毒餃子と中国 | 今日のアレ

毒餃子と中国

長い上にマジメな話なので、素通りしていただいても結構ですDASH!



河北省石家荘市の食品輸出入集団天洋食品(中文)  英語の製造した餃子から毒物の有機リン系農薬「メタミドホス」が検出され、それを食べた方が中毒症状を起こしたこの事件、ものすごい勢いで新しいニュースが入ってきますね~。

日本の警察では、パッケージに不自然な点がないことから、製造段階で混入した可能性が高いと見ているとのことです。



今回の事件をきっかけに、大きく2つの話題が持ち上がっているように思います。


1) 中国製品の安全性に対する疑念

2) 日本の食糧自給に対する懸念


この2つについて、ちょっと自分なりに考えてみました。



中国での食品安全(まぁ、食品に限りませんが・・・)については、海外でも汎く疑われているところではありますが、『中国国内向けはきちんと作って、輸出用で酷いことをしている』といった捉え方をした意見もネット上では散見されますが、以前あった『ダンボール肉まん事件とその顛末』からも察せられるとおり、『国全体としてあんな感じ』です。


例えば、食用には使えない工業用の廃塩を使って作られた塩卵で2人亡くなっていたり、役所が調べたところ、そもそも市場で売られている塩の1割程度が、こうした工業塩だった――という話も聞きます。そして、犠牲になるのは結局子供が多いのです。

他には、食肉の卸が実際よりも肉が多いと見せかけるために、肉の塊の中に鉛玉を入れて重さを偽装したり、そこまではいかなくても、水を注射して重さをかさ上げしたりということが相当に横行して、中国国内でも問題として取り上げられたりもしました。


中央政府は事あるごとに警告したり、見せしめ的に厳罰に処したりしていますが、如何せん『上に政策あれば下に対策あり』の国ですから、そもそも効果が薄いですし、公務員の汚職たるや凄まじいですから、目の前の不正もスルーだったり、逆に告発した人を逮捕したり――という事態になったりしています。


現状から中国製品が信頼を得られるようになるとすれば、それは10年スパンで見なければならないでしょう。何故なら問題が『制度』『倫理観』『輸出先の抵抗感』などと、複合的だからです。



それでは、日本の食料自給率という観点ではどうでしょう。

言うまでもなく、これまた一朝一夕に解決するものではありません

農作物は工業製品でないですし、戸外の耕作地で生産する以上、『耕作地の確保・回復が必要ですし、長期的なコスト計画を立てて、自由貿易を過剰に阻害しない程度の保護規制でも生き残っていけなければ、机上の空論です。


また、農業は想像以上に『職人的』な職業分野です。

いくら理屈を立てたとしても、ちょっとした判断ミスや天候の変化などに対する対応で、その収量に非常に大きな差が生まれます。経験がものを言うのが農業でしょう。

つまり、人づくりも非常に重要です。ところが、日本では70年代から『3ちゃん農業』というような状況ですから、後継者不足という部分では、現在の日本の工業力を下支えする中小企業のそれよりも深刻です。

結果として、こちらも10年で1ステップくらいのスパンで見なければなりません。

それに、こうした策が上手くいったところで、現在日本人が得ているすべてのカロリーを賄えるわけではありませんから、輸入がなくなるわけではありません。



こうした施策を取ったとしても、効果が漸次的ということは、結局はどこかで中国製品と接触する(もしくは食する)ということ自体を完全に避けることはできないでしょう。

もちろん、『輸入先の多角化』というリスクヘッジは重要です。

しかし、ただでさえ今の日本は世界の食糧市場で、欧米のみならず中国にも『買い負け』することが増えています。市場経済ですから、たくさんお金を出した人がその商品を買えるからには、急速に豊かになっている中国が日本以上にお金を出して、世界の食料を買うという状況は、今以上に増えるでしょう。


日本人は中国を『豊かな国』と思っている人は少ないでしょう。

一人当たりGDPを見れば、それは明らかです。しかし、中国の人口は日本の10倍以上いるわけです。そして、中国の富裕層の資産は急速に増えています。中国の人口のうち上位10%が日本の所得水準に届く日は、そんなに遠くないのではないでしょうか。

第一、今でも購買力平価でみると、日本は中国の下という状態という話もあります。国務院などでも、『すでに経済的に日本は抜いた。私たちの眼前にいるのはアメリカだ』という意見の人もいるようです。



そうすると、『作ることもできず』『買うこともできず』になってしまう危険があります。


ではどうするのか。


中国の消費者と中央政府の力を利用する』というのはどうでしょう。

前述のように、中国国内でも食品の信頼性は大きな問題になっています。問題意識の高い高所得層は、日本の食品を『安全で安心できる』と認知し、実際に購買力を持っていますから、日本の農業にとっては『顧客』にできる可能性があります。

彼らの食品安全に対する意識を高めることは、中国内では品質改良や規制強化への圧力となり、日本から見ればより顧客としての潜在性が高まります。

そして、中央政府には『断固とした対応を求める一方で、日本が法整備や検査技術で協力できることを提案』するという方法があります。そうすることで、中国政府の面子を完全に潰すことを避けつつ、日本も輸入する中国食品の信頼性を高めることができます。更には、中国政府が中国内向けに『国民生活の改善に努力している』とアピールすることもできるでしょう。


これまでの中国のネットでの反応のように、中国(そして韓国)は表層的な面子に非常にこだわります。

『その程度で中毒になるとは、日本人は虚弱体質だ』などという、とんでもない輩もいますが、そうした意見を言う『中国人が中国人によって叩かれる状況』にすることが大事だと思います。



出口を塞ぐのではなく、最終的に双方が利益を得られる方向に誘導する一方で、長期的には中国依存リスクを減らす努力を進めることができれば、日本としては御の字でしょう。




―― と、私なんかは思うわけです。



会社の中国人(正確には朝鮮族中国人)同僚と会社の売店に行ったときのことです。

ちょうど、日本の某有名ミネラルウォーターの値引きキャンペーンで500mlペットボトルが100円になっていたんですが、それを見た瞬間にその同僚が ――


酷いっ!!


と、一言。


私と、一緒にお昼ご飯を買いに来た日本人の同僚は、思わず、


何がはてなマーク


と問い返しました。



すると、こう言うわけです。


いつもはもっと高い値段で売っているのに安くするということは、中身の水が悪いものに変わってるんだ



私はこの反応を聞いた瞬間、『そうか、彼は「そういう環境」で育ったんだ』と再認識しました。

日本人であれば、そんなことをしてもブランドイメージを毀損するだけで、結局何の利益にもならないと考えます。ところが、中国では違う ―― そうしたことが普通に起こっている ―― わけです。

そして、商売人はそうしたこと悪いとも思わない、もしくは悪いこととは認知していても、目先の金儲けの誘惑に負けている、ということです。


常識が違う相手に、こちらの正論ばかり投げても理解されようはずもありません。

私もその同僚に『そんなことして何になるの。そんな無意味なことしないよ』と言ったんですが彼は『そんなはずない。いつもと味が違う・・・気がする』と言い張ってました



・・・はぁ汗