今夜も中野で歌ってきた。

風みたいに通り過ぎていく人と、隙あらば僕を呑み込もうとする街に対してただ、声を張り上げた…

全部を押し退けるみたいに
隙間を埋めるように


現状に何一つ納得はしていない!

できるわけがない

けど、やれる事と言えば限られている。

ただただ楽しく歌うには…もう深入りしすぎた


頭で分かっていることと心が分かっていることのバランスが取れやん


そんな、帰り道

神さんの褒美か何かの縁か。

僕が最も刺激され影響を受けたアーティストSIONさんに出逢った…


出逢ったんや…


現実が遠のく感じがして、背中に背負ったギターのせいか…はたまた僕が凝視していたのか…


目が、合った


ゆったりと、でも大勢の人の中そこだけこの目には浮き立って見えた

こっちに歩いてくるシオンさんから目が離せずに、気がつけば歩み寄っていた

「シオンさんですよね?」

どんな顔で言うたんやろ。

ニコッと笑ったシオンさんが、僕のトレードマークのハット越しに頭をグシッと

一瞬視界からシオンさんの顔が消え、この目には首が見えた。
その首が太くて、長く歌ってきた事を物語っていた。

そして、再び視界に入ったCDや画面でしか見た事のないその顔が


がんばろうぜ


って…


それだけ言って握手した後、振りかえる事なく去っていった。

目に焼き付けた

尊敬する人の背中


シオンさんは僕の悩みなど知るわけもない

でも、きっと知っているんだと思う


あの言葉や手にはそんな温もりがあった


また、歌える


これで、またやれるよ

チャラになった

まだ、やれるよ


ありがとう


シオンさん