安倍晋三の暗殺についてだが。

 

アメリカにとって特別な首相だった安倍晋三──バイデン演説から見える深い因縁

 

事件当日にСⅠA設立75周年のイベントがあって、バイデンが出席したそうなのだが、これは偶然にしては気になる事実だ。

安倍さんとバイデンの間には、特に対ロシア政策において確執があったことも事実だ。

わかっていることはそれだけだが、このことは日本では誰も指摘していないように思うので、ここに記しておくべきだろう。

下の五年前の論考の続きを。

 

以下、東西冷戦から南北戦争へ(2017.2.18)より

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ユーラシア諸地域がアメリカにとって介入するのに力がありすぎる地域になってしまえば、ロシアと対峙できる場所は一つしか残っていない。北極周辺だ。カナダの位置づけがどうなるかはまだ何ともわからない。 おそらくとりあえずはアラスカを拠点とするだろうが、展開次第ではカナダを巻き込んで(場合によっては戦場にして)ロシアと直接に局地戦を始めるのではないかと思う。
こうした事をイギリスが黙って見ているとは到底思えない。こうした事が全く起きなくても、おそらく米英関係は近い将来相当に悪化するだろう。チャールズやウィリアムの対米観がどういうものかは今ひとつわからないが、エリザベス2世が米英関係の維持に貢献しているであろう事は想像に難くない。 アメリカが力をなくしつつ好戦的になるにつれ、イギリスはますます距離を置くようになるだろう。そしてユーラシアから切り離されてしまったアメリカは地政学的に見て北のロシアと南のラテンアメリカ諸国に挟み撃ちにされる形となっていくだろう。ちょうどこれは百年前にドイツがフランスとロシアに挟まれていたのと同じ構図だ。ドイツの拡大が仏露両国を近づけたのと正に同じ理由からロシアは今後ラテンアメリカ諸国に接近を図るのではないかと思う。
最終的にドイツは世界大戦を起こし、第一次大戦ではフランスに、第二次大戦ではロシアに敗北を喫した。私はアメリカも同じことになるだろうと考えている。

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現状ではまだ突飛な予測と感じるだろうけど、五年前にウクライナで今日起きているような戦争が起きるとは誰も思っていなかったことを考えると、やはり一考に値するものだと思うね。

ウクライナでの戦争も一か月が過ぎて、まだまだ終わりが見えそうにないのだけれども。

先日昔書いたものを読み返していたら、五年前の論考が出てきて、これがなかなか現状をよく予測していたので、ここに掲載しようと思う。

 

以下、アメリカの代理戦争について(2017.2.18)より

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さて、現在中東地域でもう15年近くアメリカは戦闘行為を続けているわけだが、これが今後どう推移するかという事がここでのテーマだ。

朝鮮半島→インドシナ→中東と推移しているアメリカの戦争にはいくつかの特徴がある。

列挙すると

・中国とロシアの周辺地域である

・英連邦(旧大英帝国領)以外の地域である

・アメリカとの相対的な力(国力)が大体一定の範囲に収まっている

一つ目については冷戦のそもそもの性格からして当然だろう。

二つ目も冷戦構造を規定したのがチャーチルであることを考えれば同じくごく当たり前のことなのだが、このことは意外と認識されていない。インドとパキスタンの対立に米中露三か国が関与して戦争を起こすことができないのはこれが理由だ。

三つめは見ての通りといった感じで、これについてはトッドが論じているのでここではこれ以上触れない。

さて、この事実を踏まえた上で今後の展開を考えるとすると、ポスト中東の戦場として最も可能性が高いのは、前にも何度か書いたが、やはりウクライナ・ポーランド国境ではないかと思う(ベラルーシ・ポーランドの可能性もあるが、いずれにせよ東欧という事だ)。この地域は上記三つの条件を満たしている。その一方で現在の朝鮮半島は(台湾も)アメリカが戦場とするにはすでに国力が高すぎると見える。つまり朝鮮戦争当時とは東アジアとヨーロッパの立場が逆転しているのではと思われるのだ。これまでのウクライナ情勢から言って、先に仕掛けるのがプーチン(もしくはその傀儡)である可能性も高い。いずれにせよ早ければ2020年代からこの状態、つまり東アジアが軍事的緊張状態となり、東欧で代理戦争が起こると私は見ている。ちょうど終戦後10年間の東アジアとヨーロッパを逆にした形の国際情勢になると私は見ている(おそらくこれはトランプの次の大統領以降の話となるだろう)。そしてこれが1945年以降続いた東西冷戦の最終局面となるはずだ。

その結末は?そしてそれ以降の展開は?

現状では確実なことは言えないけれども、アメリカの国力の低下と、それにもかかわらず相対的に肥大する軍事機構から見て一つの仮説は立つ。

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この後にさらに予測を続けているのだけれども、それはまたの機会にでも。

この世界がどうなるのかということは、誰もが関心を持っていることだと思うね。

 

 

ウクライナ情勢を踏まえての事なのだけれど。

 

今回は欧米との直接衝突にはならないだろうけれども、ロシアの今回の行動を踏まえると、旧ソ連からの失地回復がプーチンの一貫した動機であることははっきりしている。

その最終目標は、最初にソ連から離脱したバルト三国であろう事は想像に難くない。

今から何年後のことになるかはわからないけれども、EUとNATOに加盟している同地域へのロシアの侵攻が、第三次世界大戦のきっかけになる可能性はかなり高そうだ。

 

もちろんそうなると決まったわけではないけれども、今現在起こっていることを見ていると、将来の戦争を回避できるようには感じられない。

この戦後世界も80年ほどで終わりということになりそうだ。

岸田さんが総理になったわけだけれども。

 

これに伴う一番重要な変化は、政策うんぬんではなく、菅さんと二階俊博が失脚したことで、自民党が世襲政党として完成してしまったという事だ。

 

ということはつまり、今後の展開はもう決まったようなものだ、とも言える訳で。

 

これまでの主だった人物を並べると

・麻生太郎(吉田茂)

・鳩山由紀夫(鳩山一郎)

・安倍晋三(岸信介)

・岸田文雄(池田勇人)

 

と来て(一応、鳩山由紀夫は民主党で、岸田文雄は池田勇人と直接の姻戚ではない)

これに続くであろう総理のリストは

 

・岸信夫(佐藤栄作)

・?(田中角栄)

・福田達夫(福田赳夫)

・鈴木俊一(鈴木善幸)

・中曽根弘文(中曽根康弘)

・宮沢洋一(宮沢喜一)

 

あたりになるわけだね。

 

これは日本にとっていいことなのだろうか。

 

政治家が地元の有力者としての役割に留まるのなら、それでもいいとは思うのだけれども。

どうもこの自民党三代目劇場を変えるだけの力は、今の日本には存在していないように見えるね。

金星のテラフォーミングに関する面白い動画が。

 

How To Terraform Venus (Quickly)

 

水星からカルシウムやマグネシウムを持ち込んで、大気中の二酸化炭素を

固定するのに用いるという案は以前から知っていたんだが、どうやらこれは

質量の面から見て現実的ではないらしい。

以前書いた金星から火星へ二酸化炭素を運ぶ案も取り上げている。

それと、木星の衛星エウロパから水を供給する、という案には驚きだ。

いずれにしても、金星のテラフォーミングにあたっては、太陽系内の惑星間交易が

鍵になるようだ。

 

磁気圏をどうやって構築するかの話がないけれども、これはやはり必要になるはずだ。

火星のテラフォーミングとも共通する話だけれど、どんなに環境を地球に近い

ものにしても、磁気圏がなければ放射線が降り注ぐし、大気は片っ端から太陽風に

吹き飛ばされてしまうはずだからだ。

 

Quicklyとあるけれども、どれくらい手早くできるだろうか。やはり早くて数千年といった

所だろう。地球上で最後の氷河期が終わって、我々が文明と呼ぶものが始まってから

1万2000年、それと同じくらいの時間が必要になるのではないか。

科学ジャーナリストのマット・リドレーがSARS-CoV-2の起源について記事を

書いているんだが。

 

Did the Covid-19 virus really escape from a Wuhan lab? | Matt Ridley (rationaloptimist.com)

 

さすがに専門家だけあって、このテーマに関するものの中ではこれまでで

最も優れたものだと言っていいだろう。

 

SARSと違ってこのウイルスが発見当初から人間への感染力を持っていた事や

他のコロナウイルスにはないfurin cleavage siteがこのウイルスに挿入されていることが

武漢ウイルス研究所の論文には書かれていなかった、という事などは重要な事実だろう。

石正麗の言動についても、ポイントを押さえてよくまとめてある。

 

近く本を出すとの事だが、これは期待できそうだね。

アルテミス計画の詳細が更新されていたので、ちょっと読んでみたのだけれども。

 

ずいぶんいろいろな会社に発注している様で、正直な所、寄せ集めという

印象を受ける。

宇宙飛行士についてはカナダ人の2人を正式メンバーに加えた様だね。

 

ゲートウェイについては、オルドリンやズブリンの言う通り、

機能的には必要のないものなのだろう。

ISSとは違って地球の磁気圏の外なので、長期滞在には問題がある

といった事も一般には認識されていない様だ。

ロシアが協力するのかどうかはまだはっきりしていないけれども、

これは基本的に国際協力という体裁を取ることで、日欧から技術・資金面での協力を

引き出すための仕掛けと言っていいだろう。

 

あまりアメリカ一色になり過ぎない様、日本としても主張はしていくべきだろう。

いつもの様に金だけ取られて見物する立場のままでは

今後のためにもよくないだろうね。

本来なら今頃オリンピックの最中だったはずだけれど、

延期に、おそらくは中止になるであろう事は正直な所歓迎している。

理由は言うまでもなく、東北の震災を利用しての誘致が

容認できるものではなかったからだ。

 

そんな一度限りのスポーツ大会はさておき、この2020年に

東京が達成することになるであろう史上最大の記録は首都圏の都市人口だ。

統計によれば(p23)今年の首都圏人口は3800万人で世界一位だ。

 

新型肺炎の影響で首都圏からの転出超過が始まっている事と、

2位のジャカルタが首都移転が決まって今後は伸びが鈍化するであろう事を

踏まえれば、この記録は今後しばらく更新されない可能性が高いだろう。

 

東京2020の記録がスポーツ選手と電通によってではなく、

日々通勤するサラリーマンによって達成されたというのは、

日本人として少しは誇りに思ってもいいのではないかな。

COVID19に関する米中の応酬を見ていてふと気づかされた事が。

 

 

中国を非難するに当たって「共産主義者」という少し時代めいた表現を

ポンペオが使っていた事なんだけれども。

 

元国連大使のニッキー・ヘイリーも同様に、チャーチルを引用した上で

中国共産党に立ち向かうべきだと主張している。

 

Nikki Haley: There are far more dangers China poses than its coronavirus actions

 

どちらも保守系のメディアではないという点から見ても、アメリカと中国の対立はほぼ

決定的になったと見てよさそうで、仮にトランプが大統領選で敗れることになったとしても

この流れはもう変わらないだろう。

 

一方で、これらのレトリックから気になるのは、米中間の対立が地政学的なものになるのか

それともイデオロギー的なものになるのかという点だ。

 

つまり、冷戦終結後これまで新冷戦と言われてきた地政学的な対立は、

中国に加えてロシア・イランといったユーラシア大陸部の諸国家が連合してアメリカに

対抗するというものだったのだけれども、アメリカが今後反共を旗印に中国と対立する

ことになるのなら、中国に加わることになるのはロシアやイランではなく、冷戦以降

アメリカとの関係が改善していたキューバやベトナムだという事になるのではないか。

 

今後しばらく米中両国の動向から目が離せない様だ。