蒙古襲来で蒙古が日本を制圧できず、逆に壊滅した。これによって「日蓮の予言は外れた」との向きがある。
実は、日蓮大聖人は日本が滅亡しないことをご存じだったと考えている。その理由は、「小蒙古御書」による。短い御文なので全文示す。
「花押
小蒙古の人大日本国に寄せ来たるの事
我が門弟並びに檀那等の中に、若しは他人に向かひ、将又自ら言語に及ぶべからず。若し此の旨に違背せば門弟を離すべき等の由存知する所なり。此の旨を以て人々に示すべく候なり。
弘安四年太歳辛巳六月十六日
人々御中」1559
「小蒙古が大日本国に来たぐらいで、予言的中などと言い出してはならない。これに反すれば門弟と認めない」と書かれている。
それまで「大蒙古が来る」とされていたが、本当に来たら「小蒙古」である。
日本が滅びないとご存じだったと考える方が自然だ。
それでは何故、日本が滅亡すると予言されたのか。
子どもが大人が飲む薬を誤って飲もうとすると、たとえ死ぬことがなくても、親は「それを飲んだら死ぬよ」と大げさに言う。
経文は「他国からせめられる」である。日蓮大聖人は、親が子どもを叱るように大げさに表現されたと考える。
しかし、蒙古軍を壊滅させた大風を自分の手柄にする人物が出現する。「思円上人」1571だ。確か極楽寺良観の師匠叡尊のことだったと思う。調子のよい人物だ。後出しジャンケンはいつの世にもいる。