今回は、「ルペン氏らが靖国参拝」の記事から。

 あまりニュースソースがないので、あえて複数載せておきます。

 それとゴメンナサイ、タイトルは挑発的にしたけど、中身は比較的、彼らに肯定的な内容ですので!!


『「重要なのは祖国防衛に命落とした人々の善意」 仏極右党首らが靖国参拝』 産経ニュース 2010.8.14

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/100814/trd1008141545010-n1.htm


『戦犯合祀、「問題ない」=仏極右党首らが靖国参拝』 時事ドットコム 8/14

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201008/2010081400179



【ルペン氏の発言と、その人となりについて】


 さて、まずは「主役」のルペン氏について解説しよう。

 この人は、名前くらい聞いた事がある人も多いのではなかろうか?

 正確には、ジャン=マリー・ル・ペンと表記するため、「ルペン」ではなく「ル・ペン」というほうが正しいのかもしれないが、とりあえず慣例に沿って「ルペン」で行きます(´ω`)


 既に82歳、国会議員歴は非常に長い、フランスの保守政治家。

 フランスの右翼団体などに集合を呼び掛け、「フランス国民戦線(FN)」を結成、その党首を30年以上勤めている。

 過激な発言と思想で知られる。誹謗中傷や、ナチスの容認発言などでたびたびニュースになったり。

 移民排斥・EU脱退・死刑復活・中絶反対など、その思想は極めて右寄り。まさしく「欧州でもっとも有名な極右政党」として名をはせ、国内外から鼻つまみされていた。


 ・・・が、歴史の風化(とあえて書く)や、失業率の増加、移民の犯罪増加などを受けて、右派への支持が急増。FNは急に票を伸ばし始め、ルペン氏は一時期「大統領の決選投票」にまで上り詰めた。

 今はやや、支持を落としているものの、それはサルコジ氏などが右傾化しているため、「票を食われた」カタチによるもののようだ。つまり、フランスの右傾化にはそう変化が無いのだろう。


 さて、そんな彼の、今回の靖国での発言をまとめてみた(・ω・)


「日本は自分の国を守って亡くなった方を非常に大事にしていると感じた」

「靖国神社は戦犯が正式に祀られている。A級戦犯の合祀は問題ない。重要なのは祖国防衛のために命を落とした人々の善意だ」

「菅総理が参拝しない事については、日本政府の事なのでなんとも言えない」

「戦争は65年までに終わったはずだ。フランスとドイツは和解した。靖国問題がなお近隣諸国の問題になることはおかしい


 ・・・最後の発言において、彼は暗に「謝罪を求め続ける韓国や中国」を批判しているようだ。

 なお、これに対し、中国の新華社通信は、

「ルペン氏の靖国参拝は、ファシズムの宣伝だ。」

 と報道している。


 ちなみにルペン氏は、大の親日家である事を付け加えておく。そういえばシラクさんもそうだったねw



【ゴルニッシュ!!!】


 個人としては、もう1名、FNのナンバーツー、ゴルニッシュ氏についても触れておきたい。彼も今回、同行していた。

 学者肌の彼もまた、ユダヤ人へのホロコーストについていくつかの疑義を唱え、物議をかもした人物だ。

 さらに言えば、こちらも「大の日本好き・日本通」で、奥さんも日本人で、そして日本語ペラペラだそうだ。


 さて、彼の発言はというと・・・


「靖国は、パリの凱旋門にある無名戦士の墓のようなもの。われわれは戦火に倒れた不幸な兵士に対し敬意を表す」

「良い戦争犯罪者と、悪い戦争犯罪者がいるのだ。いい戦争犯罪者は許され、勝利者となる。彼らは、広島や長崎やドレスデンや他の都市で、女性や老人や子どもを爆撃し、3千度の熱で吹き飛ばした。それがいい戦争犯罪者だ。それとは別に悪い戦争犯罪者がいる。彼らは負けた側の一員だ。」


 特に、後者の発言は皮肉に満ちている( ´,_ゝ`)

 靖国の「A級戦犯」について、そもそも戦犯という考え方自体への疑問を呈したと言えよう。

 勝った方が「いい兵士」で、負けた方は「悪い兵士」だということか。


 こういう考え方を、「戦勝国」側であるフランスが抱いている、というのは興味深い事柄である(´ω`)



【世界右翼東京会議!!】


 さて、ニュースでは(ニュース自体も小さなものだが)、ルペン(他、欧州の右派政党)が、靖国に参拝した事ばかり取り上げられている。

 が、実際にはこれは、フォーシーンズホテルで開催された、

「一水会・世界平和をもたらす愛国者の集い」

 の、副次的なイベントに過ぎない。

(あるいは、靖国参拝させる事がメインで、こっちの会議が副次イベントかもしれないが。そのへんは一水会さんに問い合わせてくださいw)


 さて、この会議に顔を出した政党、すなわち一水会が招いた方々は、なかなか錚々たるものだ。


フランス:フランス国民戦線

イギリス:英国国民党

オーストリア:オーストリア自由党

スペイン:ファランヘ党

スペイン:国民同盟

ハンガリー:ヨッピク

ブルガリア:アタカ国民連合

ベルギー:ブラームズ・フランク

ルーマニア:ハンガリー市民党

イタリア:社会運動・三色の炎

ポルトガル:国家刷新党

ウクライナ:Svoboda


 率直に言って、それぞれがどんなものか、サッパリわからないけども(-ω-)

 これが「日本の、一右翼団体」によっておこなわれた事に、凄さを覚える。



【一水会とは】


 では、くだんの一水会とは、どのような会なのか?

 右翼分類上は「新右翼」と称される団体で、三島由紀夫の割腹に感銘を受けて出来た会だという。

 日本軍の、中国における民間人虐殺や、慰安婦の強制を否定しており、ブログにおいても現中国を「シナ」と表記するなど、そこらへんは非常に右翼的だ。



【ネトウヨの主張と対立する一水会】


 ところが、この会の「顔」である、鈴木邦夫氏については、なかなか物議をかもしているようだ。

 以前もブログで少し触れたが、鈴木氏はイルカ映画「ザ・コーヴ」の上映阻止運動において、右派団体と対立した。


ブログ:「一水会活動最新情報!」より

『『ザ・コーブ』「日本限定」上映阻止運動のバカバカしさ(その1)』 8/02

http://ameblo.jp/issuikai/page-7.html#main


動画:『「ザ・コーヴ」上映反対派と鈴木邦男 渋谷編(1/2) 』 Youtube 7/05

http://www.youtube.com/watch?v=K9d7_QmbZno&feature=player_embedded


 なお、ザ・コーヴに関する僕の過去記事は、こちらをどうぞ。

『コーヴと国旗国歌問題は一緒;シーシェパとネトウヨも一緒』 7/03

http://ameblo.jp/kitanotabito/entry-10580560583.html


 鈴木氏は、コーヴ上映問題について、

「私は日本人だが、イルカ漁の事など何も知らなかった。日本人の大半が知らなかった文化を、今さら強引に取り上げて、伝統文化がどうのと騒いでも仕方ない」

「反日映画だと言うなら、堂々と一億二千万人に見せたうえで、議論すればいい。見せない事は日本国民を信用していない証拠で、それこそ反日的だ」

 というような発言をしている。このへんについては、一水会のブログを参考にしてもいいかもしれない。


 ちなみに、コーヴ上映に反対していたのは「主権回復を目指す会」というところだ。

 以前に記事にした「在特会」とも繋がりがある団体で、やってる事(品格)も似ている。

 動画において、鈴木氏は「彼らに公開討論を申し込みに行った」そうだが、これに対し「目指す会」はマイクで鈴木氏の顔を殴打し怪我させる。話し合いを受け付けず、代表はこんな演説を繰り返していた。


「朝日新聞の座敷犬、鈴木邦夫を、朝鮮半島へ、た~たき~だせぇ~」

「海外のメディアがこれだけ集まると、出たくて出たくてしょうがねぇ、鈴木邦夫は、とんでもねぇ顕示欲の強いヤツだ、守銭奴だ」


 この「た~たき~だせぇ~」が、なかなかクセになりそうないいアジなのだが(笑)

 その発言の「頭の悪さ」といったら、ひどいもんだ。


 朝日新聞という「左翼新聞」をむやみに持ち出す。確かに鈴木氏は「朝日ジャーナル」に論文を発表したり、サンデーモーニングに出演すらしたそうだが、元々は産経新聞の社員だったそうだ。

 朝鮮半島へ、というのも、実にアホらしい。

 そういえば今年8/15、靖国において、わめく在特会に「ちょっとうるさいよ」と注意した男性がいたそうだが、これに対し在特会は「なんだおまえ、朝鮮人か!?」と、ワケのわからない言い返しをしたという。


「俺らは朝鮮人を攻撃している → だから俺らに反対する奴は → みんな朝鮮人に決まってら」


 という、実に直結的な論理が働くのだろうか??

 日本人みんなにバッシングされたら、我々は全員、在日認定されてしまうかもしれない。いやはやwww


 最後に付け足せば、「海外のメディアに出たがり」などと勝ち誇ってみせた西村代表だが、しかし「海外の政治家を多数招聘し、欧州中のメディアを集めた」のもまた鈴木氏率いる一水会である。

 ルペン氏に突撃しなかった『目指す会』のメンバーは、実に思慮深い、謙虚な団体と言っていいだろうwww



【鈴木邦夫とは??】


 さて、くだんの鈴木氏について、もう少し触れておく。

 彼は「右と左で争う事は不毛」といった発言をしており、そうした姿勢が、「右翼らしからぬ。実は左翼ではないのか」などと言われる原因を作っている。

 また、ザ・コーヴにおいては「ネトウヨ系」と対立したため、ネット世論からはすこぶる評判が悪い。

(そのためだろうか、靖国問題を論じるのが好きなネトウヨが、ルペン氏らの参拝についてほとんど触れないのは。「敵の手柄」に触れたくないのかもしれませんな、ふぉふぉふぉ)


 だが、彼も以前は「殺すぞ」と脅迫電話をしたり、防衛庁に乗りこんだり、ストリップを招いた自衛隊駐屯地に街宣車で突撃したりと、「行動する右翼」だったそうだ。



【風格の違いを感じさせる】


 ぎゃあぎゃあわめいて、迷惑行為を繰り返すだけの「ネトウヨ・プロ市民団体」に対し、一水会は風格の違いを見せつけた、と言えよう。

 こんな大規模な「右翼国際会議」を開いてこそ、まさに「行動する保守」なのではなかろうか??


 資金力がないなら、鈴木氏みたいに、講演したり出版したりして、稼ぐとよろしい。

 そこまで出来ないのであれば、しょせんは暴走族と同クラス、で終わるだろう。



【それにしても、極右ネットワークとは!!】


 さて、前口上が長くなったうえ、ついネトウヨ比較をしてしまったが、本当の本題は、以下に尽きる。

 つまり、


「排外主義、EU否定論者ばかりの国粋主義者・民族至上主義者が、国を超えて協力関係を築いている」


 という事に対する、なんともいえぬ感慨である( ´,_ゝ`)y-~~


 僕は、欧州の右傾化を、

「急激なグローバリズムによってもたらされた左翼化に対する反動」

 と分析したが、なんというか、その右翼さん自体が「グローバリズムで繋がる」という構図が浮かびあがったのだから、なんというか・・・ww


 だが、何かヘンに見えても、これは歓迎すべき傾向である。


 なぜなら、国粋・伝統・民族主義は、とかく排斥主義になりがちだが、それは必ずしもイコールではないからだ


 つまり、世界のみんなと仲良くしながらも、閉鎖的・伝統的な文化や政治を選択する事は、矛盾しないのである。

 もし今回の会議が、極右団体の、そうした可能性を示したものであるならば、右派はますます支持を集める可能性があるだろう。

 なにせ、会議の名前が「世界平和をもたらす愛国者の集い」なのだから・・・・!!


 残念ながら、日本のネトウヨさんがたは、単に「差別・暴力嗜好を正当化する理屈付け」として、国粋主義を利用しているにすぎない。

 だが、日本にも、真の保守団体があり、世界にもあり、それらが繋がり、正しく行動するのだとしたら、それは新しい形での「グローバル時代の市民思想形成」に影響するのではないだろうか。

 僕は、右派思想そのものを否定しない。あえて否定するならば、「右派にはロクなのが集まらない」からだった。

 だが、「そうではない」のであれば、これは純粋に歓迎し、見守りたいと思う(・ω・)b


 そして、「右派思想」そのものにも、様々な主張や形があるのだとしたら・・・

 いつの日か、日韓中の「右派団体」が、会議を開いて意気投合する、ということも、ありえるだろうか??

 まぁ、10年や20年では無理だろう。だが、今、僕の頭の中でシミュレートしてみると・・・それは「ありえない事とは言い切れない」ような気がした。



ま、結果的には、ネトウヨ批判になっちゃったかな・・・w

でも、このニュースは、すごく重要な事のように思えるので、みなさんも一考してください!!

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靖国の是非は、あえて書かなかったな・・・いつか触れようかな??