「きゃぁーーーー♪」

朝からけたたましい声が教室に響く。

「もう・・・何よ。朝から。」

みんながびっくりしてこっちを見る。

あ・・・皆さんお構いなく・・・


「ヒカル、相変わらずうるさすぎ。

朝から、先輩にでも会ったの?」

「あったりー!さすがリオ。よく分かってる!」

ため息ついて、

「あんた、毎回そうだもん。分かるって。」

って、リオは言った。


あたし、ヒカル。

この春、高校に無事入学。

わくわくしながらこの学校に通ってきた。

だって・・・・・


「せんぱーい、おはようございます!」

「お!ヒカル、おはよー!

早くいかねーと遅刻だぞ。急げ!」


はぁ・・・・

自転車からひらりと飛び降りて

鞄をひっさげ走っていく雄輔先輩。

かっこいい♪

早起きして、ずっと待ってた甲斐があった♪

今朝も、先輩としゃべっちゃったぁ♪


「キーンコーン カーンコーン」

げ、やばい・・・急がなきゃ!


教室に滑り込んだあたしは

改めて先輩の声を思い出し、

「きゃぁーーーー♪」

おはよーだって!!!

(朝だから当たり前・・・・)

って、一人机バンバン叩いて喜んでる。

そんなあたしをリオはあきれて見ていた。


「ねー、雄輔先輩のどこがそんなにいいの?」

一人で興奮してるあたしにリオが聞く。

なんて事を!!!

「どこが?って

顔、かっこいいでしょ?

声、メッチャ素敵でしょ?

走る姿もかっこいいし

面白いでしょ?

自転車乗ってるとこも素敵だし

この前、ジュース飲んでる姿も様になってたなぁ♪

それから、体育の時間、サッカーしてたんだけど・・・」

マシンガンのごとくまくしたてるあたしに

「分かった分かった・・・もういいから。」

って、あたしを止めようとした。


「まだ終わってないから♪

えっとねー、友達とじゃれてる所なんか

すっごくかわいいし

売店でパン買ってたときなんか

すごく嬉しそうな顔してパン食べてたよ。

あの顔見てたら幸せになった♪」

リオはあきれて1時間目の用意を始めた。


「あんた、病気だね・・・」

リオに言われたけど

「だって、メッチャかっこいいんだもん♪」

と答えるあたし。

「ヒカル、他にもかっこいい人いるじゃん。

同じ組のタケルくんとか、ヒロくんとか・・」

「えーーー?雄輔先輩とは

比べ物になんないって。

だってねー、雄輔先輩優しいし♪」


こんな楽しい日々が始まったのは

入学して1週間後の放課後だった。



《つづく》