交通事故の場合、ほぼ100%、警察署の現場調べや事情聴取が行われます。また、普通の場合は、加害者がお詫びの連絡をし、加害者側の保険会社から連絡が入って交渉が始まります。弁護士が入ってから被害者側の保険会社を入れるかどうか迷うところですが、資料集めには役立つかもしれません。加害者側の保険の弁護士費用特約の有無も確認します。

 警察の実況見分調書が最初の基礎資料で、ここに、双方の住所氏名、車の登録番号、現場の住所、日時、位置関係、信号、天候、さらに過失割合が記載されています。最近、加盟している弁護士会を通じて、事故発生地の弁護士会に申請して入手可能という手続きになっているかもしれません。交通事故専門などと名乗る司法書士さんが現れたことが影響していると考えています。
 実況見分調書以外の、当事者の調書などは刑事事件で起訴されてからでないと入手できないと思います。

 加害車両の運転手のほかに、禍害車両の所有者は責任が生じます。車の登録番号を記入し、陸運局に登録事項の証明書の申請をします。これも、最近は弁護士会を通じた照会が必要になっているようです。

 治療が終了し、後遺症が確定しないと請求の金額が固まりませんが、生活費にも困るような場合は、月々の一時金を請求することになります。その額の少ないこととか、ある期間で支払いが止まるなど、この辺から問題が発生してきます。「本人からはっきりした謝罪がない。連絡もない。」などを加えた不満がどうしても出てきます。

 このようなことから、私は、最初の相談のときに、交通事故の場合には、感情的な不満が出てくる場合が多いし、交渉や裁判の結果も、納得できる結果にならないこともあることを事前に説明します。

                           弁護士のKnowとHow(ノウとハウ)の記

 ここからは、保険会社との応対になります。普通は後遺症の有無や、後遺症のある場合の「自賠責調査事務所への」等級認定の申請を、加害者の「任意保険会社に」提出することになります。これが通常の進行で、保険会社を相手の代理人と考えて対応することになるようです。

むち打ち症の後遺症認定など、本人の納得できる等級にならない場合に自賠責調査事務所への異議申し立てや訴訟を考えることになります。それに要する時間や費用、結果の見通しをよく相談して方向を決めます。

 加害者側に自賠責保険しかない場合には、加害者本人が連絡にも応じないこともあるなど、どんどん難しくなり、被害者の不満も強くなります。被害者側の労働保険が使えるか検討が必要になります。

日弁連の資料でも、弁護士に求められるのは重大事件や難問題についてではないかと書かれているくらいで、交通事故について、「赤い本」に載っている書式に記入して訴訟をする程度の作業で済むことはあまりないと覚悟することになります。

 裁判所は任意保険や自賠責保険の財政状態も計算に入れている可能性があります。さらに、3兆円もの保険金支払いを受ける業界は、膨大な情報や調査の手段、さらに協力医のグループをもっています。その代理人になる弁護士も、グループを形成し、情報を蓄積しています。日弁連の交通事故の委員会はこういう人も中心の一つではないかと思います。

 加害者側の対応が進んでいるとすると、被害者の代理人になるときには相当に心して準備しない限り結果に結びつかないことになります。