車はクリスマスで賑わう東京を離れ、ぐんぐんスピードを上げる。
だんだん空気が澄み渡り、見慣れない景色が広がる。
夜の海が見たい
数日前に送ったメールは、どうやら叶う方向へと進んでいる。
母親は私をこんな日に産んだ。
今、とても感謝している。
車はまず、とある東京都の外れの市に着いた。一度だけ行ったことのある街、一度だけ会ったことのある友人、そして初めて会う人。
緩いいろは坂を車は上る。
映画のシーンに使われたその坂はくねくねと曲がっていて、私もそれと共にくねくねと喜んだ。
辿りついた場所は住宅街。その家と家の間からこぼれるような夜景が広がった。
車の中で作ってきたおべんとうを広げて食べた。
なつかしい。
高校以来のおべんとう。朝から何時間もかけて作った(創った、と言っても過言ではない)卵焼きとたこウインナー。失敗した唐揚げ。
お腹の空いていた二人はそれをペロリとたいらげた。
不味いと言わせない強さのある味だね
・・・?!
それは褒め言葉と取ってよいのかな?
まぁいいか!
おべんとうは空っぽになったのだから。
そしてまた、車は走る。