自閉症スペクトラム障害は危険な障害ではありません! | 北村耕太郎~発達障害の子供たちを二次障害にさせない社会つくりへ~

北村耕太郎~発達障害の子供たちを二次障害にさせない社会つくりへ~

チャイルドハート豊中桜塚・チャイルドハート関西GM
NPO法人D-SUPPORT INNOVATION代表
元広島県・大阪府警※旧「発達障害のパパブログ」

気になったので報道の在り方について苦言をひとつ…

佐世保女児殺害事件で加害女児が医療少年院送致になったという報道で大々的に「自閉症スペクトラム障害」が独り歩きするような表現が多々あったようです。

僕は極めて不適切な表現であると考えます。

あたかも自閉症スペクトラム障害だから猟奇的な殺人を犯し、しかも刑罰では矯正しないから医療少年院に送られるんだと認識されかねない表現でした。

みなさんに誤解のないように言っておきます!




自閉症スペクトラム障害だから事件を起こしたわけでもないし、それが原因でもありません!




外的な要因(壮絶な虐めや虐待、親の過剰な躾、不適切な養育など)により行為障害などに陥る破壊的行動障害マーチによるものと思われ、反社会的行動を取ってしまう特異な二次障害に陥ったことが1つの要因となっているのです。

だから自閉症スペクトラム障害が直接犯罪を起因するようなものではありません!



それに加害少女も二次障害になりたくてなったわけでは無いことも知ってください。



決して犯罪は許されるものではなく断罪されるべきです。

しかし、そもそも自閉症スペクトラム障害などの発達障害児はその特異性から虐めや差別などの犯罪被害に遭いやすいことも知ってください。

そして、そのような壮絶な被害体験や不適切な養育により引き起こされるのが二次障害です。

行為障害などの二次障害は、外的な要因なくして起こり得ない。

つまり、自閉症スペクトラム障害であるだけでは反社会的な猟奇的な事件を引き起こす要因にはならないのです。





不適切な表現による報道で他の発達障害児や自閉症スペクトラム障害児がまたさらに差別偏見や虐め、虐待を受けてしまうのではないかと心配しています。

もしそうなれば、今回の報道をしたマスコミがまた更なる不幸な行為障害を伴う特異な二次障害を生み出し、社会を震撼させるようなモンスターを造り出してしまうかもしれません。



みなさん、決して誤解しないで下さい。

自閉症スペクトラム障害は危険な障害ではありません。



また最後に…

マスコミ各位には自閉症スペクトラム障害を含む発達障害への誤解を与えるような報道の仕方に、発達障害の支援者のひとりとして僕は極めて憤りを感じており、適切な報道の在り方についてもう一度考え直して頂きたいと思います。

知る権利に正しい知識をもって報いてほしいと思います。



【追記】

過去の事件から発達障害による犯罪が多いという意見がありましたが、過去の残忍な事件の当事者が自閉症スペクトラム障害などの発達障害児がいたことは事実です…

しかし、決して誤ってはいけないのはその全てが発達障害+αであったことです。

そしてもうひとつ、発達障害は脳神経領域の一部異常であり、脳神経科学上の研究議論ではありますが、知覚した情報の流れが社会的な意味を引き出す脳領域にうまく送られていないなどによるものの障害であり、決して犯罪を起こしやすいというような障害ではありません。

では何が発達障害児を凶行に走らせるのかというと、発達障害をバカにしたり、理解しない親や大人、教師や生徒などが自分達の勝手な尺度で図ったものを無理矢理当てはめ、その結果虐めや差別に繋がり、発達障害児の自尊心を傷つけあり、PTSDにさせたりし、反抗挑戦性障害や素行障害などの二次障害に陥らせてしまっていることなのです。この二次障害はまさに社会が産み出したもので僕は本当の意味での「障害」だと思っています。

残念ながら発達障害の正しい知識や二次障害に関するものを理解している方はほんとに僅かしかいません。

実際、僕も子供が発達障害の疑いを指摘され療育園に通園させることになるまでは全く知らなかったことでした。

当事者の親だからこそ死ぬほど勉強して発達障害のことを勉強したからこそ脳神経科学や犯罪学、特殊教育学やアメリカ医学雑誌に記載される医学論文まで触れることになり、知ることになりました。



他の方にそこまで求めるつもりはありませんが、せめて発達障害と二次障害の違いくらいはメディアは知る必要があるし、情報を受けとる側の私たちにメディアは丁寧に報道、説明しなければいけないのではないでしょうか…

僕はそう思っています。