循環器疾患、特に虚血性心臓病といわれる狭心症、心筋梗塞治療後の患者さんは
どうしても内服薬の種類が多くなってしまいます。
降圧薬、利尿薬、スタチン系薬剤、そして複数の抗血小板薬(いわゆる”血液サラサラ”のための薬)・・・等々
そうすると胃腸粘膜障害も起こりやすくなり、そのために必要な薬の内服継続が難しくなることがあります。
そこで胃腸粘膜を保護する目的で”胃酸分泌抑制薬”であるPPI(プロトンポンプ阻害薬)が併用されることが
多いのですが、安易な併用には要注意!との論文がCirculationという有名な循環器系医学雑誌の8月号に掲
載されました。
それによると、PPI投与により血管不全予防効果の中心的役割を果たしているNO(一酸化窒素)の産生が阻
害され、血管の弛緩反応の低下がみられたとのデータです。
どうしてもこの種の薬でなければいけない患者さんもいらっしゃるかもしれませんが、そうでなければ
他のタイプの胃腸粘膜保護薬の変更などの検討もなされるべきと思います。