今年も頑張って行きましょう。

 機会もあったので会社のコンプライアンスについて調べ直しました。会社の法務などに関っている人にとっては基本になっているかもしれません。

 コンプライアンスとは、日本語では「会社・企業が法令、社内規定、社会の倫理を遵守(じゅんしゅ)すること」となるようです。ある会社は「内外の法令及びその精神を遵守する」という上品な表現を使っています。
 コンプライアンスという法律はありません。会社法の前身の商法においても会社や役員の法令遵守は規定されていたからことさら新しいものではないともいわれます。
 改めて調べますと、今から12年くらい前の森内閣でつくられ、小泉内閣で仕上げを行った経済財政諮問会議というところでプランがつくられたようです。身近なところでは大規模小売店舗立地法(大店法)などが大きな問題になりました。
 会社(企業)の関係では、商法から会社法が分離されH17、特に「大会社」においては、取締役の遵法義務や監督義務が明文化されたり、取締役会や監査部門の構造についての複数の選択支ができるようにし、内部統制システムの整備が義務化(これはH14から)されました。
 また、金融商品取引法の改正(H18大改正、日本版SOX法)によって、「上場企業」は公認会計士の監査を受けた内部統制報告書を内閣総理大臣に提出することになっています。



     弁護士のKnowとHow(ノウとハウ)の記


 会社で行う内部統制について、政府の審議会の文章でも内部統制とは、基本的に、業務 の有効性及び効率性、財務報告 の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい・・・などとなっているように、欧米の制度を日本語化し、日本語的にはややちぐはぐです。

 日本の社会では相互の信頼と監督のシステムが既にあるのに、それがない外国の制度をそのまま持ち込んでいるのではないかという感もあります。

 不正行為の会社構成員による告発について、対会社、公的機関、マスコミ等の3段階に分けて保護する公益通報者保護法(H16)も制定されました。

 株主代表訴訟では、訴状の印紙額を定額化する一方、株主の悪意の疎明のあったときは保証金を必要とする、取締役などの責任を限定できる、保険の一般化など変転してきました。
 コンプライアンスは、我が国のシステムとして今では出来上がっていることもあって、会計や業務の内部・外部の監査はもちろんのこと、コンプライアンスや、これを含めたCSR(企業の社会的責任)の部署をもうけて対応をしている会社が多いようです。
 改めて考えると、CSRまたはコンプライアンスのシステムは、内外の法令や倫理を含めた幅広いものであるために、会社、特に総務、経理、法務に関わっている人からは、ここから会社についての全ての法令を見渡すこともできるようです。
 一般的な「民法から法律を見る」方法に加えて、「コンプライアンスから法律を見る」方法も可能に思えてきました。CSRまたはコンプライアンスを通じて各部署はもちろん、役員についても把握し、さらに社外に開かれた企業文化をつくっていくことが最終目標となってきているようです。