労働関係の事件はふえているようです。全国の労基署での平成22年の「個別労働紛争」の相談は24万件とのことです。今は非正規労働者の相談が多いようです。
調べてみると、個別労働紛争解決制度というのが正式にできたのが平成12年です。平成16年からの公益通報者保護法で、匿名の通報を含めて取り上げられるようになっていることも件数の増加に影響しているようです。
労働事件に関する手続きは、①労働基準局の、ア助言・指導、イ紛争調整委員会のあっせん、②地方裁判所の、ア労働調停、イ労働審判、③裁判移行後の、ア地方裁判所、イ高等裁判所となっています。
このほかに、④労働基準局の特別司法監督というものがあり、これには刑事罰を含む、ということのようです。
①ア、①イ、②ア、③アのどれか一つだけで終わるものもあるわけですが、①~③(この順序で)、さらに④まで含めた全部ということもありえます。
私も①~③を経験しました。
今回は、①の労働基準局の手続きについて。
東京の場合、労働基準監督署は23区内で13か所、三多摩などに6か所となっています。ここで、①アの「助言・指導」を行い、千代田区の東京労働局が①イの「あっせん」をしています。
①ア:労働基準監督署の助言、指導は、各労働基準局のほかに主要都市部の駅周辺部の労働相談コーナーで、電話によるものを含めて労働者、使用者のどちらからも受けているようです。相談を受けた結果、助言が必要なときにに相手方に助言をすることになり、この段階で解決ということも多いと思います。
労働問題と言えるかどうかわかりませんが、私も労働組合の結成(が結成される場合)について労働基準局から電話で教えてもらったことがありました。
次に、①イ:都道府県の労働紛争調停委員会のあっせんは、弁護士、大学教授、社会保険労務士などの3人の委員が無料であっせんをするようです。
全国の平成22年のあっせんの申立件数は6390件のようです。その次は裁判所になりますので、あっせん案を受けるかどうかもそれを考えてということです。委員の人は大学の先生とか労働問題に関する著書がある場合など、労働問題に詳しい人も含まれていて、委員会で意見を聞くことは非常に参考になります。
労働基準局の最後に、④労働基準局の「特別司法監督」ですが、各労働基準局に労働基準監督官が配置され、この監督官は職場の「臨検」や「帳簿の提出を求め」、関係者の「尋問」を行うこともできることになっています。関係者から「申告」があると、「申告監督」とか、また「定期監督」の形での立入調査となるようです。
労働基準法のなかで最も重い場合というと、強制労働をさせた者は懲役10年以下の刑に処せられるように刑事罰もあることの反面ですね。税務署関係よりも規模は小さいようですが、税務関係の国税査察官の権限と同じようなものです。
・・久しぶりに「タコ部屋」という言葉を思い出しました。まあ、日常的にはソフトな違法に目をひかられせているということでしょう。
次回は、裁判所の労働調停と労働審判を取り上げます。