暗闇の中 後ろについた手の指に手が重なる
みさきの顔が近づく
唇が触れる
更に深くしようと俺の首に腕を巻き付け
覗きこむように俺を見つめる
座ってる足と足が触れる
ん?暗やみの奥に光るものがある
承志「ちょっとまって」
みさき「もう待てへん 今逃したらもう永遠に手に入れられへんから・・・」
みさきの一途な熱を感じ、しっかり見つめかえす
みさきの顎を掴むと 承志から息も出来ないほどの激しいキス
承志「みさき…こんな俺をそんな好きでいてくれてありがとな 」
さらに軽くおでこにキスしながら言う
みさき「…俺…承志の優しさを利用してんな」
承志はこんな状況になってしまった責任を感じてきっとこのまま おれの気持ちを受け入れようとしてくれはる

そんな優しさはいらんねん 責任感も・・・
俺が欲しいのはそんなんじゃないねん

わかってた はじめから・・・承志が愛してるのは凪沙君だけ・・・
そう思うと…苦しさが込み上げてくる

どうにもならないってわかっとった


承志「そんな 泣かへんでや どうしていいかわからへんやろ」
そう言って溢れた涙を拭ってくれた

自分でも知らん間に泣いていた
そんな俺の体を引き寄せ抱きしめてくれた
その承志の背中に腕を回ししっかり抱きついた
もう それだけで充分やった   
俺が落ち着くのを待って承志が口を開く
承志「あそこからな光が漏れとる」
みさきは振り返りじっと見る
みさき「何かな?」
承志「ちょっと見てくるな」
承志は立ち上がり光の漏れる方へ向かった
部屋の奥に使わなくなったのか 長く放置されたような薬品棚だったのか?棚が置いてあり その後ろから光が漏れていた
承志「みさき これ退けるの手伝って」
みさきも立ち上がり薬品棚の近くに来た
みさき「これ 中身出さへんと無理やと思うけど…」
承志「大丈夫 一度やってみよ」
みさき「絶対落ちるって 大きいのだけで出そう」
承志「お おん…じゃあ出す?」
棚の中から大きい瓶を取り出す
下の扉を開けたとたん 何か虫が出てきた
承志「うわっ❗なんかおった」
みさきが靴で踏んで退治する
承志「みさきスゲーなー」
みさき「こんな古い棚やからなんかおると思った」
冷静にガラケーを取り出しその光で中を照らす

いくつかの薬品の瓶を出す

中に水もあった

みさき「承志さん 水あったで!」

承志「やった!これで少し生存率あがったな でかっ」

海咲「サーバーに入れる用のやから なんかコップないかな?」

研究用の新しいビーカーを見つけ軽くすすいで二人で水を飲んだ

承志「ふぅ~ちょっといきかえったな」

海咲「これでどけられそうですね」

棚をどけると扉になっていた

その扉にはドアノブはなく非常用の扉のような金属の丸い輪のようなのが付いたタイプだった

その輪を右に回して引いてみる

久しく使われてないせいで錆びていてなかなかひけなかった

棚の中にあった何かの部品のような鉄の棒を輪にかけて二人で引いた

扉は鈍い音と共に開いた

 

  

 

 

 

凪沙と慎は緊張した面持ちで副社長室のドアの前に居た

決心したようにドアをノックする

返事はない

そのままドアを開ける

応接セットがある奥に机があり その先の窓枠に座りタバコをすってる人物がいた

その人はじっと凪沙と慎を下から上まで舐めるような視線で見て

「あなた達はいったい誰ですか?」

凪沙「すいません失礼しました 大阪支店の凪沙と慎です」

名刺を渡す

副社長「で?大阪の方々がわざわざなんですか?」

凪沙「実はこちらに出張に来ている承志と連絡がとれなくて、心配できました」

副社長「それなら 彼の借りてるとこに行ってみては?」

凪沙「行ってみたのですが 居らんくて・・・」

副社長「そうですか それは心配ですね ちょっと課の者に聞いてみますのでどうぞおかけください」

凪沙「はい ありがとうございます」

今誰かを呼びに副社長にこの部屋から出られては困る・・慎と目を合わせる

慎「申し訳ないのですが お水をいただいてもいいですか?」

窓際においてあったサーバーを指さす

副社長「ああ これは気づかなくて・・どうぞ 他にお茶やコーヒーもありますよ そちらの・・」

凪沙「凪沙です ありがとうございます」

なんとか笑顔を作って副社長に向ける

それに気をよくしたのか一緒にソファーの正面に座り自ら

副社長「凪沙君はお砂糖はいくつ入れますか?」

凪沙「二つとミルクもお願いできれば・・・」

その様子を慎は確認するとポケットのスマホを押しアラーム音を鳴らした

慎「あっちょっと失礼します」

席を外す

 

 

無事に社長室にたどり着いたボスと斉藤が今までのいきさつを社長に話した

社長は神妙な面持ちのまま少し考えていたが

社長「今は二人の無事を確認する事が重要です それを一番に考えましょう」

ボス「もちろんです」

社長「その工場に私が行ってもきっと見つからないでしょう そればかりか彼らに危険が及ぶでしょう だから私がその工場に明日視察に行きたいと秘書に言います そうすれば彼はうごくでしょう」

ボス「ありがとうございます あとは私の知り合いの警察官に応援を頼みます」

社長「わかりました もし不法就労やそのほかの不正が明らかになった時はお願いします?」

ボス「えっ?」

社長「この会社を救うためにあなたにお願いすると言うことです いいですね」

しっかりボスを見て手を差し出す

ボスは決心したようにその手を握り返した。

その後社長は何か書類を書き斉藤に渡した

社長「この書類はあなたが預かってください」

社長はその後秘書を呼び何か所かに電話した

いよいよ救出作戦スタートだ

 

 

うまく社長と話できたことをLINEで慎と凪沙に送った

今から会社から脱出するからホテルでと

 

凪沙は困惑していた

時間を稼がなくてはいけないってわかっているが あまりにも性急に身を乗り出してくる副社長の対応にどうしていいかわからなかった

コーヒーカップを持つ手を両手で撫ではじめ

副社長「手思ったよりごつごつしてるね 」

と言いながら今度は指先に触れる

今手ひっこめたらあかんのかな?

凪沙が考えてるのを副社長は脈ありと思い 凪沙の隣に座った

何?何?怖いねん どうしよ・・・・

隣に座ると凪沙の太ももを撫ではじめる

無意識に腰が引ける

副社長「可愛いね 大丈夫だから」

大丈夫やないやろ もうあかん!

 

 

 

つづく