スーツのパンツ裾丈は好みでいいとか、逆に画一的なものではなく、
スタイルやシルエットによってある程度ベストな長さがあり、
基本的には革靴を履いた時の甲のクッション(靴とパンツの重なり)具合で判断します。
長すぎてもだらしがなく、
短すぎても不格好になってしまうので、
スタンダードは立っているときに軽くパンツの前面(甲側)がが軽くたわむワンクッションです。
裾幅によって変わるベストな丈
意外と知られていないのが、裾幅(パンツの太さ)によってベストな丈の長さが変わるという事です。考え方は甲側のクッション具合の通りですが、細いパンツほど靴の上の方で止まってしまうため、たるみ過ぎないようにするのが基本です。
- 裾口が細めのパンツの場合はかかと側が革靴に触れる程度(ハーフクッション)
- 裾口が普通の幅のパンツの場合は革靴が半分ほど隠れる程度(ワンクッション)
- 裾口が広めのパンツの場合は靴のヒールが全て見える程度(ワンクッション)
この様に、たるみ過ぎず、ぎりぎり靴下が見えない長さを意識するとスーツスタイルにぴったりなすっきりとした綺麗なシルエットになります。
もっと細い、今流行りのスキニーやスリムパンツの場合は靴に触れるか触れないか程度の短めなノークッションが相応しいとされていますが、デニムなどカジュアルパンツの場合はこの限りではありません。
シングルかダブルか
パンツの裾上げ処理でシングルにするかダブルにするか迷った経験をお持ちの方も多いのでは?
正統派トラッド的には一応冠婚葬祭などの正装ではシングルが相応しいとされているので、真面目なビジネスシーンにおいてもダブルは相応しくないと考えているお堅いトラディショナル派もおられますが、私は今の時代ビジネススーツであれば本当にお好みで良いのではないかと思います。スタンダードで間違いないのはシングルですが、ダブルの良い処は、裾に重量を持たせる事ができるので風などになびきにくく、足元にワンポイント・アイキャッチが出来る事です。また、裾の傷みに強いのもダブルと言えるでしょう。
- すっきりとスタイリッシュに見せるならシングル
- デザインコンシャスで足元にボリュームを持たせたいならダブル
- 迷ったらシングルが無難
まとめるとこうなるでしょうか。ダブルにしておいて後でシングルにお直しする事は可能ですが、シングルからダブルにするのは難しい場合が多いのでご注意を。
個人的には座ったときにもあまり靴下が出ない長めのパンツが好きなのですが、立った時にだぶついてしまってはせっかくのスーツスタイルでもだらしのない印象は否めません。また、特に綿のパンツなどは洗うと5%ほど縮む事もあるので、一度洗濯機や乾燥機を通してから裾上げし直す場合も有ります。お洒落な着こなしは、アイテムの良し悪しよりもむしろこんな細かな心配りに現れるのでぜひ気にしてみて下さいね。