業者の生き残りや地域経済の活性化も配慮されているのではないかと思うことがあります。これがなければ自営業者の生き残りは難しいところがあります。そういう配慮があればいいのですが。

 

 そういえば、「3月15日24時までの申告書提出」のときに深夜2時ころにダメもとで投函に行き、期限内申告(控除)の条件をクリアーしてもらったことがありました。このときは他の人とも会いました。

 いつまでも、付かず離れずの不思議な関係です。